これまで、主要な電子書店のアプリを「ビューワの読みやすさ」という観点で、Nexus 7の「文字編」「画像編」と、iPad miniの「文字編」「画像編」という比較検証を行なってきた。小説や漫画であれば7インチ級の端末でも充分だが、電子雑誌となるとさすがに読むのが少々辛い。そこで今回は、10インチ級の端末を用いて電子雑誌の表示を検証する。
評価に用いた端末は、Googleの「Nexus 10」。Nexus 7と同様に、工場出荷状態ではGoogleのアプリ以外何も入っていない、”素”のAndroid端末。本体サイズは263.9×177.6×8.9ミリと、週刊誌などでよく用いられるB5版(257×182ミリ)に近いが、ベゼルが厚めなので液晶部分は「屍者の帝国」単行本(134×192ミリ)とほぼ同じサイズだ。
ただ、同製品の特徴でもある2560×1600ピクセル(300ppi)という超高解像度ディスプレイは、小さい字でも鮮明に表示できる(もちろん元データの画質に依存する)ため、小説・漫画はもちろん、電子雑誌を読むのもそれほど苦にならないだろう。重さは603グラムと、無線綴じのマンガ週刊誌(約700グラム)よりは軽い。また、左右のベゼルにすべり止めがあるので、片手で持っても滑りにくい。縦向きの場合は、インカメラが付いている側の背面に滑り止めがある。
本稿では、Nexus 10上で電子書店のアプリをビューワ部分のみ比較する。その前に、Nexus 10には対応していない電子書店について触れておこう。これまでレビューをしてきたうち、「ニコニコ静画(電子書籍)」と「iBookstore」にはAndroidアプリが存在しない。また、「紀伊國屋書店Kinoppy」「koboイーブックストア」「Kindleストア」「BOOK☆WALKER」、そしてNexus 10にプリインストールされている「GooglePlayブックス」は、雑誌の取り扱いが少ないため今回の比較対象からは除外した。
以下では、まず電子雑誌の専門電子書店であるFujian.co.jp、マガストア、雑誌ONLINE、Zinioを、次に電子雑誌の取り扱いもある総合電子書店のhonto、BookLive!、GALAPAGOS STORE、Reader Store、eBookJapanの順で紹介していく。
株式会社富士山マガジンサービスが運営する雑誌のオンライン書店「Fujian.co.jp」のAndroidアプリ「雑誌のFujisanReader」。本稿執筆時点のバージョンは2013年4月9日更新のA2.2.1。
2000誌近くの電子雑誌を取り扱っており、国内では最大級のストアだ。バックナンバーも、かなり前のものまで購入可能だ。紙雑誌の通信販売や定期購読も受け付けている。
ページめくりごとに、ページ全体が鮮明な状態になるまで少し時間がかかるのが気になる。また、サムネイルの一覧は中央以外が傾いた状態で表示されるが、視認性はさほど高くない。洒落たUIより、ページの中身をしっかり把握できるようにしてほしいと感じる。
電通とヤッパが運営する電子雑誌書店「マガストア」のAndroidアプリ「マガストア 電子雑誌書店」。本稿執筆時点のバージョンは2013年3月4日更新の3.3.0。
取り扱い電子雑誌数は、アプリの説明文には「350誌以上」とあるが、サイトの「雑誌名から探す」から調べたところ177誌が確認できた。
画質はFujisanReaderより若干劣る印象だが、その分ページ切替時の表示が早い。サムネイル一覧は小さく、何が書いてあるか判別するのは困難だ。
雑誌オンライン株式会社の運営する電子書店「雑誌オンライン+BOOKS」のAndroidアプリ「雑誌オンライン」。本稿執筆時点のバージョンは2012年6月21日更新の1.11。
取り扱い電子雑誌数は、アプリの説明文には「300誌以上」とある。「オンライン書店e-hon」との提携により、紙雑誌の通信販売や定期購読申し込みもできる。
ページの切り替えはマガストアと同程度の速度で、ちょっとしたアニメーションのギミックがある。画質は比較的良い。また、ページ一覧の表示は分かりやすく使いやすい。
米zinioが運営するデジタル雑誌・デジタル書籍「Zinio」のAndroidアプリ「Zinioマガジンリーダー」。本稿執筆時点のバージョンは2013年4月8日更新の2.2.6313。
米企業がグローバルで展開していることもあり、海外の雑誌も豊富なのが特徴。ただし、試し読みは用意されていない。
文章部分を拡大すると気づくのは、文字はベクタ画像(ドットではない)になっており、他ストアのように拡大してもジャギー(ドットのギザギザ)が出ないため非常に読みやすい。
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