.Net Day開催,XML Webサービスを構築するエンジニア5000人が参加

【国内記事】 2002.3.08

 マイクロソフトは3月8日,同社が3月22日に発売する開発ツール「Visual Studio .Net」をアピールするための「.Net Day 2002」をパシフィコ横浜で開催した。同開発ツールで実現するWebサービスの優位性について触れ,.Netに準拠する製品をリリースするパートナー各社の紹介も行った。講演の終わりには,「Javaとのコラボレーション」を示唆するコメントがマイクロソフトから飛び出した。しかし,要するに,それがJavaエンジニアを.Netへ呼び込むための戦略であることを,同社自身も認めた格好になっている。巨大な会場に,5000人に上る来場者がギッシリ詰めかけた。

講演前のプレスブリーフィングに表れたトム・ボタン氏

 基調講演に立った米マイクロソフトのツール開発担当副社長,トム・ボタン氏は,「70年代にメインフレームが普及し,80年代はIBM互換PC,1990年代はGUIおよびWebの出現,そして2002年は,XML Webサービスが登場する」と話し,WebサービスがIT業界にとって非常に大きなパラダイムであることを強調した。

 同氏は,全く異なるシステムが稼動している企業同士を,Webサービスによってオーケストレーション(統合)することで,自社だけでは不可能な新しいビジネスを創造できるといった,XML Webサービスでよく話題になるメリットについて強調した。

 同氏は,Webサービスを実運用する上で,クリティカルな課題となるパフォーマンスの確保について触れる。

 Webサービスは,トラザクション当たりのパフォーマンスがまだあまり良くはない言われる。この日も紹介されたが,マイクロソフトは富士通のミドルウェア「NetCobol」によって,COBOLで書かれたメインフレームとも,Webサービス連携できるとしている。

 しかし,実際に企業に導入する場合,極端な話をすれば,メインフレームのようなハイエンドマシンで処理したデータを,Webサービスで別の企業システムと連携するような場合では,Webサービスのパフォーマンスの悪さがボトルネックになることは明らか。円滑なシステム連携は望めない。

 ボタン氏は,パフォーマンスを確保するための製品やサービスを提供する,幾つかのパートナー企業を紹介している。

 パートナー企業のトップとして登場したのはインテル。e-マーケティング本部長を務める佐藤宣行氏は,同社のサーバ用プロセッサであるXeonや,64ビットのItaniumを引き合いに,インテルがWebサービスのパフォーマンスをハードウェアの側面から支えていくことをアピールしている。

 また,東芝テックの「Cross Mission」もVisual Studio .Netにアドオンして,より使い勝手の良い開発/実行環境を提供する製品として紹介された。Cross Missionは,WX.Netを改名したもの(関連記事:.NetのWebサービスに欠かせない機能を提供する東芝テックの「WX.Net」 )。

ゼネラルセッションをリードした阿多親市社長

 続いて行われたゼネラルセッションでは,Visual Studio .Netを利用したユーザー事例も紹介されている。人事システムを構築したクボタや,モーバイル端末と.Netで営業支援システムを構築した日立製作所およびシーイーシー,SIの立場からWebサービスへの取り組みを紹介した野村総合研究所などが,それぞれのケーススタディとして話をしている。

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[怒賀新也 ,ITmedia]