「OLYMPUS OM-D E-M10」第3回――植物の色を際立たせる外部ストロボ撮影:長期試用リポート
外部ストロボはカメラに装着するのではなく、切り離してワイヤレス発光で使うのがお勧めだ。左手にストロボを、右手にE-M10を持って、色鮮やかな春の花を撮ってみた。
部分的に光を当て、背景を暗く落とす
オリンパス「OLYMPUS OM-D E-M10」は、「OM-D」シリーズでは初めてポップアップ式の内蔵ストロボを備えることが特長のひとつ。上位モデルの「E-M1」や「E-M5」では、ストロボ撮影のために標準付属する小型ストロボを持ち歩く必要があったが、その手間がなくなったことはうれしいポイントだ。
といっても内蔵ストロボは光量が小さく、発光部の位置も固定されているため、光をコントロールする自由度はあまりない。狙い通りのストロボ光で撮りたい場合には、外部ストロボを用意したいところだ。E-M10の内蔵ストロボは、外部ストロボをワイヤレス発光させるためのコマンダーとして使えるのが便利である。
今回使った外部ストロボは同社「FL-300R」と「FL-600R」だ。FL-300Rは、単4電池2本で動くコンパクトな外部ストロボだ。小型軽量ながらワイヤレス発光にも対応する。一方のFL-600Rは単3電池4本タイプの製品で、より大きな光量が得られる。ワイヤレス発光はもちろん、スーパーFP発光やマニュアル発光にも対応。どちらかひとつを選ぶなら、FL-600Rがお勧めだ。
下の3枚は、見下ろすアングルにカメラを構え、画面の上から(チューリップの横から)ストロボを当てて撮影したもの。正面ではなく、チューリップの側面から照射した光なので、背景には光がまわらず、画面の周辺を暗く落とすことができた。公園の花壇という周囲の状況はまったく伝わらないが、花の色とフォルムが暗闇から浮かび上がるようなイメージになった。
逆光を利用して透き通るような輝きを表現
次の2枚は、ストロボの位置を下げて、花びらの裏側から光が当たるようにしたもの。ポピーなど花びらが薄い植物の場合、このように逆光状態を作ると、光が透過して、花そのものが発光するようなイメージになる。
さらにストロボの位置を低くして、葉っぱや花びらの下から光を当てたのが次の2枚だ。太陽光のもとでは、このような光の状態になることはあまりなく、自然な写真とはいえない。しかし、外部ストロボによるワイヤレス発光では、自分の思い通りの方向から光を当てられることがメリットだ。構図やアングルの自由度は高く、撮ること自体は結構楽しい。
ストロボの位置を少し動かすだけで、光の状態は大きく変化する。また、ストロボの位置や向きが同じであっても、植物の色や種類によって見え方は違ったものになる。さまざまな方向から光を当ててみるといいだろう。
ちなみに今回のカットでは、三脚やスタンドは使用せず、すべて手持ちによる撮影だ。左手に外部ストロボを、右手にカメラをそれぞれ持ちながら撮影するのは少々不安定だが、手間をかけずに構図やアングルをてきぱきと調整できるのが楽である。レンズは、標準ズームおよび中望遠マクロレンズを使用した。こうして片手でも撮影できるのは、小さく軽いE-M10の利点といっていい。
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