誰も“普通”とは言わなかった シグマに聞く新「SIGMA dp」(後編)(2/2 ページ)
新Foveon X3センサー“Quattro”搭載のシグマ「SIGMA dp」について訪ねるインタビュー後編。今回は「dp2 Quattro」そのものについて聞く。果たして撮りやすいのか、操作は機敏か、“難しい”カメラなのか。
グリップが手前に飛び出したワケ
荻窪: 確かに前モデルと比べると鏡胴がかなり太くなっています。もうひとつの疑問はグリップ。理にかなった配置をしたら横長になったのは分かりますが、グリップが手前に飛び出ていますよね。こういうグリップデザインは初めて見ました。
桑山氏: 液晶を見ながら撮影する場合を想定し、実際に握って試行錯誤する中で、あの形にたどり着きました。太くなったレンズ手を添えて持ってみるとこれが持ちやすいのです。
荻窪: (あれこれいじりつつ)確かに、コンデジのように右手だけで振り回したり、気楽に片手で撮ろうとすると心もとないですが、左手をレンズに添えて両手で構えると実にいい感じになりますね。それが面白いところで、きちんと持つと右手が楽です。グリップが前に出ている従来のカメラに比べて、手首の位置が少し身体に近くなるので両腕がきれいに平行になって落ち着くという感じです。
で、先ほど(前編)クアトロセンサーは4:1:1でデータ量が減ったという話が出ましたが、逆に処理は複雑になっていますよね。
桑山氏: GとRは1画素を4画素にする処理が加わるので複雑になっていますが、クアトロセンサー専用の「TRUEIII」エンジンを開発いたしましたので、全体としては高速化されています。実際にどのくらい速くなるかは現在開発中ですのでまだ分からないというのが正直なところです。
荻窪: もうひとつ、操作系も変わりましたね。
桑山氏: はい、ユーザーインタフェースも見直しました。ダイヤルが2つになったので、かなり使いやすくなっていると思います。もちろんAFも、より速く正確になりますし、背面の液晶表示も向上して見やすくなりました。電子水準器も搭載しています。前モデルよりさらに写真を撮りたくなるようなカメラに仕上がっていると思います。
荻窪: メリルまでは万人に勧めづらいところがありましたが、今度は?
桑山氏: dpは難しいカメラと言われていますが、写真を撮る事が好きな方にぜひお勧めしたいですね。実際、DPシリーズの8割くらいのユーザーの方がRAWで撮影してパソコンで現像されています。カメラ内の映像処理エンジンよりパソコンの方が圧倒的に処理能力が高いので、その分いい絵を作る事ができます。自分で現像するのをいとわなければ、初心者の方にもお勧めしたいですね。
解像度の話が中心になりましたが、解像感がここまで高くなると、写真に写っているモノの立体感や奥行き感が出てきます。Foveonならではの画質を多くの人に楽しんでいただきたいと思っています。
荻窪: で、いつ発売なのでしょう。
桑山氏: まだ発売日をお伝えすることができませんが、開発が完了したらすぐにでも発売したいですね。それまでしばらくお待ち下さい。
ここまでいわれたら乞うご期待、である。
DP メリルシリーズは、きちんと撮ればすごくいい絵が撮れるものの、AF速度やモニタのクオリティなどは最新のカメラと比べるといまひとつな面があった。今度はモニタも見やすいしAFも快適。
クアトロになってもきちんと撮るコンパクト機という位置づけに変わりはないが(少なくとも、片手で構えてオートでサクサク撮るってカメラじゃない)、より快適にFoveonならではの画質が得られると思うと使ってみたくなる。
何より、あの解像感は魅力的だ。メリルシリーズを使ったときに感じた「ああ、これがホンモノの1600万画素というものか」と感動した描写力と、現像時にいじりがいがある色や階調は素晴らしい。特に写真好きにお勧め。
左から「dp1 Quattro」(19ミリ 35ミリ換算28ミリ相当)、「dp2 Quattro」(30ミリ 35ミリ換算45ミリ相当)、「dp3 Quattro」(50ミリ 35ミリ換算75ミリ相当) 市場への登場はdp2 Quattroからになる予定
どの焦点距離を選ぶかは人それぞれ。自分が撮りたい写真にあったものを選ぶのがいい。dp2 Quattroを筆頭に、dp1 Quattro、dp3 Quattroと徐々に出てくるだろう。
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