エンタープライズ:特集 2003/07/4 14:48:00 更新


特集:第1回 なぜWebLogic Serverが選ばれるのか (1/6)

「商用アプリケーションサーバを知る」第2弾は、日本BEAシステムズのアプリケーションサーバソフト「BEA WebLogic Server」。この特集(全3回)は、同製品を深く理解するための入門記事として実践解説をする。

この特集で解説していくポイント

  • 第1回目は「WebLogic ServerとJavaの関わり」

 この特集「WebLogic Serverで知るJSP/Servlet入門」では、日本BEAシステムズから販売されているアプリケーションサーバ「BEA WebLogic Server 8.1J」を基に、JSP/Servletプログラミング入門解説をしていきます。第1回目では、なぜWebLogic Serverが選ばれてきたのだろうか? という疑問に答えるべく同製品の背景、そしてアプリケーションサーバを理解するための基礎としてJSPとServletの違い、さらに最近話題の「Struts」についても触れます。

第 1 回 目 の 目 次
1. WebLogic ServerはJava言語と共に歩んでいる
2. エンタープライズ用途では信頼性こそがポイント
3. オールインワンこそが即戦力となる強み
4. TomcatとWebLogic Serverの比較
5. アプリケーションサーバ単体から統合環境への移り変わり
6. WebLogic Serverを選ぶべきではないケースもある
7. JSPとServletはどちらを使ったらよいのか
8. 急速に普及するフレームワーク「Struts」
  • 第2回目は「評価版を基に主な機能を解説」

 連載第2回では、「BEA WebLogic Server 8.1J評価版」を使い、インストールや付属するサンプルソースコードを例に挙げつつ、初めて同製品を体験するためのガイド解説をしていきます。サンプルソースコードは、理解しやすいよう作られているので入門用に最適です。続けて「WebLogic Server Administration Console」(管理コンソール)と呼ばれる管理ツールを紹介します。このツールは、GUIベースで管理ができるよう画面構成されています。さらに、ディレクトリ構造を解説してどのような構造を持っているのかにも触れます。第2回目では、インストールした後に何をするのか、何ができるのかを紹介していきましょう。

  • 第3回目は「サンプルコードを使って実践的に」

 連載第3回では、実際にServletやJSPソースコードを記述していきます。BEA WebLogic Server(以下、WebLogic Server)上で動作させることで、やっとプログラミングから実際の動作までの一連の操作が見通せるようになります。単に作成するだけでなく、定義ファイルやデプロイの操作などが関わってくるのがこの回の特徴です。

 また、WebLogic ServerとDBを併せて使う上で、必ず利用するであろうコネクションプールの設定方法、および利用方法も体験していきます。第3回目を理解することで、WebLogic Serverの初心者として歩み出すことができるはずです。

WebLogic ServerはJava言語と共に歩んでいる

 2002〜2003年現在、Java言語を使ったJSP/Servlet開発を行う場合、WebLogic Serverの存在が欠かせません。しかし経費で購入できるほど安価ではないため、気楽に選択できる製品でないことも事実です。そうとはいえ、インターネット上のアプリケーションサーバサイトの内、WebLogic Serverで運用されているサイトは数多く、その採用理由が気になるでしょう。最近では、IBMが首位を奪ったというニュースが報じられていますが、米BEAによる2003年2月〜4月期決算の発表を聞けば、前年同期と比べて増収増益といわれ、客観的な数値からも市場で支持されていることが分かります。

 一方で、JSPの領域であればJakarta Tomcat(以下、Tomcat)、そしてEJBではJBossなどのようにオープンソースソフトウェアの存在も見逃すわけにはいきません。ここで思い浮かぶのは、どうして無償で入手できるオープンソースを用いずに、あえて有償アプリケーションであるWebLogic Serverを選択する必要があるのでしょう。その最大の理由は歴史にあります。

 Java言語の歴史を見ると、JDK(J2SEに該当するもの)1.0のリリースが1996年であるのに対し、WebLogic(BEAの前身となった社名)は1995年に創設されました。かなり初期のころから開発され続けているのです。この歴史の長さ、そして販売実績、運用実績が豊富なことから、業界ではWebLogic Serverが「枯れた」環境として認められています。

 また、BEAではWebLogic Serverのほかに、「BEA Tuxedo」と呼ばれるTPモニタ製品もラインアップされています。この製品も定評があり、とても堅牢なものとして広く認知されています。加えてEJBといった比較的先進的なJ2EEに分類されるような機能も、WebLogic Serverではかなり初期の段階から搭載されていました。EJBが利用できるアプリケーションサーバは、従来まではほとんど選択肢が無く、自ずとからWebLogic Serverを選択していたのも事実です。

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[伊賀敏樹 ,ITmedia]