最後に、読みやすさの検証です。
eBookJapanで販売している電子書籍は、Windows(Vista以上)、Mac(OS X 10.7以降)、Android(4.0以降)、iPhone・iPod touch・iPad(iOS 5以降)、Windows Mobile(6.1以上、Windows Phone 7.5は非対応)、ブラウザ楽読み対応ブラウザ(推奨はInternetExplorer 10以上、Firefox 5以上、Chrome 7以上、Safari 5以上)など、対応デバイスの種類はトップクラスです(☆+0.5)。
Kindle FireシリーズなどGoogle Play非対応のAndroid系タブレットでも、「提供元不明アプリ」のインストールを許可した上で「Tapnow Market」からアプリをインストールすれば読むことができます。
ただし、コンテンツによっては一部のデバイスに未対応な場合があります。具体的には、リフロー型の作品の一部はAndroidにのみ対応と表示される場合があります。(.book形式が該当するようですが、書誌情報上は「リフロー型」とだけ表示されるため判別ができません)。
これは、従来はiOSも対応していた本が、アプリのバージョンアップによって閲覧できなくなる問題が起きているためです。作品詳細ページ上では一時的に「利用不可」の扱いになっていますが、「ebiReader.B」という一部機能を限定したアプリを使うことで暫定的に閲覧可能です。ただし、デバイス登録がどちらか一方のアプリになるなど、若干不便な状態になっています。
1つのアカウントに登録できる端末の台数は、5台に制限されています。端末登録は、アプリの[設定]-[トランクルーム設定状況確認]からいつでもどの端末からでも解除できます。登録・解除の回数に制限はありません。
最後に読んだ本や最後に読んだ位置が、ほかの端末と同期されないのは以前と変わっていません。フォントの種類変更、行間や余白の調整、文字色と背景色の変更、全文検索、付箋メモやハイライト、辞書・ウェブ検索、範囲選択してSNS投稿といった読書補助機能は備えていない場合が多く、「読む」ことに特化したシンプルなビューワのままとなっています(☆-0.5)。
機能 | PC | Mac OS | iOS | Android | |||||
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入稿フォーマット | 画像 | EPUB/XMDF | 画像 | EPUB/XMDF | 画像 | EPUB/XMDF | 画像 | EPUB/XMDF | .book |
読んでいるページや付箋など、読書情報の自動同期 (トランクルームへのアップロード不要) |
○ | ○ | ○ | ○ | |||||
フォントサイズ変更 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
行間や余白の調整 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
文字色と背景色の変更 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
全文検索 | ○ | ○ | |||||||
付箋メモ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
ハイライト(マーカー) | ○ | ○ | |||||||
辞書 | ○ | ○ | |||||||
ウェブ検索 | ○ | ○ | |||||||
複数色の付箋とメモ(文字単位ではなくページ単位)、行間や余白の調整などに対応しています。
こちらはスクリーンキャプチャができない仕様ですので、画面表示は割愛します。Windows版同様、複数色の付箋とメモに対応しています。「読書」メニューに文字の方向や文字色/背景色、余白、行間、文字間などが表示されますが、入稿ファイルフォーマットによって機能差があります。
前々回のレビュー時とほとんど変わっていません。他のデバイスには搭載された付箋メモも、Android版は未対応のままです。他デバイスにない機能としては、游明朝、IPAexゴシック、外字フォントのダウンロードが可能な点が挙げられます。
複数色の付箋とメモ機能が追加されました。iOSデバイス間では最後に読んだ本や最後に読んだ位置、付箋位置やメモ内容が自動同期されますが、OSが異なるデバイス間での同期は自動ではなく、トランクルームにアップロードすることで初めて行えるようになっています。
ブラウザビューワは、前回のレビュー時とほとんど変わっていません。リフロー型には未対応です。
他の電子書店に比べ、画質が明らかに良いのは特筆すべき点です(☆+0.5)。その分ファイルサイズが大きくなりがちですが、即読みダウンロードによって待たずに済むようになっています。問題になるとすると、端末のストレージを圧迫してしまう点でしょうか。
画質の良し悪しは、細い線や小さな字、輪郭などで顕著な差になって現れます。下図の拡大図はドットバイドットなので、ぜひクリックして確かめてみてください。なお、比較対象の『アフタヌーン 2015年7月号』は、eBookJapan版のファイルサイズは565.6Mバイト、Kindle版のファイルサイズは164.2Mバイトでした。
評点:☆3.5
ストアはデザインリニューアルによって見栄えがよくなりましたが、機能的に旧ストアより劣る状態なのが非常に残念なところ。それでもリリース直後より良くなっているようなので、かなりのリソースを割いて改善に当たっているものと思われます。
ラインアップ数、対応デバイスの多さ、決済方法の多彩さ、画質の良さはトップクラスで、トランクルーム本棚も以前に比べたら相当使いやすくなっています。あとは、マンガ専門店ならそれほど重要ではなかった読書補助機能の充実が待たれるところです。自動同期やマーカー、全文検索、辞書機能など、他の電子書店では実現できていることがまだたくさん残っています。
フリーライター。日本独立作家同盟理事長で、『月刊群雛』と『群雛ポータル』の編集長。ITmedia eBook USER、INTERNET Watch、ダ・ヴィンチニュース、マガジン航などに寄稿。ブログ『見て歩く者』で、主に電子出版、ソーシャルメディア、著作権関連の記事を執筆。著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』は弁護士福井健策氏の監修。
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