いつか見た、あのフィルムの色を再現できる「FUJIFILM X30」(3/3 ページ)
色にこだわる富士フイルムから、新顔の高級コンパクト「FUJIFILM X30」が登場した。注目は、おもむきのある色が得られる新しいフィルムシミュレーションモードと、より実用的に改良されたビューファインダーだ。
撮ることが楽しくなる趣味と実用を兼ねたカメラ
撮像素子には、ローパスレス構造の「X-Trans CMOS II」センサーを搭載。前モデルと同じくセンサーサイズは2/3型で、有効画素数は1200万画素となる。
最近は、1型以上のセンサーを備えた高級コンパクトが増えているので、それに比べると2/3型というセンサーサイズは大きいとはいえない。画素数についても少なめだ。そうしたスペック的なもの足りなさはあるものの、実際の撮影画像を見た場合には、発色や階調性、細部表現力に特に不満は感じない。
同社「Xシリーズ」には、より大きなAPS-Cサイズのセンサーを採用したミラーレスや、同じくAPS-Cセンサー採用のレンズ一体型モデル「X100S」「X100T」があり、それらとの住み分けが図られているともいえる。センサーサイズは小さいほど、同じ画角での焦点距離が短くなるので、ボケが表現しにくい一方、広範囲にピントが合った写真が撮りやすいというメリットがある。
画像処理エンジンには「EXR Processor II」を搭載。感度はISO100〜12800に対応する。高感度の画質は、ISO800を超えるあたりからざらつきが目立ち、解像感も低下する。ただ、そもそもレンズの開放値が明るく、手ブレ補正機能もあり、さらに撮影時の振動が非常に小さいカメラなので、あまり感度を上げなくても不都合を感じるシーンは少ないだろう。
トータルとしては、趣味性と実用性を兼ね備えた高級コンパクトとして、使って楽しいカメラだと感じた。欲を言えば、もう一回りボディサイズが小さければ、ミラーレスとの使い分けがより明確になったはずだ。ファインダーと液晶モニターの改良によって、操作感が向上したことや、フィルムシミュレーションの選択肢が増えたことは、ありがたいポイントだ。さらに、撮影可能枚数の増加やカスタマイズ性の強化など、細かい部分にもブラッシュアップが行われ、より完成度の高いカメラに仕上がっている。
関連記事
- リアルタイム・ビューファインダー搭載の「FUJIFILM X30」を発表
富士フイルムのプレミアムコンパクトデジカメのラインアップに「FUJIFILM X30」が登場した。タイムラグの少ないEVF「リアルタイム・ビューファインダー」を新たに搭載したのが大きな特徴だ。 - 富士フイルム、進化したハイブリッドビューファインダー搭載の「X100T」を発表
光学ファインダーとEVFの“いいとこ取り”が可能な「アドバンスト・ハイブリッドビューファインダー」を搭載したプレミアムコンパクトカメラの最新モデルが登場。外観は「X100S」をほぼ踏襲する。 - 「FUJIFILM X20」とX10をねっとり比較する
見た目こそは前機種「X10」とあまり変わっていない「FUJIFILM X20」だが、X10とは中身がまったく違う。そこでその画質を中心に新旧モデルをねっとり撮り比べたのだ。 - さっと起動、すっとのぞいて、タッと撮る――進化した軽快デジカメ「FUJIFILM X20」
一見すると四角いクラシカルなデジカメで前モデルとの違いも少ないが、FUJIFILM X20は“本気度”が違う。いろいろ新要素も多く、このクラスでは最も気持ちよく撮れるカメラと言っていい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.