エンタープライズ:ニュース 2003/05/07 10:59:00 更新


「IBMとベリタスのコミットは顧客が決定している」IBMビル・ザイトラー上級副社長

「VERITAS VISION 2003」2日目の基調講演で、IBMシステムグループのビル・ザイトラー上級副社長がプレゼンテーションを行った。IBMはベリタスと競合する分野もある。だが、IBMが進めている「オンデマンド」を実現するためにも、顧客がベリタスを求めているとパートナーシップをアピールした。

 「VERITAS VISION 2003」2日目の基調講演で、IBMシステムグループ、ビル・ザイトラー上級副社長がプレゼンテーションを行った。ベリタスソフトウェアとIBMは、ストレージ管理ソフト分野でしのぎを削る間柄。しかし、約1年前にベリタスが「AIX」プラットフォームをサポートするなど両社は協調関係を深めている。

 ベリタスのゲイリー・ブルーム会長兼CEOに招き上げられたザイトラー氏は、Windowsサーバシステムの「xSeries」、AIXの「pSeries」、Linuxの「zSeries」と、この1年間でベリタスがサポートする製品ポートフォリオが拡大している点をアピールした。両社のコミットメントは最終的に顧客が決定するものだと話しており、IBMのサーバ製品とベリタスの組み合わせは顧客からの支持を受けている。ebayや米ヘルスケア企業AdvancePCSなどの企業が、両社製品を組み合わせて使用するなど事例も増えているという。

 ビル・ザイトラー氏

 ザイトラー氏は現在の市場のフォーカスは「オンテマンド」にあると話す。IBMも「オンデマンド」構想を進めている。これは、オートノミックコンピューティングといったものだけでなく、ビジネスのプロセスを統合することを目的としたものだ。ザイトラー氏は「ビジネスと技術の交差点」と表現し、新しい方法でビジネスを考えるものだと説明する。

 5月4日のニューヨークタイムズが掲載した企業のIT支出調査を例に出し、順調に伸びてきたITへの投資が2000年以降収束している点に注目。この減少分を分析したIDCの調査データを示し、「プロプライエタリーなサン・マイクロソフト(サン)とヒューレット・パッカード(HP)のRISC/UNIXシステムが減少しているからだ」と指摘した。顧客にとってプロプライエタリーな製品だけでなく、オープンな技術を利用するという選択肢が生まれてきたという。「つまり、ITは要求に応じて常に進化しているということだ」(ザイトラー氏)。

 IBMの考えるオンデマンドは、「ビジネスデザイン」「コンピューティング環境」「ファイナンシャル&デリバリーモデル」3つで構成されている。その中の1つであるコンピューティング環境には、オープンスタンダードをベースにしたシステムの仮想化、オートメーション化、インテグレーションといったものも含まれている。ここにおいて、顧客がベリタスの製品を選択するのであれば、それを選択してもよいと話す。

 ザイトラー氏は、最後にこのように語った。「現在は、ビジネスと技術の交差点にいる。苦しい状況にあるかもしれないが、ここがチャンスの時でもある。企業はこのことに向き合っていかなければならない。常にベネフィットが得られるのは顧客なのだから」。

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[堀 哲也,ITmedia]