必要なのは写真への好奇心だけ 深い写真表現を実現する、斬新デザインの新「dp」――シグマ「SIGMA dp2 Quattro」(3/3 ページ)
大型センサーに高性能単焦点レンズという「高級コンパクト」のトレンドを作った、シグマ「dp」がフルチェンジ。Quattroとして眼前に現れた。dpらしさを引き継ぎ、扱いやすさを増したファン待望の1台だ。
スカッとキレのあるシグマらしいカット。瓦や装飾のディテール感が素晴らしい。この描写をコンパクトなボディで、しかも手持ちで楽々と撮れるのがこのカメラの大きな魅力だ。
以前のモデルまではISO400が常用感度の上限だったが、このカメラからはISO800までは使えるようになった。それ以上は緊急用と考えた方が無難だろう。人の感覚から離れない自然な写真表現の範囲で楽しめそうだ。
前モデルDP2と同様、35ミリ換算45ミリ相当 F2.8のレンズは、解像感や収差、色再現、ボケともに納得のいく写りである。ナチュラルさと同居するナイフのような切れ味が実にいい。
淡い色合いが美しい公園の草が風にそよいでいた。F8まで絞って撮れば、肉眼を軽く上回るほどの高精細なイメージを手にできる。色再現は若干コッテリ系になったが、あくまでも素材重視の品のある絵作りとなっている印象だ。
太陽光をスポットライトのように浴びる金属製のポール。こういう被写体をFoveonは得意としており、Quattroになってもその特長はしっかりと受け継がれている。アンダー目に露出補正をしてやり、構図をシンプルにすればエッジの効いた写真を誰でも撮ることができる。
金属、ガラスそれに液体はこのカメラがもっとも素晴らしく描写できる被写体だ。新しい建築物は威力を試すのにもってこいのターゲットだろう。撮って出しのJPEGもいいが、X3F形式のRAWデータをSIGMA Photo Proでじっくりと現像してやれば、さらに突っ込んだ表現が可能になる。
35ミリ換算45ミリでF2.8というレンズと、Quattroセンサーのマッチングはスナップからポートレート、山岳など風景までオールマイティーに使えると思う。今までスパルタンな印象を受けてシグマのカメラを敬遠していた人も、このカメラなら楽にクオリティの高い写真を撮ることができると思う。必要なのは写真表現をもっと楽しみたい、という好奇心だけだ。
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