スペイン、電子書籍の付加価値税率を21%に引き上げ
電子書籍に対する付加価値税率の扱いについて揺れている欧州だが、スペイン政府は電子書籍の付加価値税率を21%に引き上げた。
スペイン政府は電子書籍の付加価値税率を極めて高い21%に引き上げたが、紙書籍の税率は4%に据え置いた。スペインでは2009年、電子書籍の付加価値税率を相応の4%に引き下げることで、同国の電子書籍産業を振興したが、その後経済的苦境に陥っており、再び税率引き上げに踏み切ったというわけだ。
紙書籍と電子書籍の税率に開きがあるのはなぜだろうか。これは、紙書籍が『文化財』と見なされ優遇税率が適用されているためで、これが適用されていない電子書籍は高税率の付加価値税を課せられている。
電子書籍を提供しようとする事業者はこの税率引き上げによりスペイン国外での事業展開を模索するだろうから、同国内の電子書籍ビジネスの発展は阻害されるだろう。これは多くの海外市場に低付加価値税率で電子書籍を提供できるルクセンブルクに欧州本部を置くAmazonを利することになるかもしれない。英国のAmazonユーザーが電子書籍を購入する際、わずかな税金で済んでいることを考えると、短期的には同様のことがスペインでも起きるかもしれない。
Publishing PerspectivesはFGEE(Federation of Spanish Publishers Guilds)の常任理事、アントニオ・マリア・アヴィラ氏にインタビューを行った。同氏はスペイン政府が出版産業にずっと寛容であったとまず述べた上で、電子書籍の付加価値税率は欧州全体で解決すべき問題であり、スペインだけの問題ではないとも話した。
「現在、電子書籍は“サービス”と捉えられているので、われわれはまず欧州政府が電子書籍を“書籍”として考えるように仕向ける必要があります」とアヴィラ氏。「これはわれわれを新しい方向へ導くことになる現在進行中の問題です」と付け加え、スペイン政府に対して出版業界は満足していると強調した。つまり、紙書籍に対する施策が十分に行われているということだ。
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