検索
レビュー

有効2430万画素の描写力を検証――ソニー「NEX-7」を試す(前編)(1/3 ページ)

APS-Cセンサーでは最多の画素数を誇るソニー「NEX-7」が登場。被写体のディテールをきっちりと再現できる解像力の高さに注目です。レビューの前編は作例写真を中心にお伝えしましょう。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

細密なディテールをなめるように味わう

 ソニー「NEX」シリーズは、Eマウントシステムを採用したレンズ交換式のデジカメです。一般的なデジタル一眼レフと同等のAPS-Cサイズの大型センサーを搭載しながらも、ボディを小型軽量にまとめ、画質と携帯性を両立したミラーレスカメラとして、2010年の初登場以来、人気を集めてきました。

 その最新作として「NEX-7」が登場しました。上下に可動する液晶のチルト機構を継承しつつ、従来製品では外付けだったフラッシュや電子ビューファインダーを標準装備した「全部入り」のシリーズ最上位モデルです。

photo
ソニー「NEX-7」。広角単焦点レンズ「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」を装着した状態

 何より注目したいのは、APS-Cサイズのセンサーでは最多となる有効2430万画素のCMOSを搭載したこと。一足先に発売されたAマウント製品「α77」(レビュー)のセンサーと同等のもので、画像処理の基本部分も受け継いでいます。記録画素数は6000(横)×4000(縦)ピクセル。非常に大きな画像となり、JPEGファイルの1枚のファイル容量は3〜10メガバイト以上にもなります。

 どんな写真が撮れるのか、まず作例を見てみましょう。1枚目は、レンズキットに付属する標準ズーム「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」の18ミリ側で撮影したもの。画像の中央部を見ると、小さな葉っぱがくっきりと解像していることが分かります。さらに、より高性能なレンズを使用すると解像感がいっそう高まります。2枚目は、広角単焦点レンズ「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」による作例です。隅々までシャープな写りとなり、木の枝や外壁の素材感が克明に再現されています。

photo
撮影モード:絞り優先AE(F8 1/500秒) 感度:ISO100 WB:太陽光 クリエイティブスタイル:スタンダード レンズ:「E18-55mm F3.5-5.6 OSS」
photo
撮影モード:絞り優先AE(F8 1/500秒) 感度:ISO100 WB:太陽光 クリエイティブスタイル:スタンダード レンズ:「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」

 画素数が多くなるほど高画質になるとは必ずしもいえませんが、高精細になることは確かです。次の2枚は、高層ビルの展望室からとらえた隅田川河口の眺望です。ガラス越しでの撮影ではありますが、PCのディスプレイ上で等倍に表示すると、近景の築地市場から遠景のゲートブリッジにかけて、風景の細かい部分までをつぶさに観察できます。

photo
撮影モード:絞り優先AE(F8 1/50秒) 感度:ISO100 WB:日陰 クリエイティブスタイル:スタンダード レンズ:「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」
photo
撮影モード:絞り優先AE(F9 1/125秒) 感度:ISO100 WB:太陽光 クリエイティブスタイル:スタンダード レンズ:「E 55-210mm F4.5-6.3 OSS」

 これほどの画素数が本当に必要なの? 一般的な印刷用途にはオーバースペックではないの? といった疑問がわくかもしれません。しかし筆者自身は、この精細な表現力は大歓迎です。ディスプレイ上で全体表示と部分拡大を交互に切り替えながら、ディテールを丹念に眺める面白さがあるからです。地図や絵巻物を見るような鑑賞スタイルといってもいいでしょう。本来の写真の見方とは少々異なるかもしれませんが、肉眼では気が付かなかったような発見もあり、1枚1枚をじっくりと楽しめます。

 高精細が生きるのは風景写真に限りません。次の2枚は、展示された車の一部をクローズアップでとらえたもの。メタリックに輝く赤い車体と、そこに付着した小さなホコリやキズが精密に描かれ、金属の質感がリアルに感じられる写真になりました。

photo
撮影モード:絞り優先AE(F8 1/40秒) 感度:ISO400 WB:AUTO クリエイティブスタイル:ディープ レンズ:「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」
photo
撮影モード:絞り優先AE(F2.8 1/30秒) 感度:ISO400 WB:AUTO クリエイティブスタイル:ライト レンズ:「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」

 注意点は、画像が精細である分、ちょっとしたブレやピンぼけも目立ってしまうこと。手ブレに注意しながら、しっかりとカメラを支えて撮影すべきです。といっても、三脚を使って丁寧に撮るスタイルでは、NEX-7のせっかくの小型軽量ボディが生かされません。ポケットやカバンに入れて気軽に持ち運びながら、シャッターを切る瞬間だけは慎重になる。それくらいの感覚が本モデルには似合っています。

photo
展望室の窓枠にカメラを置いて撮影。三脚を使えば、よりシャープに写せたかもしれません。撮影モード:マニュアル露出(F6.3 1/1.3秒) 感度:ISO400 WB:AUTO クリエイティブスタイル:スタンダード レンズ:「E 55-210mm F4.5-6.3 OSS」
       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る