ヤクザの組長が、「金持ち弁護士」に託した切ない恋の行方は?電子コミック・プチレビュー

弁護士マンガの面白さは、法律の専門知識と、ヒューマンドラマにあります。『ドーラク弁護士』はその両方を兼ね備えた、一流のエンターテインメントです。

» 2014年11月28日 10時00分 公開
[新崎幸夫,ハートコミックス]

 今回ご紹介する『ドーラク弁護士』は、その名から分かる通り、弁護士を題材にした作品です。主人公の弁護士、正義 乃味方(まさよし のみかた)は、相当な資産家という一面を持ち、問題解決のためには惜しみなく資金・人脈をつぎ込みます。この「金持ちならでは」の解決法が、ときに意外で、ときに痛快なのです。

およそ弁護士事務所とは思えない豪華な部屋で美女に囲まれているのは…… およそ弁護士事務所とは思えない豪華な部屋で美女に囲まれているのは……
正義 乃味方! 出ました、正義 乃味方! コメディタッチの名前ですが、決めるところはバシッと決めてくれます

 乃味方の下には、毎回さまざまな依頼人が訪れますが、ある時の訪問者は意外な人物でした。何とヤクザの世界の大物、大黒天造(だいこくてんぞう)会長です。乃味方は、「ヤクザの仕事は受けない」と断ろうとしますが、大黒会長の懇願によって、しぶしぶ依頼を受けることになります。その依頼とは、会長の過去の恋にまつわるものでした。

 実は、大黒会長は少年時代、子爵令嬢の偲(しのぶ)さんに恋をしたことがあったのです。しょせんかなわぬ恋でしたが、大黒会長が手を大ケガしてまで偲さんを助けた……というエピソードもあり、一時は相思相愛のようにも見えました。しかし、やがて偲さんは名門家に嫁ぐことに。大黒会長は切ない思いを抱え、偲さんがお婆さんになるまで、ずっと見守ってきたのです。

「お嬢さん 私なんかと口をきいちゃいけません」。大黒会長は少年時代から、いつも一歩引いたところで子爵令嬢を思い続けていました

 そんな中、偲さんの孫娘が、結婚詐欺師にたぶらかされてしまうというトラブルが起こります。大黒会長が動けば、詐欺師を潰すことはたやすいことですが、その立場上、組同士の大規模な抗争に発展してしまう恐れも。そこで大黒会長は何と、土下座をしてまで乃味方に支援を頼むのです。

 ここからは、意気に感じた乃味方と、詐欺師との法律バトルが繰り広げられます。逆転につぐ逆転で、ハラハラさせられますが、最終的に乃味方が駆け引きに勝ち、詐欺師を撃退します(詳細はぜひ、マンガで確認してください!)。

 しかしほっとしたのも束の間、今度は偲さんの健康が悪化してしまいます。実は、彼女は不治の病に侵されていたのでした。最期の瞬間、それまでずっと陰の存在に徹していた会長は、ついに偲さんの下に駆けつけることを決意します。いそげ、会長! 今こそ偲さんに、会いに行くんだ!


大黒天造さんです

一生にただ一度 心を寄せたのが
偲奥様 この人です

…恐らく 奥様も…。

会長 もう言葉は届かないでしょうから
せめて手を握ってあげて下さい

 会長が駆けつけたとき、偲さんは既に昏睡状態。間に合わなかったか、と気落ちする大黒会長が乃味方に促されるまま偲さんの手を握ると――2人の間に、奇跡は起きたのです。

 この話に限らず、ドーラク弁護士は「しんみりして、泣ける」極上のヒューマンドラマが満載です。ぜひ一度、手に取ってください! 現在ハートコミックスなどで全12巻、基本無料にて読むことが可能です。

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