エンタープライズ:特集 2003/07/4 14:48:00 更新


特集:第1回 なぜWebLogic Serverが選ばれるのか (5/6)

WebLogic Serverを選ぶべきではないケースもある

 どんなにすばらしく、どんなにデファクトなソフトウェアであっても、それを選ぶべきではないケースもあります。ここではあえて、WebLogic Server(商用アプリケーションサーバ)を選ぶべきではないケースも考えてみましょう。

 開発案件の総金額が既に決まっています。ところが ハードウェア、ソフトウェア開発費用、データベースなどの費用、そしてWebLogicの費用を考慮すると総予算を超えてしまいます。このような場合には、当然ですが何かを削るしかありません。

 赤字プロジェクトにならぬよう、削減できるものを考えていかなければなりません。そこでいちばんに考えたいのは比較的、信頼性、可用性が不要となる単発のシステムです。J2EEで利用するのはJSP程度。しかも低予算。このような場合には、エンジニアへのしわ寄せがあるものの、Tomcatなどのオープンソースライセンスのソフトウェアを採用することで低価格な構築が可能です。

JSPとServletはどちらを使ったらよいのか

 新しい技術を判断する場合、似ているけれどどうして2つ以上の方式があるのか? と悩むことがあります。Javaであれば、JSPとServletがこの例に当てはまります。

 歴史的に見た場合、Java Servletの方が先に誕生しました。Java Servletはプログラムの仕方として、出力側のプログラミング方法がCGIに似ています。クライアント側に書き出したいHTMLをプログラムで担うものであり、プログラム内でHTMLタグを生成して書き出すことで最終的なページが実現されています。

 このJava Servletへの片寄りを少しでも減らす目的として考案されたのが、JSPです。JSPの場合、ホームページ作成ソフトで途中の段階まで(あるいはソフトによっては最後の段階まで)GUIベースで画面を開発することができます。見せたい通りの画面をGUIで作成できるのです。そして、作成した画面の中にある決まった特別なタグで囲ったソースコードを記載することにより、プログラム性を埋め込むことができるのです。

 このよう理由から、多くの人にとってはまず最初にJSPへ取り組んだ方が入門として相応しいのです。最終画面イメージを見ながら開発できるに越したことはありません。

 そうとはいえ、Servletは使い道がないのか? というとそうでもありません。JSPを伴わずにすべてJava Servletで構築した方がシンプルな構造に仕上がることがあります。また、Java Servletの方が比較的高速な描画も可能です。このように、一概にServletの利用価値がないというわけではなく、また、JSPは(現状の多くの実装では)まずServletに変換されてから動作するようになっています。このため、JSPをメインに扱うのであったとしても、Servletの知識そのものは有効になる場合が多いのです。詳しくは、第3回でソースコードなどを交えながら解説をしていきます。

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[伊賀敏樹 ,ITmedia]