エンタープライズ:ニュース 2002/10/23 23:11:00 更新


コンピュータと通信の融合を牽引するインテル──IDF-J基調講演から

23日、都内のホテルで開催中のIntel Developer Forum 2002 Fall Japanにおいて基調講演が行われた。ゲルシンガー副社長やフィスター上級副社長、コミュニケーションズ事業本部のアンブローズ氏が登壇して、コンピュータと通信の融合を目指す技術や、エンタープライズ・インフラにおけるモジュラ・ネットワークコンセプトについて説明した。

 副社長で最高技術責任者を兼ねるパトリック・ゲルシンガー氏は、「コンピュータと通信の融合は、ある意味では1979年頃には起きていたと言えるが、現在やっと普及してきたところ」し「これからはさらにどこでもいつでも、どのような機器でも使えるようになる」と言う。この第3世代コンピューティングのためにはデバイスの機能の拡張と融合が不可欠であり、インテルのシリコンチップがその共通因子ととなることが、インテルのゴールだという。

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Baniasプラットフォームを搭載したノートPCのデモを見るゲルシンガー副社長(左)

 ゲルシンガー氏は、「2003年の早い時期」に発表予定のノートPC向けのBaniasプラットフォームを使った無線LAN接続のデモや、モスフードサービスが展開している無線LANホットスポットサービスを紹介して、コンピュータと通信の融合が進みつつあることをアピールした。NTTドコモ常務の木下耕太氏も登場した。木下氏は、3Gのさらに後に続くBeyond IMT-2000では、ピーク伝送速度が100〜1000Mbpsにも達するが、ビットコストは劇的に下げなくてはならず、基地局にインテルの「汎用チップ」を使うことで、コストを下げられないかという考えを述べた。

 また、ハイパー・スレッディング対応と非対応のPentium 4を使ったパフォーマンスの比較デモや、安全なコンピューティングのための技術「LaGrande」の説明も行った。LaGrandeは、CPUとチップセットを拡張して、実行中のプログラムやメモリ、ストレージを保護できるようにするというセキュリティ技術。マイクロソフトの「Palladium」などと、業界で協調して2、3年後にデスクトップPCへの導入を目指すとしている。

 ゲルシンガー氏に続いて、マイク・フィスター上級副社長、コミュニケーションズ事業本部のアンソニー・アンブローズ氏の2人が、「エンタープライズ・インフラストラクチャのモジュール化」をテーマに、企業ITシステムのROIやスケーラビリティといった課題に対する、インテルの取り組みを紹介した。

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フィスター上級副社長(右)とアンブローズ氏(左)

 フィスター氏はItaniumプロセッサファミリの現状と将来について、7月に量産開始したItanium 2がエンタープライズ向けのベンチマークテストで世界記録を数多く達成したことを挙げながら「Itanium 2は市場に浸透しつつある」とした。ステージ上では日本電気のItanium 2×32way構成の「TX7」サーバの動作デモを行ってそのパフォーマンスの高さを示すと共に、一部のプロセッサモジュールを次世代のMadison搭載のモジュールに差し替えても問題なく動作することもアピールした。日本電気によれば、さらにその次世代の「Montecito」でも同様にプロセッサモジュールを交換するだけで動くという。なおこのデモでは、「64bit版 Microsoft Windows .NET Server 2003ベータ」と「Oracle 9i Database Release 2 for 64-bit Windows - Developer's Release」が使用されていた。

 このほかアンブローズ氏が、世界初というモバイル向けギガビットイーサネットコントローラ「82540EP」やシリアルATA IIフェーズ1をサポートする「31244シリアルATAコントローラ」、NASアプライアンスなどに向けた低発熱の「超低電圧版Celeron400MHz版」、iSCSIアダプタ「インテルPRO/1000T IPストレージ・アダプタ」を紹介した。またストレージやI/Oバス規格、ドライブメーカー、ボードメーカー、RTOSメーカー、組み込みシステムメーカーなどの業界各社と協力して、モジュール化を進めていくと述べた。

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[佐々木千之,ITmedia]