この冬、この漫画であったまろう! 今をときめくラブコメ漫画10選恋と笑いの最先端(4/5 ページ)

» 2012年12月28日 11時52分 公開
[漣,ITmedia]
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濃すぎるキャラが目白押し! 『月刊少女野崎くん』(椿いずみ)

photo 『月刊少女野崎くん』(作:椿いずみ)

 ラブコメ漫画という枠で作品を紹介しているこの記事ですが、『月刊少女野崎くん』はラブ1割・コメ9割といったバランス。ほとんどギャグしかやってません(笑) 笑って元気になれる作品です。

 作者の椿いづみさんはストーリー漫画の『俺様ティーチャー』も連載中ですが、本作『月刊少女野崎くん』は4コマ漫画。きっちり起承転結があって分かりやすく、4コマ漫画としてのベーシックな楽しさがあります。特に、キャラクターの濃さがいい! リアルでは無愛想だけど乙女色全開の少女漫画を描いている野崎くん。イケメンなのに恥ずかしがり屋かつツンデレでオタク趣味まで開花させた御子柴くん。「学園の王子様」なんて呼ばれている女たらしの女の子、鹿島さん……などなど。いうなれば変人オンパレード状態です。

 作中ではそこに「漫画家漫画」としての要素が絡みだします。みんなでアシスタントをしたり、漫画のネタにしようとヘンなことに挑戦してみたり。野崎くんの担当編集者たちも登場しますが……編集者も変人だらけだ(笑)

 恋愛漫画のテンプレートをヒラリと回避するギャグも多いです。いかにも少女漫画なシチュエーションを、笑いに変えていく。お約束の展開のはずが……あれ? と予想を裏切る残念感がたまらないですね。

 この作品を「ラブコメ」と考えたいのは、主人公・千代の恋心が基軸となって物語が展開していると思うからです。まぁ全然報われない恋なんですけど(笑)。変人だらけの漫画家コメディーは、ますます面白くなっていくポテンシャルも感じます。連載はWebコミックサイト『ガンガンONLINE』で更新されているので、まずは気軽に読んでみてはいかがでしょう。

努力と才能をめぐる女子高ラブコメ 『やさしいセカイのつくりかた』(竹葉久美子)

photo 『やさしいセカイのつくりかた』(作:竹葉久美子)

 自分には才能がある! と断言できる人って、どれだけいるんでしょう。本作『やさしいセカイのつくりかた』は、自身の才能に悩みながらも向き合う人々を真正面から描いています。ちょっと堅苦しそうに聞こえるかもしれませんが、ラブコメとしての華やかさもあり、緩急のついたバランスのいい作品です。

 主人公の友永は19才の天才学者。海外で活動していたものの、研究が打ち切りとなってしまい、女子高で講師として働くことになります。そこで出会うのが2人のヒロイン、草壁ハルカと広瀬葵。才能という視点からも、恋愛漫画におけるキャラクターという視点からも、タイプが違う2人です。

 初々しいリアクションをたくさん披露して読者をニヤニヤさせるのはハルカです。この子は外見こそギャルっぽいですが、中身は真逆の乙女。過去のトラウマから男性恐怖症となるも、あこがれの友永先生と並ぶためにモデルの道を歩み出す彼女は、努力の人でもあります。「特別」な人間として生まれなかったのなら、自分の力で「特別」になってやる、と。

 一方の葵は、天才だけどそれを周囲には知られたくないという少女。才能を生かす未来も望んでいない。同じ天才同士ということで友永との距離も縮まっていきますが……。自分のことで精一杯で、大切なもの見逃してしまうのは、もったいないぞ! という感じ。

 ラブコメ要素と、才能を巡るテーマ――その2つの領域が物語の中で混じりあい、複雑な状況を生み出し、面白さにつながっています。ラブコメと聞くと、何か都合のいい萌え漫画をイメージする人もいると思いますが、本作では女性のズルさが見える生臭いシーンなんかもあったりと、決して生やさしくありません。年齢に関係なく、恋に本気になった女性は怖いものなのかもしれない……

 そして、悩み多き思春期の女の子たちを導くべき主人公の友永先生も、絶対の答えを知る大人としては描かれていません。彼もまた、研究者としての自分と教育者としての自分の間で揺れているんです。少女たちだけでなく、キャラクターみんなの成長が楽しみな漫画の1つといえるでしょう。爽やかなタッチで読みやすく、幅広い人にオススメしたい作品です。

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