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Google Walletは“広告”のため――キーパーソンが語る海外NFC事情Open Mobile Summit 2011 San Francisco(1/2 ページ)

海外でも携帯電話を“おサイフ”として使うサービス立ち上がりつつある。米SFで開催されたOpen Mobile Summitのパネルディスカッションから、サービスを展開するプレイヤーの狙いや小売店側の思惑がかいま見える。

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 急速に普及し始めたスマートフォンはモバイル業界の勢力図を大きく塗り替え、新たな市場やビジネスモデルを次々と生み出してきた。世界的にスマートフォンが普及期に入った今、それを土台としたトレンドとして、ソーシャルとコマースが注目を集めている。

 11月初旬に米サンフランシスコで開催されたモバイル系イベント「Open Mobile Summit Sun Francisco 2011」のモバイル決済をテーマとしたパネルに、NFCを活用した決済サービス「Google Wallet」を推進するGoogle、デジタル決済大手のPayPal、クレジットカードのVisa、金融機関のCiti Groupの4社のキーパーソンが登場し、意見を戦わせた。

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左からGoogleのオサマ・ベディエ(Osama Badier)氏、Visaのビル・ガジャ(Bill Gadja)氏、Citiのディクソン・チュー(Dickson Chu)氏、PayPalのデビッド・マーカス(David Marcus)氏

モバイル決済は当面乱立状態?――火花を散らすGoogleとPayPal

 おサイフケータイが普及している日本と違い、世界のほとんどの国では携帯電話を利用した決済サービスはこれからスタートする。この市場でのデファクトスタンダードを目指すGoogleは、5月にNFCを利用したGoogle Walletを発表。9月に米国でサービスを立ち上げた

 対するPayPalもモバイル決済を強化しており、PayPalアカウントの所有者がモバイル端末を利用して決済できるソリューションや、端末のNFC機能を利用してユーザー間で送金できるAndroidアプリなどの開発を進めている。

 Googleで決済分野を率いるバイスプレジデントのオサマ・ベディエ(Osama Badier)氏は、「(Google Walletを含む)複数の“ウォレット”(=財布、決済)システムが出てくるだろう。これは利用者にとっても業界にとってもよいこと」という見方を示し、自社の狙いについては、「Googleのビジネスは広告」と言い切る。顧客である小売店は、「これまではオンラインでのセールスを狙ったオンライン広告を展開していたが、端末を利用した決済が“リアルの場”にまで広がれば、オフラインを含むあらゆるセールスを狙ってオンライン広告が打てるようになる。広告投資効果が改善する」と、Google Walletのメリットを説明した。「われわれは広告を変えた。今後も変えていく」とベディエ氏。なお、同氏は2011年はじめにGoogleに移籍するまでPayPalのモバイル決済チームに所属しており、PayPalはベディエ氏とGoogleに移籍したもう1人の元社員を、企業秘密の不正利用で提訴している。

 一方、PayPalが買収したZongの元CEOで、現在はPayPalのモバイル決済部門を率いるデビッド・マーカス(David Marcus)氏は、「さまざまなものが出てくるだろうが、ユーザーは最終的には1つを選ぶ」と見る。そして、(決済機能をモバイルに移すGoogleとは異なり)クラウドで決済サービスを提供するPayPalのソリューションの場合、オンライン、オフライン、モバイルの3つをカバーできる点を強調した。PayPalにはすでに1億人のアクティブユーザーがおり、「今後はアカウント――つまり『ウォレット』保有者に、いつでもどこでも決済サービスを利用できるようにしていくことが課題」と述べ、スタートしたばかりのGoogleを大きくリードしている点を強調した。

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