「EOS 7D」の新ファームウェアVer 2.0.0を試す:IMAGE MONSTER 2.0の実力は
キヤノンのハイアマチュア向け一眼レフカメラ「EOS 7D」の新ファームウェアとなる「Ver 2.0.0」の提供が開始された。RAWモードでの連写枚数の向上やカメラ内での現像を可能にするなど、大幅な機能強化が図られている。
キヤノンの「EOS 7D」(以下、7D)の新ファームウェア「Ver 2.0.0」が8月7日に公開された(11の機能強化、キヤノン「EOS 7D」新ファームウェア提供開始)。以前のVer 1.2.5から強化された機能は以下の通りだ。
- RAW撮影時の連写枚数向上
- GPSレシーバー「GP-E2」対応
- ISOオートの上限設定機能追加
- カメラ内RAW現像機能追加(※明るさ補正はできない)
- 画像再生時のクイック設定機能追加
- レーティング機能追加
- JPEGリサイズ機能追加
- 録音レベルマニュアル調整機能追加
- タイムゾーン設定機能追加
- ファイル名自由文字設定機能追加
- 画像拡大時の画面スクロール速度向上
7Dについては発売されてから2年半以上が経過しており、さらに「EOS 5D MarkIII」(レビュー)が発売されたことから、“MarkII”が発売されるのではないかという噂もあったが、「IMAGE MONSTER 2.0」と銘打つようなファームウェアの大幅なアップデートがなされたということからすると、現行機の寿命はもう少しあるようで、7Dユーザーとしては正直ホッとしている。
なお追加機能のうち、RAW現像やレーティングといった画像操作系の機能は、旧バージョンのファームウェアで撮影された画像には適用されないので注意してほしい。これらの画像にレーティングを付けたり調整するためには、今まで通り付属のソフト「Digital Photo Professional」を使う必要がある。
では、主な機能について見ていこう。今回のアップデートで一番うれしい機能は、RAWでの連写枚数向上だろう。自動車や列車だけでなく運動会での子供の徒競走など、連写を使うシーンではこれまでより多くの枚数が撮影できる。公式データでは連続撮影可能枚数が約15枚から約25枚に増えたとなっているが、筆者がサンディスクの「Extreme Pro 32GB」で試したところ、シャッターボタンを押してから「Busy」となるまで、Ver 1.2.5では18枚であったのがVer 2.0.0では26枚まで増加した。このほかJPEGラージではUDMA対応カードで130枚、RAW+JPEGラージ)では17枚の連続撮影が可能だ。
また、Ver 2.0.0ではISOオートの上限設定機能が追加されている。プログラムAEなどを使用して撮影するとき、暗い場所ではISO感度が高めに出てノイズが多くなってしまうこともあったが、これにより上限が設定できるようになったため、これまでよりも便利に撮影できるようになるだろう。
カメラ内でのRAW現像機能だが、「Adobe PhotoShop Lightroom 4」などのソフトで現像するときのような細かい機能は用意されておらず、ホワイトバランスの調整やピクチャースタイルの再設定など、7D本体であらかじめ設定して使う機能を再設定してJPEG画像にはき出すものだと割り切った方がよい。
色空間設定や歪曲補正、色収差補正が用意されているが、補正をかけるか、かけないかの2択でしかない。ただ、RAW現像はどうしても手間がかかるため、筆者も、RAWで撮影したものの現像していない画像ファイルが山のようにあったりするので、撮影画像をPC上でも簡単に表示するためにとりあえずJPEGに落としておけ、という使い方はあり、なような気がする。
新しい機能として加わった「レーティング」だが、これは撮影した画像に☆を1〜5まで設定できる機能だ。☆ごとに分類した画像は、メニューの「スライドショー」から「レーティング」を選択することで、選んだ順に画像を表示することができる。
なお、今回加わった機能でもう1つ、筆者が便利だと思ったのは再生時にクイックボタンを押してさまざまな機能を呼び出せるようになったことだ。撮影時にはISO感度やAFモード、ホワイトバランスを簡単に設定できるクイックボタンだが、再生時にもこれを押すことで、画像のプロテクトやレーティングの設定、AFフレームの表示ができるようになった。中でもAFフレーム表示はよい。撮影した画像の検討をするためにも、どこにフォーカスを当てていたのか再確認できるので、今後使っていく機能となるかと思う。
このほか、保存するファイル名を任意に決めることができるようになった。複数のデジカメで使っている場合、ファイル管理が煩わしくなりがちであるが、任意の文字列でファイル名の連番を指定することができれば、管理しやすくなるかもしれない。
以上、主だった機能について紹介してきたが、今回のファームアップデートで7Dの使い勝手がかなり向上したことは間違いない。今後の機能強化にも期待したいところだ。
関連記事
- 11の機能強化、キヤノン「EOS 7D」新ファームウェア提供開始
キヤノンは8月7日、「EOS 7D」の新ファームウェアを提供開始した。予告されていた通り11の機能強化が施されるほか、不具合の修正もあわせて行われる。 - キヤノン、EOS Kiss X6iやEOS 5D Mark III対応の「EOS Utility」最新版
キヤノンがユーティリティソフト「EOS Utility」の最新版「2.11.4」を提供開始した。 - キヤノン「EOS 7D」が「IMAGE MONSTER 2.0」へ進化
キヤノンは「EOS 7D」の新ファームウェア「V2.0.0」の提供を告知した。適用することで11の機能強化が行われる。8月上旬からの提供を予定する。 - レビュー:高画素と高速連写を両立したハイアマ向けEOS――キヤノン「EOS 7D」
キヤノン「EOS 7D」は、1800万画素の高画素と秒間8コマの高速連写を実現したハイアマチュア向けの多機能機だ。視野率100%ファインダーや19点クロスセンサーAF、フルHD動画などぜいたくなスペックを誇る。 - キヤノン、“APS-Cの最高峰”ハイアマ向けデジ一眼「EOS 7D」
キヤノンが“APS-Cの最高峰”をうたう、ハイアマチュア向けデジタル一眼レフカメラ「EOS 7D」を発売する。 - キヤノン、天体撮影専用の「EOS 60Da」
キヤノンが「EOS 60D」をベースに、ローパスフィルターの特性を変更することで天体撮影専用としたデジタル一眼レフカメラ「EOS 60Da」を4月中旬より販売する。 - 高速化した中級フルサイズ機――キヤノン「EOS 5D Mark III」インプレッション
フルサイズのCMOSセンサーを搭載したデジタル一眼レフ機「EOS 5D Mark III」が3月下旬から発売になる。従来モデルから何が変わったのか。進化のポイントを中心にファーストインプレッションをお伝えしよう。 - カメラファンの「あこがれ」を目指すフルサイズ 「EOS 5D Mark III」
キヤノンから、ハイアマチュアの「あこがれ」「定番」を目指した、2230万画素フルサイズセンサー搭載のフルサイズ機「EOS 5D Mark III」が発売される。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.