インタビュー
» 2010年12月08日 09時30分 公開

「ラブひな」170万ダウンロード突破の衝撃:Jコミで扉を開けた男“漫画屋”赤松健――その現在、過去、未来(前編) (3/4)

[山口真弘,ITmedia]

Jコミに反映された赤松氏の思想と意見

赤松氏

── Jコミは、過去の絶版漫画をオンライン図書館としてまとめていくという文化事業的な性格と、ファイル共有など違法流通への対策、この2つの側面があると思うのですが、そもそもどちらが発端だったんでしょうか。

赤松 今年夏の時点ではもっとニコニコ動画やYouTubeに近いような感じで、流通しているZIPファイルを上げると指定の場所に広告を挟んでPDFに変換するシステムでした。ただ、打ち合わせを重ねていく中で、例えば「頭文字D」なら自動車メーカーの広告といったふうに手動でマッチングさせた方が広告主は喜びますよとメディアレップからアドバイスされましたので、そのような形に落ち着きました。

 インプレッション保証にしてトータルで2万円というよりも、やっぱりそうやって何十万、何百万円にした方が、作者も広告主も読者もいいよね、と発展していって。つまり、「Winnyなどで流通しているものから、われわれ漫画家がまったくお金をもらえない」ことに対する対抗策ですよね。

 ただもうひとつ、わたしが「昔の漫画をコレクションしたい」というのもかなり反映されたものとなっています。わたしが子供のころに読んだ「冒険王」や「コロコロコミック」の漫画をまた読みたいので、作者がOKならば、それを誰かが上げてくれないかなーということなんですよ(笑)。

 その願望のどこがJコミに反映されているかと言うと、このPDFの中に広告があるわけですが、広告主はこの広告を動的に入れ替えたいとおっしゃるんですよ。でもコレクターとしては、自分のコレクションが何かを発信したり、勝手にネットに接続しようとするのですら許せないです。自分のコレクションを読むとパケット代がかかるというのは変だし、無人島に持って行ってファイルを開いたときに真っ白だったとかでも嫌ですし。広告主は「5年も10年も同じ広告というのはいかがなものか、1カ月経てば閲覧できないようにしたらどうか」とおっしゃるのですが、わたしは自分のコレクションに誰かが手を触れるのは絶対嫌なんですよ(笑)。

 つまり、WinnyやBOOKOFFに対抗したいという漫画家としてのわたしの思想と、漫画コレクターとしてのわたしの意見、この2つがいまの企画にすごく反映されてるんです。

── ブログで書かれていた桜多吾作先生の話は非常に説得力がありました。わたしも個人的に桜多吾作先生のマジンガー関係のコミックを探したことがありますが、あの先生の作品はなかなか読めないですよね。

赤松 オークションではけっこう出てますよ。でも高いです。3千円とか5千円とか。そういうものをまた電子出版で出して、しかも桜多吾作先生がもうかれば最高ですよね。わたしも毎日クリックするでしょうし、アフィリエイトもばんばん買います(笑)。

── 短期の広告は、オンラインのビューアをお勧めされていますよね。

赤松 ええ。コミックビューワーの広告はすぐに入れ替えることが可能です。ですので、短期的な広告はこちらでという感じです。ただ、このコミックビューワーではわたしの所有欲を満たすことができません。高解像度のPDFを全巻そろえてHDDに入れる、これです。大げさに言うと、読まなくてもこれで満足なんです。

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