| エンタープライズ:インタビュー | 2003/06/05 16:55:00 更新 |

Interview:Microsoft幹部がサーバ製品のロードマップを語る
Microsoftのサーバプラットフォーム部門を率いるポール・フレスナー氏が、サーバ製品のロードマップから、Windows Server Systemのネーミングに関する率直な意見など、大いに語った。(IDG)
Microsoftのサーバプラットフォーム部門上級副社長であるポール・フレスナー氏はテキサス州ダラスで今週開催されたTechEd 2003カンファレンスで製品ロードマップを提示した。その後フレスナー氏は、Computerworld誌とのインタビューの中でSQL Serverのリリース遅延について説明し、同社製品の方向性について語った。インタビューの概要は次のとおりである。
――あなたが見せたスライドの中に、2005年に登場予定のコードネームLonghornのリリースに関するものと、「2006年にWindows Server vNext」というものがありましたが、vNextというのはいったい何ですか?フレスナー コードネームではありません。
――それはLonghornのことでしょうか、それともその後継製品と目されているコードネームBlackcombのことなのでしょうか?フレスナー どのようにするかについては、まだ決めかねています。サーバのチームはWindows Server 2003をスピンオフさせ、3年以内に別のバージョンのサーバ製品をリリースする予定はありません。現在の製品を開発するために3年を要しており、われわれも製品サイクルから休みをとりたいので。
――そのサーバリリースにはLonghornカーネルが含まれているのですか、それともBlackcombカーネルなのですか?フレスナー それはただのカーネルです。コードネーム自体には意味がないのです。どちらもあいまいなものです。何をするにしても、われわれはLonghornの変更をそれに実装します。それをLonghornと呼ぶか、Blackcombと呼ぶかは現時点で重要なことではありません。
――つまり、クライアントOSとサーバOSは同時には登場しないということで、サーバの名称は決まっていないということですか?フレスナー そのとおりです。まあ、「なあ、サーバのこの機能が必要だから、クライアントといっしょに何かリリースしよう」ということになるかもしれませんが。だからそれに関しては決めていません。チームがそれを調査するにはちょっと時間がかかると思います。
――Microsoftは最近、エンタープライズ・サーバ・ソフトウェアとして新しい名前「Windows Server System」を出してきましたが、その名前についてはどのように思います? あなたはその決定に関与しているのですか?フレスナー ああ、そうです。長く、苦痛を伴うプロセスでした。名前は最悪、本当に最悪です。とても感情的なものですが。われわれはクリエイティブな名前にしたかったのですが、それは反Microsoft的なものなので。結局、われわれは引き金を引くことができなかったのです。この名前に夢中というわけではありませんでした。いまではだいぶ好きになっていますけど。
――あなたの事業部はMicrosoftの7月1日から始まる次の会計年度で研究開発費として17億ドルを投じることになっています。昨年の研究開発費はどの程度だったのですか?フレスナー われわれの研究開発費は毎年フラットです。Microsoftは毎年研究開発費に50億ドルを使っています。われわれは昨年、17億ドルを使っており、その次の会計年度も同程度でしょう。われわれは、このコミュニティ(ITプロフェッショナルとデベロッパー)に対する投資額を4億5000万ドル上乗せしました。デベロッパーコミュニティに対して行ったのと同じやり方で、ITプロのコミュニティにもプッシュしていきたいのです。
――研究開発費の使途に関しては、それが唯一の変更点ですか?フレスナー 多くの変更点があります。マネジメントに関しても大きな投資を行います。3つの大きな分野(オペレーション、アプリケーション、インフォメーションワーカーインフラストラクチャ)に対する多額の投資は継続していきます。また、これらの分野に対する努力も継続します。セキュリティは引き続き、大きな投資の対象で、今年はこのトピックに関するニュースを見聞きできると思います。
――パイの分け前は変わってきますか? 削減される分野というのはありますか?フレスナー われわれが推進している品質イニシアチブによって、われわれのシステムのメンテナンスに関するコスト総額が出てきます。それがすなわち研究開発費ということになります。レガシーなものについては削減することにしたものもあります。フレームワークにより注力できるように、古いAPIを削ったりということです。だいたいにおいて、スイートが動くにつれ、われわれが推進しているe-ビジネスチームとシステム・マネジメント・ワークは活気が出てきています。
――あなたの事業部では、いま存在する製品の混乱状態を解消するために、コラボレーション製品のスイートを出したりする予定はありますか?フレスナー それはOffice Systemであり、そこにはインフォメーションワーカー向けのサーバがあり、SharePoint Portal Serverもそうです。Windows Server SystemはOffice Systemの基礎部分であり、プラットフォームでもあります。また、クロス・ブランドの製品もいくつかあって、多少混乱するかもしれませんが、相互作用を考えれば理解してもらえるのではと考えます。
――Exchange Serverはどういう位置づけになるのですか?フレスナー この製品をインフラストラクチャだとみている顧客もいます。メッセージングはダイヤルトーンみたいなものです。ですからいまやメッセージングは最前線の問題であり、顧客からのフィードバックを受けて対処法を考えつつ、時間をかけながら正しい道をとっていきたいと思っています。
――フィードバックは多いのですか?フレスナー それほどではありません。まだリリースしたばかりですから。われわれはWindows Server Systemをまさに世に送り出そうとしているところです。もう少し待つ必要があるでしょう。
――より大規模な製品の統合化はありえますか?フレスナー 統合化については深く考慮しており、Windows Server Systemはもちろん、統合化にコミットしたものであり、SharePoint Portal Servicesをはじめとする複数のサーバを組み込んであります。これは非常に重要です。ExchangeがSharePoint Portal Serverと緊密に連携しているのはお分かりいただけるでしょう。SharePointはポータル戦略の中で(Content Management Serverと)緊密に連携を続けており、この点についてはわれわれのポジショニングを明確にしています。
――Microsoftはいつマネジメント製品を統合したものを出すのでしょう?フレスナー System Centerがそのための最初のスイートになります。これはSystems Management ServerとMicrosoft Operations Managerを単純にバンドルしたものです。システムインテグレーション? それには時間がかかる。いまの計画では2006年を視野に入れています。この分野では大きな野望があります。Dynamic Systems Initiative(DSI)とSDM(System Definition Model)サービス・ディプロイメント・モデルについてはとても期待しています。私の考えでは、この業界におけるマネジメント分野はビジョンが欠落しています。だからシステムを懸命にプッシュしてエンド・トゥー・エンドのアプリケーション管理をシステム深く組み込み、マシンだけではなくアプリケーションをスピードアップできるようにしたいのです。
――最初に配布されるのはどのようなものになるのでしょうか?フレスナー Automated Deployment Servicesです。思い通りのコンフィギュレーションが可能なマシンの実例ですね。その後、SDMが登場してきます。登場時期は未定です。ツールチームとWindowsチーム、そしてSQLなどの実装に必要なアプリケーションを担当するチームの複雑な相互協力によるものなので、まとまった形では出ない可能性があります。だから、時間はかかりますが、大きな投資をしています。この分野で数名のキーパースンを確保したところで、引き続き、推進していくつもりです。
――Exchange Server 2000はWindows Server 2003上で動きません。どういう理由からですか?フレスナー この決定に関しては、私が深く関わっています。まず最初に、これはドメインに関わってくる問題なのです。Windows Server 2003とExchange Server 2003をひとつのドメインに、Exchange 2000と共存させた場合、協調動作する。もしそれを実現するとしたら、顧客ベースはこう言うでしょう。「なるほど。こりゃいい。そのアップグレードパスがあるのか」と。だから、われわれは慎重になっているのです。SQL ServerはWindows Server 2003だけでなく、Windows 2000もサポートしています。
――この点に関するあなたの一般的な考え方はどういうものですか?フレスナー Nマイナス1。つまり、最新版のひとつ前のリリースということです。Exchangeがその変わり目で、いくつもの理由がありますが、最も大きなものはセキュリティです。Windows Server 2003はわれわれにとって最もセキュリティの堅固な製品です。Windows Server 2003とExchange Server 2003はセキュリティ強化をいっしょにやってきました。私としては、その組み合わせは維持しておきたい。
――Jupiterの最初のリリースはどうなってます?フレスナー チームはその最初のリリースをBizTalk Server 2004と呼んでいます。私はそれをJupiterと呼ぶのは少々背伸びしすぎだと思いますが、チームのみんなはそう呼びたがっています。
――BizTalk Server、Content Management Server、Commerce Serverが完全に統合されるのはいつになりますか?フレスナー 2005年です。
――新しいリリースであるVisual Studio .Net開発ツールが4月に出たばかりです。Visual Studio開発ツールの次期バージョンのコードネームがWhidbeyで、2004年に登場予定だと話していました。さらに、その後継であるコードネームOrcasが2005年に登場すると。なぜこんなにたくさんのリリースがあるのです?フレスナー 今は巨大な共有コンポーネントが存在し、そういうものがあるということは、何頭もの大型犬に引きずられているようなものです。その大型犬は、SQL Server、Windows Server、Exchangeという名前です。おそらく。
――ではVisual StudioのリリースはOSのリリースに関係しているだけではないんですね。そして、継続的に調整する必要があるという感じがします。フレスナー 長期的には、Visual StudioのリリースとOSのリリースはより緊密な関係になるでしょう。ランタイムをSQL Serverに入れてしまえば、その時点で出荷されているどれとでも互換性を保てます。ランタイムを進めていくために、SQL Serverに多大な改変が必要とは思っていません。
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[Carol Sliwa,IDG News Service]
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