WebLogic Integrationの投入でインテグレーション市場に本格参入するBEAシステムズ

【国内記事】2001.10.15

 ガートナーによれば,インテグレーション(統合)市場は,今後IT関連市場の中でも,最も大きな成長を期待できる市場の1つとしている。同社の調査では,2001年に18億ドルの同市場は,2005年に56億ドルに拡大する見込み,と報告されている。

 企業内のアプリケーションやB2Bシステム,ビジネスプロセス管理などを含む同市場では,特にアプリケーションサーバ製品を提供する各ベンダーにとっては,魅力的な市場だ。現在,アプリケーションサーバ市場でトップの位置を確保したBEAシステムズも,同市場への拡張を目指し今年の6月に,アプリケーションインテグレーションサーバ製品「BEA WebLogic Integration」をリリースしている。

米BEAシステムズのECインテグレーション事業部CTO,ロッキー・スチュワート氏

 先週,インテグレーションの現状を紹介することを目的に開催された「Integrate Tokyo 2001」セミナーの基調講演のために来日した米BEAシステムズのECインテグレーション事業部CTO(技術最高責任者),ロッキー・スチュワート氏は,「インテグレーション市場は,まだまだ生まれたばかり。多くのベンダーが,独自の技術に基づく製品を市場に提供している。しかし今後は,多くのベンダーが統廃合されることになるだろう」と話す。

「この分野でトップのIBMでさえ15%のシェアに過ぎない」(スチュワート氏)

 現実に,アイオナテクノロジーズがネットフィッシュを,ペレグリンがエクストリシティを,ビトリアテクノロジーがXMLソリューションズを買収するなど,既にインテグレーション市場での統廃合は始まっている。

「今後,18〜24カ月の間で,生き残れるベンダーは6〜7社に過ぎないだろう。生き残れるのは,業界標準の技術を採用している企業だけだ」(スチュワート氏)

 同氏がいう業界標準では,XMLを中心とした技術により,企業のアプリケーションや企業間のシステムをシームレスに統合し,ビジネスプロセスまでも管理できる仕組みを提供することが必要になる。そこで同社が推進するのが,アプリケーションサーバ「BEA WebLogic Server」を基盤に,BEA WebLogic Integrationを組み合わせることで,EDIやB2B,EAI,Webサービスなどを包括的に実現できる統合環境の実現だ。

 同様の戦略はIBMでも進められており,アプリケーションサーバ市場での対決に続くBEAとIBMの第2ラウンドの火ぶたが切られることになる(関連記事参照)。

 スチュワート氏は,BEA WebLogic Integrationの最大の特徴を,「簡素化,スピード,そして“Future-Proofs”だ」と話す。同社の製品を利用することで,複数のプラットフォームを統合しながら,EDIやB2B,EAI,Webサービスなどを,容易に,迅速に実現できるだけでなく,将来的に新たな技術が登場しても,構築したIT資産を無駄にすることなく活用できる共通基盤を実現できるという。

 また,インテグレーション市場では,単に統合の基盤となる製品を提供するだけでなく,いかに実装していくかがポイントになる。そこで重要なのが,システムインテグレータやコンサルティングファーム,製品パートナーなどの企業との協業だ。B2B市場では,どこと組むかで勝負が決まってしまう,という例え話もあるほどだ。

 BEAでは今年の7月に,「Integration Star Solution Program」を発表。現在,アクセンチュアやKPMGなどのコンサルティングファームをはじめ,ブロードビジョン,シーベル,ピープルソフトなどのアプリケーションベンダーなど,数多くのパートナーが参加を表明している。日本の企業としては,インフォテリアが同パートナープログラムに参加しており,BEAの製品とRosettaNetによる企業間システム連携のための仕組みを提供している。

 今後,BEAでは,BEA WebLogic Integrationの次期バージョン2.1のリリースを,2001年10月19日に米国で予定している。また,2002年第1四半期には,バージョン2.2もリリースされる計画だ。

 BEA WebLogic Integration 2.2では,より広範囲に及ぶビジネスプロセス管理やパートナーアグリーメント管理,EDI統合などの機能が追加されるほか,アプリケーション・インテグレーション・フレームワークやメッセージルーティングなどの機能が強化される。また,サードパーティーがアダプタ開発を容易にする「Adapter Development Kit」も提供される予定という。

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[山下竜大 ,ITmedia]