常用したい軽量薄型パンケーキ――富士フイルム「XF27mmF2.8」:交換レンズ百景
FUJIFILM Xシリーズに対応するXマウントレンズで最も軽量なのが、単焦点レンズ「XF27mmF2.8」だ。小さく軽く、開放から安定した描写で、カメラにつけっぱなしの常用レンズにしたい製品だ。
富士フイルムのレンズ交換式FUJIFILM Xシリーズ「X-Pro1」「X-E1」「X-M1」に対応するXマウントレンズで最も軽量なのが、単焦点レンズ「XF27mmF2.8」だ。厚さ23ミリのいわゆるパンケーキタイプの単焦点レンズで、重さは78グラム。APS-Cサイズセンサーのカメラに装着するパンケーキレンズとしては最軽量クラスの軽さで、本製品と同時発表された「FUJIFILM X-M1」に組み合わせれば、撮影時重量でも500グラムを切る。
FUJIFILM Xシリーズのスタンダードモデル「X-M1」のキットレンズ設定もされているレンズだが金属製のマウントを含めて安っぽさはなく、上位モデルにあたるX-E1やX-Pro1に取り付けても違和感を覚えることはない。こちらも金属製のピントリングはやや軽めだが、軽さゆえにMF時でもすっとピントを合わせることが可能だ。
焦点距離はレンズ交換式のFUJIFILM Xシリーズ装着時に35ミリ換算41ミリ相当。先行して販売されている「XF35mmF1.4 R」(53ミリ相当)よりやや広角で、一般的な広角といえる35ミリ相当より狭い。40ミリ相当という画角は、最近だと他マウントでも増えているのであまり違和感を覚えずに使える人も多いだろう。
XF35mmF1.4 Rの利用者ならば、気持ち広く写る感じになるため、被写体だけに集中して写すというよりも周辺を意識してカメラを構えるとしっくり来る。眼前に水平に構えれば見たままの視界に近く、アオって撮れば広角っぽさが増す。その変化も楽しみたい。
開放F値はF2.8と極端な値となっていないためか、開放から安心して利用できる描写を見せてくれる。絞り解放時にはさすがに多少の周辺減光が見られるものの、気になるならばF4あたりまで絞れば解消する。シャープネスも高く、スキッとした描写を見せてくれるいかにも富士フイルム製らしい描写といえる。
最短撮影距離は34センチとさほど接近しての撮影を得意とするわけではないが、絞り全域に渡ってシャープな描写を見せてくれるのでテーブルスナップにも有用だろう。軽量さも相まって、さまざまなシーンでの撮影を楽しくしてくれるレンズだ。
なお、Xマウントレンズが多く搭載する絞りリングは搭載せず、絞り値の変更はカメラの電子ダイヤルにて行うことになる。撮影モードダイヤルを持つX-M1と組み合わせた際にはごく一般的な操作形態となるが、撮影モードダイヤルを持たないX-Pro1とX-E1では、背面ダイヤルと天面のシャッタースピードダイヤルを組み合わせ、露出モード切り替えていくスタイルとなる。
X-E1の場合、メニューには「絞り設定」の項目が用意されており、「オート」「マニュアル」「オート+マニュアル」が選択できる。「オート」は絞りオート(つまりプログラムオートかシャッタースピード優先オート)、「マニュアル」では背面電子ダイヤルで絞りを調整する絞り優先オートまたはマニュアル露出、「オート+マニュアル」ではダイヤルで絞り値を調整でき、小絞り側に回すとプログラムオートになる。
文字にすると煩雑だが「オート+マニュアル」を選択しておけば、基本的には背面電子ダイヤルで絞り値の調整となるのでまずはそこから操作になれてゆき、プログラムオートやシャッタースピード優先オートでの撮影をしたいときには順次切り替えていくという使い方をしていけばじきに慣れる。
レンズ自体は非常に軽量で高さもないために、X-Pro1やX-E1のユーザからも魅力的な製品といえるが、絞りリングでの操作に慣れたX-Pro1/E-1ユーザにとってはこの操作系に慣れることができるかが導入に際してひとつの目安になりそうである。
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