本日、12月10日は、ソニーが満を持して国内の電子書籍市場に投入する「Sony Reader」の発売日。それに合わせ、専用の電子書籍ストア「Reader Store」も立ち上がった。
Reader StoreがオープンしたのはSony Reader発売前日の12月9日。記者が12月9日夕方に都内の量販店に足を運んだところ、すでにSony Readerは店頭に並んでおり、購入することができた。こうした方法でいち早くReaderを手に入れたユーザーに配慮し、ストアのオープンを早めたのだと思われる。
Reader Storeの利用には、MySonyIDが必須だ。MySonyIDの取得はMy Sony Clubの会員登録(無料)が必要となる。
そのほか、Reader本体の機器認証も行わなければならない。ReaderをReader Storeに機器認証したり、購入した電子書籍のダウンロードを行う際には、専用のソフトウェア「eBook Transfer for Reader」が必要となる。eBook Transfer for Readerについては別記事で取り上げているのでそちらを参照してほしい。
支払いはクレジットカード(VISA、MASTER、JCB)のほか、ソニーポイントを利用することが可能。なお、日本で発売されるReaderは海外のReader Storeで販売されている電子書籍には対応していない。
Reader Storeがオープンしたことで、ここで扱う電子書籍の販売価格についても明らかになった。例えば、本稿執筆時点で「今週のおすすめランキング」にランキングしている電子書籍の価格を紙版と比べたものが以下の表だ。
順位 | 書名 | Reader Store価格 | 紙版価格 |
---|---|---|---|
1 | これからの「正義」の話をしよう | 1600円 | 2415円 |
2 | 伝える力 | 600円 | 840円 |
3 | スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則 | 980円 | 1800円 |
4 | 悪人 | 840円 | 1890円 |
5 | 人生を10倍自由にするインターディペンデントな生き方実践ガイド | 1575円 | 1575円 |
これを見ると、価格についてはおおよそほかの電子書籍ストアでの販売価格に横並びに設定されていることが分かる。例えば、「これからの『正義』の話をしよう」は、iPhone/iPadアプリやボイジャーの「理想書店」(現在はVoyager Store内のモールとなっている)でも販売されており、こちらも価格は1600円だ。同書は発売時に特別価格として900円で販売されていたが、Reader Storeのオープンに合わせた特別価格は設定されなかったようだ。
「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン ― 人々を惹きつける18の法則」の価格は2011年1月7日18時までの期間限定価格で980円に設定されており、買い得感もあるが、期間が過ぎれば紙と同じ1800円という価格で販売される。「人生を10倍自由にするインターディペンデントな生き方実践ガイド」も紙版とReader Storeで取り扱う電子版の価格は同じで、電子版の価格設定が出版社ごとに異なるのはほかの電子書籍ストアとReader Storeで差異は見られず、(紙版と比べた)値ごろ感をReader Storeで感じることは少ないといえる。
では、ラインアップはどうだろう。Reader Storeの書籍のジャンルは大きく14ジャンルに分かれている。以下は、本稿執筆時点のジャンル名とそれぞれのジャンルに含まれる書籍点数だ。
ジャンル | 書籍点数 |
---|---|
文学 | 6969 |
社会・経済・法律 | 881 |
語学 | 96 |
人文・教育・歴史 | 225 |
児童書 | 3 |
コンピュータ/デジタル機器 | 17 |
医学・福祉 | 25 |
旅行記/紀行 | 55 |
趣味/生活/ガイド | 514 |
くらし/実用 | 139 |
ファッション・美容 | 13 |
スポーツ | 29 |
エンターテイメント | 645 |
その他 | 858 |
文学ジャンルの書籍点数が突出しているが、各ジャンルの書籍点数を合計すると、1万469点。Reader Storeで販売される電子書籍が、必ずいずれかのジャンルに属していると仮定すれば、これがオープン時点のラインアップということになる。11月の発表時には約2万冊のラインアップをそろえるとしていたため、今後短期間で急速に拡充するものとみられる。
なお、「その他」のジャンルを選択すると、「アダルト系書籍および18歳未満の方には不適切な表現内容が含まれる書籍を取り扱っています」という注意書きが表示される。このジャンルにはボーイズラブ系の書籍が多くラインアップされていた。
価格やラインアップに特筆すべき点は少ないが、Reader Storeを見ると、テーマを設けて書籍を紹介するなど、提案型のテイストが強く出ていることが分かる。つまり、さまざまな方法で読者にお勧めの一冊をプッシュしようとする姿勢が強く押し出されているということだ。これは、書店でいう平積みなどに相当するもので、事実上無尽蔵の在庫が存在する電子書籍の販売では欠かせない手法だが、Reader Storeもそこをしっかりと押さえている。実際、Reader Storeでそうした提案型の部分を強調したものが左図だが、かなりの部分がそうした用途に使われている。
いよいよ国内でも端末とインフラをスタートさせたソニー。音楽、映画、ゲームに続くエンターテインメントビジネスと位置づける「ブック」の領域で、どのような体験を読者に提供していくかが注目される。
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