電子書籍リーダーの非接触通信:書店はNFCをどう顧客サービスに組み込むべきか
Androidベースの電子書籍端末やタブレットが数多く登場しているが、非接触通信(NFC)を活用したサービスはまだ電子書籍市場にはほとんど存在しない。さて、電子書籍市場でNFCはどんな使い方が考えられるだろう。
Near Field Communication(NFC)あるいは非接触通信と呼ばれる技術は、スマートフォン領域で最近ホットな話題になっている。自分のデバイスをほかのデバイスと近接させるだけでデバイス間通信が可能になるNFC。米国やカナダではNFCを活用した決済サービスがよく知られている。接続はWi-FiまたはBluetoothで確立され、Google Walletといった新たなクラウドサービスがデバイスを利用したビジネスをより簡単にしている。電子書籍リーダーとこれらの製品を販売するストアはNFCによる恩恵を受ける可能性があるだろうか。
多くの新規書籍小売業者は電子書籍と電子書籍リーダーの世界に進出している。例えば、英国のWaterstonesは自社の電子書籍リーダーと電子書籍ストアの開発を表明している。同社はNFCを自社デバイスに組み込むことで、顧客に実店舗への来店と値引きされた書籍の購入を促す動機を提供できるかもしれない。一方、Barnes & Nobleは「More in Store」と呼ばれる独自のプログラムを持ち、ユーザーは無料アプリをダウンロードしたり実店舗内で本を読んだりできる。
NFCは電子書籍にも進出している書籍小売業者が自社ブランドデバイスに新機能を追加することを可能にし、それによりこの技術をより現代的に感じさせることができるかもしれない。電子書籍リーダーを所有する多くの人はよく近所の本屋へ行って、オンラインでどの本を買うのか決めるのに新刊や本の表紙をチェックしている。多くの場合、近所の本屋は電子書籍を販売しておらず、潜在顧客をオンラインのバーゲンハンターにしてしまっている。そういった本屋があらゆる店舗にNFCユニットを設置し、電子書籍リーダーを持つ顧客が即座に本を購入し自分のデバイスに同期できるとしたらどれほど興味深いだろうか。
NFCは電子書籍の世界に進出しようとしている書籍小売店に大きな利益を提供する。自社で電子書籍リーダーを製造している大規模小売チェーンがデバイスにNFCを組み込んだ場合、ほかのどの企業も行なっていない新サービスや利便性を顧客に提供できるかもしれない。
問題は、あなた自身が電子書籍リーダーにNFCを備えるのは良いアイデアだと思うかどうか。そして、それを利用して書籍を購入するかどうかだ。
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