Google、フランス出版業界との和解が成立:Google Book Search裁判
Googleは、Google Book Searchが著作権侵害に当たるかどうかで係争中だったフランス出版社協会(SNE)およびフランス文学者協会との間で和解が成立したことを明らかにした。
米Googleは6月11日(現地時間)、Google Book Searchが著作権侵害に当たるかどうかで係争中だったフランス出版社協会(SNE)およびフランス文学者協会との間で和解が成立したことを明らかにした。
この係争は、Googleの「Google Book Search」に関するもの。同サービスは書籍の電子化および全文検索サービスを推進しようとGoogleが2005年ごろから展開しているプロジェクトで、当初は「Google Print」と呼ばれ、その後Google Book Searchと改名、現在では「Google Books」と呼ばれている。著作権者の許諾を得ず、書籍や出版物をスキャンしサービスのラインアップを拡充することが著作権侵害に当たるとして現在に至るまでまだ決着をみていない。
米国では現在も、米作家団体Authors Guildおよび米出版社協会(AAP)と係争中のGoogleだが、今回の和解で、フランスでは一足先に決着が付いたことになる。なお、フランスでは2009年にパリ民事裁判所がGoogleによる著作権侵害を認める判決を下しているが、Googleは上告、その後一部和解していた。
今回の和解条件の詳細は明らかにされていないが、Googleはブログ「European Public Policy Blog」の中で「Writing a new chapter for French books」と題したエントリで和解に至ったことを紹介しており、今後、フランスの出版産業を支援する目的で、若者への読書奨励施策「Young Reading Champions Program」や電子書籍化促進施策「Publishing Laboratory」などのスポンサーを務めていく考えを示している。また、絶版書などは「GooglePlay Books」で電子書籍として販売することなども盛り込まれたようだ。
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