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» 2012年05月24日 10時00分 公開

電子書籍界の黒船「Kindle」とは?(前編) (2/4)

[山口真弘,ITmedia]

2009年2月:Kindle 2とKindle DXの登場

 初代Kindle登場から約1年半が経った2009年2月、満を持して投入されたのが、後継モデルとなる「Kindle 2」だ。

 初代のエキセントリックなデザインは影を潜め、ほぼ左右対称形になった薄型スレート状のボディは携帯性が高く、堅牢性の点でも優れていた。ジョイスティックにも似た5wayコントローラーを用いたカーソル操作によるインタフェースは、その後若干形を変えつつ、現在の第4世代モデルまで継続されている。ちなみに発売時価格は359ドルと、初代より50ドル安くなっている。

初代Kindle(左)とKindle 2(右) 初代Kindle(左)と、Kindle 2(右)。基本的なキーレイアウトは維持しつつも、外見はまったく違う製品といっていいほど変化している。E Ink電子ペーパーも4階調から16階調へと性能が引き上げられている

 ハードウェア面では、E Ink電子ペーパーが4階調から16階調へとスペックアップしたことで写真などの階調表現の再現性がより向上したほか、もっさりとしていたページめくりも初代モデル比で20%高速化された(実際に使い比べるとそれ以上の速さの差を感じる)。余談だが、USBコネクタがminiBではなくmicroBが採用されたのも、業界的にはかなり早いタイミングでの採用であり、先を見据えた変更点の1つだったといえるだろう。

 一方、初代ではユーザーが交換可能だった内蔵バッテリーが固定式に変更されたほか、カードスロットが廃止されるなど、仕様だけ見ると自由度が低下したように見える個所もある。しかしこれは初代の利用スタイルを突き詰めた結果、オミット(除外)しても差し支えないと判断された結果だろう。なおメモリカードが利用できなくなったことで、内蔵メモリは初代の180Mバイトから2Gバイトへと、大幅に増量されている。

 このKindle 2のリリースから3カ月遅れで投入されたのが、大画面バージョンともいえる「Kindle DX」だ。9.7インチという大画面を搭載したこのモデルは、主に文教市場をターゲットにした製品だったが、それまでの「6インチは小さすぎる」という声に対してのひとつの有効な回答だったといえる。事実、これをきっかけに、Kindle Storeに参加した教育系の出版社も多い。Kindle DXは、ボディカラーなど若干のマイナーチェンジは行われつつ、第4世代モデルが登場した現在も継続して販売されている。

Kindle 2(左)とKindle DX(右) Kindle 2(左)と、Kindle DX(右)。右下の5wayコントローラなど、同じ世代の製品ならではの特徴が見られる。Kindle DXの解像度は1200×824ドットと、Kindle 2(800×600ドット)のおよそ2倍

 ハードウェアの拡充とともに、プラットフォームの増加も見られるようになってきた。2009年3月には、Kindle Storeで購入した電子書籍をiPhoneで読めるアプリをリリース。Kindleを所持していなくともKindle Storeで本を買って読むことが可能になったほか、外出先ではiPhone、続きは自宅でKindleで電子書籍を読むという使い分けができるようになった。その後、Windows、Mac OS、Android、Blackberryなど、多彩なプラットフォームに対応したアプリを次々とリリースし、自社端末にこだわらない姿勢を鮮明にしている。

2009年10月:国際版の登場で、日本国内からも購入が可能に

 この年のもう1つのトピックは、「国際版」という位置付けで、日本を含む海外へKindle 2の出荷が可能となったことだ。日本にいながらにして、Kindleが購入可能になったのである。

 日本語フォントは搭載していないため、日本語フォントがあらかじめ埋め込まれたファイルでなければ表示できなかったが、売りであるフリーの3G回線は日本国内でも利用できたため、多くのユーザーが飛びついた。まず最初に「Kindle 2」、追って「Kindle DX」が購入可能となり、日本国内の媒体でレビューを見かける機会も多くなってきた。Amazon.co.jpではなく米Amazon.comから直接購入するこのスタイルは、現在に至るまで継続している。

 国内でKindleが購入できるようになったことを受け、青空文庫のデータをKindleで読める「青空キンドル」が発表されたり、漫画家のうめ氏がKindle Storeで初の日本語漫画「青空ファインダーロック(AOZORA Finder Rock)」を発表したのもこのころだ。Kindle Storeの蔵書数はこの時点でおよそ30万点に達し、このころからKindle Storeの国内展開のうわさが業界の内外で本格的にささやかれるようになってきた。

 また、国際版の出荷開始からほどなく、PDFのネイティブ表示をサポートしたのも機能面では大きな進歩といえる。それまでKindleでPDFを表示するには、専用のメールアドレスにドキュメントを送信して変換するプロセスを経る必要があったが、ファームのアップデート後はUSBで転送するだけで表示できるようになった。自炊データのビューワとしての利用を現実的なものにしたのがこの時期だといえる。

 なお、PDFのネイティブ表示のアップデートは、ほかのアップデートと同様、3G回線を利用した自動アップデート、現在で言うOTA(Over The Air)という形で行われた。筆者個人も、当時所持していたKindle 2が朝起きたらいつの間にかPDFを表示できるようになっており、驚いた記憶がある。

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