| エンタープライズ:インタビュー | 2003/07/09 20:38:00 更新 |

Interview:「存亡の危機に追い込まれれば反撃するしかない」とSCOのマクブライドCEO (2/2)
ZDNet しかし、すっかり悪役のイメージが出来上がってしまいました。これはSCOにとっても良いことではないでしょう。
マクブライド Linux関連のプレスにはなかなか理解してもらえませんが、それ以外のプレスや業界アナリストにはNDAベースで著作権侵害の証拠を開示し、たいてい理解を得られています。もっといろいろな機会をつくって直接話をしていきたいと思っています。
それに、われわれは、イメージの問題でIBMを提訴したり、Linuxを使う企業に書簡を送っているのではありません。
ゲイツの手先?
ZDNet Linuxを攻撃していることで、「ビル・ゲイツの手先」との批判もあります。
マクブライド 現実的にわれわれは存続自体が危うくなり、追い詰められたのです。ほかに手段はありませんでした。ビル・ゲイツの問題ではありません。われわれの知的所有権の問題です。
それとも、著作権で保護されたソフトウェアを盗むことは、イメージが悪くないのでしょうか?
IBMとの訴訟に勝てば、「ちょっと待てよ」とみんなが考えてくれ、われわれに対する悪いイメージも払拭できると思います。野球のチームにたとえるのは少し違うかもしれませんが、勝つことでイメージは変えられるのではないでしょうか。
ZDNet 8月のSCO Forum 2003カンファレンスで「SCOx」構想のさらに具体的な話を明らかにするそうですが、どのようなものなのですか。
マクブライド SCOxは、中堅および小規模な企業という、われわれが得意とする顧客らに、ISVのアプリケーションを安全を確保しながらWebサービスとして提供していこうというアイデアから生まれました。
昨年のSCO ForumでアプリケーションサービスプロバイダーのVista.comに出資したことを明らかにし、「SCObiz」という名称で、Webサービスをわれわれの顧客に提供していくことになりました。われわれは、SCOのUNIXに限らず、LinuxでもWindowsでも利用できるフレームワークとしてSCOxを開発中です。このフレームワークを利用すれば、ユーザーは自社の既存アプリケーションとインターネット経由で提供されるWebサービスとを組み合わせることができるようになります。Vista.comのe-ビジネスサービスだけでなく、salesforce.comのようなサードパーティーのWebサービスや、ISVのアプリケーションも使用料ベースで販売できるようにしたいと考えています。
また、Webサービスに統一的なユーザーインタフェースをもたらす技術も採用する予定です。SCOと同じユタ州リンドンにあるVultusという新興企業の「WebFace」と呼ばれる技術です。
ZDNet 実装製品はいつごろ出てくるのでしょうか。
マクブライド 既にアーリーベータの開発が進んでおり、2004年には実際の製品としてリリースできるでしょう。
1990年代の初め、ノベルK.K.を立ち上げるために3年間日本で働いた彼を知る業界関係者は多い。ブリガムヤング大学時代にモルモン教布教のために大阪に住んだこともあり、片言だが関西弁も話す。現在、同大学で学ぶ彼の息子も休学し、布教のために来日している。滞在中に会えるのを楽しみにしているという。「これから秋葉原に行くんだ」と笑うマクブライド氏。訴訟で賠償金をせしめる、というヒールのイメージからはかなりかけ離れている。彼がCEOに就任した昨年7月には、わずか66セントだったSCOの株価も11ドルと2ケタを回復した。

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[聞き手:浅井英二,ITmedia]
