2015年1月から、EU圏では電子書籍などデジタルコンテンツのVAT(付加価値税)の税率が、法人登記国ではなく顧客側の税率に準じることになる。この制度変更に向けてEU各国の駆け引きが始まっている。
オーストリアでは、隣国ドイツと歩調を合わせるため書籍の再販制度を改定し、12月から電子書籍も対象下に置くことを可決。一方、英国では出版社団体Publisher Associationや大手書店が電子書籍のVAT率を紙書籍と同じ0%に統一するよう英政府に要請。
また、多くの欧州出版社では制度変更に伴う価格上昇分を、Amazon.comやKoboなどの電子書籍ベンダーがディスカウント要求の材料にしてくることを予想している。EU圏の電子書籍市場は来年、ちょっとした混乱が起こりそうな気配だ。
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