高速AFのミラーレスと大型センサーのコンパクトが一番面白かった:2014年注目したカメラ&トピックス(ライター 荻窪編)
2014年に登場した新しいカメラの中でも、特に面白かったのが、ハイエンドコンデジとミラーレス一眼。デジタル一眼レフのような完成度の高い製品よりも、いろいろな成長が感じられ、従来製品より大きく進化した製品が登場したからだ。
デジタル一眼レフでいえばニコンの「D750」やキヤノンの「EOS 7D Mark II」はいい製品だけど順当進化の一環であり、2014年の大きなトピックとして取り上げるような感じでもない。
普及型コンデジの状況はニュースでさんざん流れているとおり、かなり市場は小さくなり、各社ともラインアップを縮小し、特に注目したい製品も見当たらない。
で、2014年に一番面白かったのがその間にある製品。ハイエンドコンデジとミラーレス一眼。成長の余地が一番大きいから。
2013年の記事でも同じようなこといってた気がするけど、まあそういう時代ということで。
高速AFミラーレス一眼の時代がやってきた――「α6000」
こっちに歩いてくる猫を連写した際、フォーカスをきちんと顔に合わせ続けてくれるミラーレス一眼は、かつてニコンの「Nikon1」だけだったが(基準はそこかい!)、それに迫るカメラが少しずつ出てきた。歩いてくる猫にちゃんとフォーカスを合わせ続けられるかどうかは微妙ではあっても、ソニーの「α6000」のフォーカスは速くてすばらしい。Nikon1についでAF-C(コンティニュアスAF)が使えるミラーレスとなった。パナソニックの空間認識AFもコントラスト検出AFとしてはすばらしいできで、快適に撮影できる。個人的にはタッチAFが使えないのが不満ではあるのだが、一段階進化したのを実感できるレベルだ。
ミラーレス一眼のAFは以前に比べると十分高速で正確で快適に使えるようになったけど、AF-C時の性能はまだ一眼レフに比べて改善の余地があった。そこが徐々に埋まってきている。ソニーやニコンは像面位相差AFによって、パナソニックはコントラスト検出AFの改良によって。
ついでに、EVFや背面モニター利用時の遅延もレリーズタイムラグも短くなってきてる。
ミラーレス一眼の良さはミラーボックス不要化によるボディのコンパクトさと同時に、EVFでも背面モニターでも同じ感覚で撮影時のイメージを確認しながら撮れる点にあるわけで、欠点だったタイムラグが徐々に解消されていくのはすばらしい。
パナソニックのハイエンドコンパクトに注目 その1――「LUMIX LX100」
今年一番そそられたカメラは、パナソニックの「LUMIX FZ1000」と「LUMIX LX100」の2モデル。
要するに、高性能なハイエンドコンパクトが欲しかったのだ。
近場にしろ遠出にしろ、「撮影が主」の外出と「お出かけが主で撮影が従」の外出があるわけで、前者のときはもう好きなカメラシステムを持っていって思う存分撮影すればいいのだが、外出が主のときは――特に街歩き仲間と歩くときや自分が講師となって歩くときは――街歩きが中心になるわけで、レンズ交換してる時間も三脚立ててる暇も無いし、片手がふさがってることもある(わたしの場合は左手に一脚を付けたリコーの「THETA」を持ってることが多い)。だったらレンズ一体型の方がコンパクトだし軽いし邪魔にならないし片手で扱える。それでそこそこのクオリティが得られるなら、お散歩カメラとしてそっちの方が優秀じゃあるまいかと。
そんなこと思ってたとこに、ソニーが「RX100 III」、キヤノンが「PowerShot G7 X」、パナソニックが「LUMIX LX100」と1型以上クラスのセンサーを搭載したコンデジをずらっと出してくれたのだ。このクラスならお散歩用としてほどよいサイズとクオリティ。
どれにするかは好みの問題で、RX100 IIIのポップアップファインダーギミックやコンパクトさも捨てがたいが、個人的にはLX100か。操作感はこれが一番だったから。操作してて気持ちいいというのは大事。
センサーは1型の2000万画素か4/3型の1600万画素、となるわけで、数字を見れば分かるとおり、高感度時の絵はLX100の方が上。そういう意味でもLX100の方がいいのだが、他よりちょいとでかくて重くて高い。難点はそこ。
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パナソニックのハイエンドコンパクトに注目 その2――「LUMIX FZ1000」
とはいえ、1台で済まそうと思うと望遠が足りないよな、と思いはじめるのである。遠くに何か(わたしの場合はたいてい猫なんだが)を撮りたいと思ったとき足りないのだ。わがままである。わがままにすぎると思うのだが、大きさ・重さを犠牲にすればそれが叶えられるというよい時代なのだ。
FZ1000である。でかくてかさばって800グラムもあるけど、35ミリフィルム換算で25〜400ミリ相当で望遠端でF4で、センサーは1型で2000万画素という楽しいスペックなのだ。
同じような大きさ・重さのカメラにソニーの「RX10」もあるのだが、あちらは24〜200ミリ相当で全域F2.8。FZ1000は25〜400ミリ相当でF2.8〜F4.0。
どちらをとるか考えると(いやこんなデカいコンデジはいらないという意見もあるわけだが)、このサイズのカメラを持ち歩くなら200ミリ相当じゃ望遠がちょっと足りない。400ミリ相当なら撮りたいものはほぼ撮れる。しかもFZ1000の空間認識AFは快適で、4K動画にも対応するのはしごく魅力的だ。
後から出たFZ1000の方は望遠端の明るさより焦点距離を取り、わたしのニーズにもそちらがマッチしたという話である。
ここまでするならマイクロフォーサーズ機に高倍率ズームレンズでいいじゃん、と思う。普通はそう思う。
例えば同社のLUMIX GM5ならボディも小さくてEVFも持ってるから、これに28〜300ミリ相当の高倍率ズームレンズをつければ(トータルの価格はともかくとして)もっとコンパクトで済むし、標準ズームレンズを付ければ気軽なお散歩用にもサブカメラにも使える。
でもレンズ一体型には一体型ならではの操作感があって、気楽に何でも撮りたいときにはそれがちょうどよいのだ。
スポーツ観戦時にも欲しい。観戦が主で撮影が従の時、レンズ交換式カメラに望遠レンズって、ちょいと重いから。
撮影が従となるときはレンズ一体型に限るのである。
2015年には1型以上のセンサーを搭載したレンズ一体型カメラが各社から出てきて、ハイエンドコンパクト機の主戦場がそっちにシフトしそうである。スマホの普及によって下から突き上げられ、否応なく上にシフトする感じかもしれないけど、これだけ画質に差があればスマホとの使い分けもしやすいし。コンデジ好きには非常に楽しい状況になりそうで何よりです。
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