Interview:新ブランド浸透と共に,電子政府市場を狙うアクセリオ

【国内記事】2001.11.19

 アクセリオは,新社名とブランドの浸透を図るべく,世界の9都市を回り,プライベートセミナーを開催している。11月14日,都内のホテルで開催された「2001 Executive Leadership Series in Tokyo」のために,カナダの本社からケビン・フランシスCEOが来日した。同氏と日本法人の社長に就任したばかりの二村俊一郎氏に,同社のビジネス展開について話を聞いた。

ケビン・フランシスCEOと日本法人の二村俊一郎社長

eWEEK 今回開催する世界ツアーでアクセリオは,どのようなビジョンを訴えたいのでしょう?

フランシス われわれは,ジェットフォームからアクセリオと社名を変え,それに伴ってマーケティングメッセージも変えました。ブランドを再強化し,市場を拡大するために,生まれ変わった企業としてのアクセリオをアピールしたいです。また,日本のセミナーは,社長に就任したばかりの二村さんをお披露目する場でもありますね。

eWEEK 社名は変わっても,まだまだ電子フォームのイメージが強いと感じています。今回のリブランディングでは,どのソリューションを強く打ち出したいのでしょう?

フランシス 世界中のあらゆる企業のビジネスプロセスは,例外なく,インプット,プロセス,アウトプットという流れになっています。われわれは,これらを「Capture」「Integrate」「Present」というソリューションとしてラインアップしました。

 特定のソリューションに注力するのではなく,完全なXMLソリューションを提供できる企業として,顧客企業のビジネスプロセスの改善を支援したいと考えています。

 ちなみに,新社名は,「加速」(acceleration)と「リーダーシップ」(leadership)の2つを合わせた造語です。この社名でわれわれは,顧客企業のビジネスを加速させたいというメッセージを打ち出しました。実際に,この社名は好評ですよ。

eWEEK 日本では,やはり電子政府にフォーカスするのでしょうか?

フランシス 9月12日に,「eGovernment Accelerator」を発表しました。これは,電子政府向けソリューションで,アクセンチュアとマイクロソフトの合弁会社,アバナードがアクセリオを技術パートナーとして提供するものです。

 われわれの電子フォーム技術で電子申請画面を構築したり,申請されたデータを受け付け,システムインテグレーションをアバナードが行います。既に欧州で2件,米国で2件,政府や地方自治体で導入事例があり,最近日本でも,ある地方自治体から1件受注したと報告を受けています。電子政府市場は,ビジネスチャンスも大きく,最も注力すべき分野ですね。

eWEEK エンタープライズアプリケーションベンダーも地方自治体向けソリューションを提供しようとしています。中でもアクセリオのパートナーでもあるSAPジャパンが積極的ですが,どのようなパートナーシップを展開したいと考えていますか?

フランシス われわれのソリューションは,SAPシステムを拡張し,より良くできるものです。ですから,ERPやCRMのプロバイダーに貢献できるものなのです。

 企業システムのすべてがSAPで完結するのが彼らの理想でしょうが,実際には,レガシーなどの異種システムが混在しています。このような環境で,われわれはERPやCRMをパワフルに拡張しますし,システムをXMLベースで連携させることもできます。

 電子署名ソリューションも提供できますから,SAPが地方自治体向けにシステムを導入する場合,われわれがそれをさらに良くすることができると考えています。またSAPとは,共同検証センター「cTOP(Connectivity Technical Operation Project)」でも協業しています。

eWEEK そのほか,日本市場特定のニーズにこたえるための試みはありますか?

フランシス われわれは,マルチナショナルなスコープで製品を開発しています。日本のニーズにも対応できるように,アクセリオジャパンのスタッフがオタワに駐在していますし,私自身が最も多く出張する国も日本なのです。

 また,富士ゼロックスや大日本印刷などのパートナー企業からアイデアをもらったり,さまざまな提案を受けたりしています。例えばトランザクションベースの価格設定など,日本固有のニーズから生まれたソリューションも提供しています。

eWEEK 新社長に就任したばかりの二村さんですが,もう会社には慣れましたか?

二村 私は,IBM時代にERPの立ち上げをやって以来,ずっとソフトウェアビジネスに携わってきましたから,思ったよりすぐに慣れましたね。アクセリオは,非常に大きなポテンシャルを持つ会社と認識しています。

eWEEK 今後,二村さんがトップに座る日本法人のビジネス方針は変わっていくのでしょうか?

二村 われわれは,多くのグローバル企業を顧客としています。そして彼らをサポートするためには,代理店だけでは不充分と考えています。ですから,ダイレクトサポート部隊を社内に持つことが必要になるでしょう。

 今までは,ある意味,代理店任せでしたが,今は中小企業でも海外拠点を設ける時代です。ワールドワイドなセットでソリューションをアクセリオ自身が提供できるようになれば,それが強みとなると考えています。

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▼アクセリオジャパン

[聞き手:井津元由比古 ,ITmedia]