Simon & Schuster、電子書籍の集団訴訟で和解
独禁法違反の疑いで米司法省から提訴されたAppleと出版大手5社。消費者から集団訴訟も起こされているが、Simon & Schusterが司法取引で集団訴訟から除外された。
独禁法違反の疑いで米司法省から提訴されたAppleと出版大手5社――Penguin、Macmillan、Hachetter、Simon & Schuster、Harper Collins――。集団訴訟も起こっているこの動きで、5大出版社のうち3社はすでに司法省との和解に至っているが、ここにきてSimon & Schusterが集団訴訟から新たに除外された。
Simon & SchusterはHarperCollinsとHachette主導の下、司法取引を行った。この集団訴訟に関与している州政府司法長官との合意に至り、デニス・コート裁判官はSimon & Schusterを訴訟手続きから除外した。集団訴訟を起こした州の数は当初16州だったが、後から原告に加わる州が増え、まもなく29州となる。
和解条件は明らかにされておらず、Simon & Schusterが明らかにすることもないだろうが、価格操作の容疑により消費者におよそ2.5億ドルの損害を与えたとする向きもあり、これは原告ができるだけ多く回収を目指す金額でもある。
訴訟手続きで和解に応じていないのはApple、Penguin Group、Macmillan。これら3社は不正行為はなく、電子書籍業界が既存のホールセールモデルからエージェンシーモデルへ切り替わったのは純粋に業界の進化の結果だと主張している。しかし、原告は談合が行われた結果、被告がAmazonの電子書籍マーケットシェア90%の牙城を徐々に崩壊させたとしている。エージェンシーモデルへの切り替えにより、Amazonのシェアは60%に下落した。
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