エンタープライズ:トピックス 2002年5月14日更新

Webサービスによる本格的な業務アプリケーション構築を目指す日本ユニシス

 マイクロソフトは東京国際フォーラムで「The Microsoft Conference 2002/Spring」を開催している。各セッションや展示ブース全体を通じて中心となっているテーマは,WebサービスによるEAIやB2Bシステムの構築だ。在庫確認や出荷指示などの倉庫業務のWebサービスを,プロトタイプのシステムとして構築した日本ユニシスのブースに立ち寄った。マイクロソフトがプレスセミナーなどで紹介する「ドルの為替レートリアルタイム表示Webサービス」などの単純なものとはひと味違い,本格的な業務処理を行うWebサービスの登場を予感させるものとなっている。

 日本ユニシスのブースでは,同社が5月9日に発表した郵船航空サービス向けのプロトタイプシステムを大きく取り上げている。これは,倉庫における在庫確認や出荷指示などの業務をXML Webサービスで構築しているもの。

 同社のW2Kテクノロジーセンターの牧野友紀氏は,「ロジスティクスでは,発注から納品までのリードタイムをいかに短くするかが命題」と話す。その意味で,このプロトタイプシステムは,Webサービスのリアルタイム性という特性が生かされる典型例の1つとも言える。

 同システムでは,商社などの荷主が倉庫業者(郵船航空サービス)に預けている貨物の在庫確認や,倉庫業者に出す出荷指示などの業務を,Webサービス化している。倉庫業者側に構築されたのは,「在庫照会Webサービス」「出荷指示Webサービス」「権限管理Webサービス」の3つだ。

 荷主側の注文受付Webアプリケーションは,倉庫業者の出荷指示Webサービスを呼び出して,在庫確認および出荷指示を行う。もちろん,これらの処理は人の手を介さず,すべてリアルタイムかつ自動で行われる。これだけでも,従来の業務フローにおける「(人的作業による)注文データ確認,倉庫の在庫確認,出荷指示」といった作業負担を節約できる。

 また,データベースは倉庫業者側にあるため,荷主側と倉庫業者側でEDI接続によるデータの同期作業も必要なく,不整合も発生しない。

 荷主側の社内システムである売上管理システムも,倉庫業者の在庫照会Webサービスと連携していることで,担当者はデータの手入力や2重管理から開放されるという。

 同社は,このシステムを実際に導入した場合のビジネス効果にも触れている。まず,荷主側は,業務効率化によるコスト削減はもちろん,在庫管理システムをアウトソーシングすることで,コアコンピタンスの強化を図れるという。

 一方,倉庫業者側は,荷主に対してより質の高いサービスを提供できることになる。また,インターネットが地理的な制約を超えられることもあり,倉庫業者は取引する新規荷主,つまり倉庫業者にとっての顧客層を世界規模で拡大できるという。

 なお,システム環境は,荷主側はWindows XP,Excel,Office Webサービスツールキット,倉庫業者側は,Windows 2000 Server,IIS,.Net Framework,SQL Server 2000,開発環境は,Visual Studio .Netとなっている。

東京国際フォーラムで行われた同イベントは多くの来場者で賑わった

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[怒賀新也 ,ITmedia]