エンタープライズ:ニュース 2002/09/06 19:46:00 更新


「CX600」でEMCとデルが狙うもの

イーエムシー ジャパンとデルコンピュータが発表した新ストレージ製品「Dell|EMC CX600」は、両社が戦略的提携に基づき、エンタープライズのミッドレンジを狙ったものだ。

 イーエムシー ジャパン(EMC)とデルコンピュータは9月5日、「Dell|EMC」ブランドストレージ製品の新シリーズ「CLARiX CXファミリ」を発表した(別記事参照)。

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握手を交わすEMCのスティーブン・D・フィッツ社長とデルコンピュータの浜田社長

 両社は昨年10月にストレージ分野に関する提携を交わし、それに沿って「CLARiX FC4700」をベースとしたミッドレンジ向けストレージ製品、「Dell|EMC FC4700」などを共同ブランドで提供してきた。今回発表された「Dell|EMC CX600」も、FC4700と同じくミッドレンジ向けの製品だが、その中でもやや基幹業務寄りの部分がターゲットとなる。

「IAサーバで提供される基幹業務プラットフォームにつながるストレージが、CX600だ」(デルコンピュータ、営業技術支援本部本部長の長谷川恵氏)、「(CX600を)ミッドレンジのエンタープライズの標準機にしていきたい」(EMCマーケティング本部の雨堤政昭氏)。

 このためCX600は、従来機種の約3倍というパフォーマンスを実現したほか、設置スペースの効率化が図られた。さらに、オペレーティング環境の「FLARE」はもちろん、FCIPに対応したミラーリングソフトウェア「MirrorView」や、管理ツールの「Navisphere」といったソフトウェア資産をそのまま利用できることも、投資効率の向上という意味でメリットになるという。

 雨堤氏によると、今回発表されたCX600は、CXファミリの「第一弾」。今後は、ミドルレンジからローエンドをにらみ、導入しやすい機種を投入していく計画であり、「エンタープライズにおけるネットワークストレージの普及をさらに後押ししていく」(雨堤氏)と言う。

「3Sに注力する」とデルの浜田社長

 不振ぶりが浮き彫りとなったサーバ市場(別記事参照)だが、デルコンピュータはその中で、比較的堅調な成長を示している。

 デルコンピュータ代表取締役社長の浜田宏氏は、「われわれは“サーバ”“ストレージ”“サービス”という3つの“S”に注力している。ストレージについては、EMCとの二人三脚によって、今後どんどん伸ばしていく。またサービスは、ストレージと表裏一体のもの」と語る。さらに「この3つのSは、まさにトライアングルであり、これらをともに伸ばしていきたい」と述べた。

 ストレージに関しては、特にデル・テクノロジー・コンサルティング(DTC)のサービスの役割が大きいという。ファイバーチャネルのトポロジ設計や個別の機器の設定までをサポートする導入支援とサポート、保守体制を提供しているといい、「DTCではあらゆる案件に、Dell|EMCブランドのストレージを組み合わせて提案している。既に国内での導入実績は、25〜30件に上っている」(長谷川氏)。

 同氏は今後、金融や製造業のほか、海外拠点を結びたいというニーズを持つ企業などを中心に、ストレージ統合を実現するソリューションを提供していきたいと語っている。

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関連リンク
▼イーエムシー ジャパン
▼デルコンピュータ

[高橋睦美,ITmedia]