コンパクトデジカメで楽しむ秋の紅葉撮影テクニック(2/2 ページ)
思わずカメラを向けたくなる鮮やかな紅葉があちこちで見られるシーズンになりました。本格的な機材は使わずに、コンパクトデジカメ1台で実践可能な、紅葉を美しく撮るテクニックを紹介しましょう。
無駄を省いた「構図」で風景を切り取る
構図については、見たものをすべて写そうとするのではなく、一部分を切り取るような感覚を持つことが、引き締まった構図で撮るためのコツです。例えば、真っ赤に染まったカエデの大木に出会うと、その迫力に圧倒されて、つい正面から木の全体を撮ってしまいがちです。しかし、ストレートに木の全体を捉えても、その状況の説明写真にはなりますが、面白い写真になるとはいえません。被写体の全部を画面内には収めず、むしろはみ出すくらいのサイズで撮ったほうがスケール感を表現できることが多いといえます。
次の2枚も、風景を切り取る感覚でフレーミングしたものです。1枚目は、紅葉によって画面の周辺を覆い、トンネルのような構図を作ってみました。2枚目は、シルエットになった木を縦に配置して、画面を分割するような構図を狙っています。どちらも、写真に写っていない部分があるからこそ、構図に緊張感が生まれます。
構図を考える上で、背景の処理も重要なポイントです。基本は、写したい紅葉以外の要素を画面から排除し、できるだけ背景がシンプルになるように気を付けること。特にクローズアップで紅葉を撮る場合は、カメラの位置や向きを少し動かすだけで、背景は大きく変化します。その紅葉が最も引き立つアングルを探してみましょう。
次の4枚は、紅葉の葉に数センチの距離まで近寄って撮影したもの。今回使用したSTYLUS XZ-2は、1/1.7型のセンサーを搭載したコンパクトデジカメなので、通常の撮影では、デジタル一眼のような大きなボケは期待できません。しかし、レンズの開放値が明るいので、このような近接撮影では背景にきれいな丸ボケが生じます。
「主役」を引き立たせる「脇役」を見つける
次の写真では、あえて真上から見下ろす平坦な構図を選び、パターンとしての面白さを狙ってみました。落ち葉の形や色に加え、地面のテクスチャが気になって撮影したものです。
構図はシンプルにまとめることが基本ですが、その上で「主役(紅葉)を引き立たせるために、あえて脇役を写し込む」という考え方を取り入れると、紅葉写真に変化や広がりを与えることができます。脇役とは、例えば水や雲、霧、鳥、昆虫といった紅葉のそばにある被写体です。自然のものに限らず、歩行者や車、建物、看板などでも構いません。
紅葉はシャッターチャンスが限られるため、狙い通りのイメージで撮ることは簡単ではありません。しかし、上手いか下手かは別として、とにかく赤や黄色に染まった葉っぱさえ写っていれば「紅葉写真」として成立する面白い被写体でもあります。既存のイメージだけにとらわれず、年に1度の紅葉撮影を自由な発想で楽しんでみてください。
関連記事
- 今日から始めるデジカメ撮影術:第158回 紅葉と彩りとピントの関係
秋らしくなった時期の定番被写体といえば紅葉。彩りを楽しみながら、構図を考えて撮ってみましょうという話。 - 心地よさと描写にこだわった高級コンパクト オリンパス「STYLUS XZ-2」
F1.8の高性能レンズを搭載した「XZ-1」の後継モデル「XZ-2」が登場した。iHSテクノロジーを盛り込み、操作性をさらに向上させることでスキのない製品に仕上がっている。 - デジイチ初心者応援:紅葉撮影を楽しむための7つのコツ・後編――構図とボケにこだわって撮る
美しく見えた紅葉が、写真に撮ると意外と見栄えしない。そんな経験はないでしょうか。ただ何となくカメラを向けるのではなく、紅葉をいっそう引き立てる撮り方について考えてみましょう。 - デジイチ初心者応援:紅葉撮影を楽しむための7つのコツ・前編――色と光にこだわって撮る
今年も紅葉の季節がやってきました。赤や黄色に染まったカラフルな木々は被写体として好適。そんな秋の紅葉撮影をより深く楽しむための、ちょっとしたコツとヒントを紹介しましょう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.