これまで、さまざまな電子書店を「ラインアップ」「本の探しやすさ」「購入しやすさ」「読みやすさ」「保存性」という観点で、1件づつ縦掘りする形のレビューを行なってきた。実際に各電子書店をじっくり利用してみると、そこで得られる「読書体験」にもかなり違いがあることに気付かされる。そこで本稿では、「ビューワの読みやすさ」という観点で、複数の主要な電子書店のアプリを横軸で比較してみたい。
評価機に用いたのは、9月に発売されたGoogleの「Nexus 7」だ。工場出荷状態ではGoogleのアプリ以外何も入っていないという、まさに”素”のAndroid端末。サイズは120x198.5x10.4ミリと、四六判(127×188ミリ)と呼ばれている一般的な単行本とほぼ同じ大きさ。重さは340グラムと、一般的なハードカバー(約400グラム)より軽量で、片手で長時間持っていても苦にならない。裏側はラバー調に加工されていて滑りにくいので、左手だけで持って親指でページめくり操作ができる。電子書籍を読むのにお勧めのAndroidタブレットの1つだ。
本稿では、Nexus 7上で電子書店のアプリをビューワ部分のみ比較する。その前に、Nexus 7には対応していない電子書店について触れておこう。
これまでレビューをしてきたうち、「honto」と「koboイーブックストア」は本稿執筆時点で未対応だ。hontoにはAndroidアプリがあり、Nexus 7にもインストールはできる。しかし、ログインしようとするとエラーが出る。これは、通信キャリアの回線がないと利用できない仕様になっているためのようだ。hontoの詳細なレビューは『電子書店完全ガイド――honto』で確認してほしい。
また、koboイーブックストアは海外でAndroidアプリがリリースされているが、日本のストアに対応していないため、日本のGooglePlayからはダウンロードできない。ただし、先日年内リリース予定とのアナウンスがあったので、もうすぐ利用できるようになるだろう。koboイーブックストアの詳細なレビューは『電子書店完全ガイド――楽天koboイーブックストア』にまとめている。
以下では、BookLive!、紀伊國屋書店(Kinoppy)、GALAPAGOS STORE、Kindleストア、Reader Store、BOOK☆WALKER、Google Playブックスの順で紹介していく。
電子書店「BookLive!」のAndroidアプリ「BookLive! Reader。本稿執筆時点のバージョンは10月31日更新の2.1.3。BookLive!の詳細なレビューは『電子書店完全ガイド――BookLive!』で確認してほしい。
BookLive! Readerでは、フォントサイズ、行間、文字間、余白の調整と、文字色と背景色の変更、縦書き横書きの変更、ルビ表示のオン/オフができる。標準フォント以外に、推奨フォントとして凸版明朝と凸版ゴシックをダウンロードしてそれらを選択できる。
フォントダウンロードをキャンセルすると、Android4.1から採用されているシステムフォントのモトヤマルベリで表示される。推奨フォントをダウンロードすると、このフォントは選択できなくなる。
電子書店「紀伊國屋書店BookWebPlus」のAndroidアプリ「紀伊國屋書店 Kinoppy for Android」。本稿執筆時点のバージョンは11月14日更新の1.3.15311で、Android4.1での画面キャプチャ。Android4.2にアップデートをすると、カギ括弧が表示されなくなるなどの不具合が報告されている。伊國屋書店BookWebPlusの詳細なレビューは『電子書店完全ガイド――紀伊國屋書店BookWebPlus』だ。
Kinoppy for Androidでは、フォントサイズの調整と、縦書き/横書きが変更できる。ピンチイン・ピンチアウトで縮小・拡大、その後右上のAアイコンをタップすると、リフローする。フォントの種類は標準フォントがIPAexゴシックで、IPAex明朝と游明朝Pr6N Mをダウンロードして切り替えられる。行間、文字間、余白などの調整や、配色の変更は行えない。
シャープの電子書店「GALAPAGOS STORE」のAndroidアプリ「電子書籍 GALAPAGOS」。本稿執筆時点のバージョンは11月20日更新の2.3.9。電子書店の詳細なレビューはこちら。
電子書籍 GALAPAGOSでは、フォントサイズの調整と、文字色と背景色の変更、ルビ表示のオン/オフ、段組表示のオン/、縦書き/横書きの変更ができる。ピンチイン・ピンチアウトで縮小・拡大し、指を離すと自動的にリフローする。フォントの種類は端末のフォント設定(システムフォントはモトヤマルベリ)に従う形になっており、変更はできない。また、行間、文字間、余白などの調整もできない。なお、ビューワはキャプチャが撮れないように機能制限されているため、ここでは画面を撮影したものを用意した。
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