エンタープライズ:ニュース 2003/09/17 18:55:00 更新

WPC EXPO 2003開幕基調講演
Office 2003に賭けるマイクロソフト

幕張メッセのコンベンションセンターで開幕したWPC EXPO 2003。その基調講演では、MicrosoftのOffice総責任者であるジェフ・レイクス氏が、日本市場に向けて新しいOfficeの売り込みを行った。

 9月17日、すがすがしい秋晴れとは呼べないほどの蒸し暑さの中、千葉県・幕張メッセのコンベンションセンターで、WPC EXPO 2003が開幕した。国内外から377社が出展するこのイベントは今年で開催9回目を数え、「〜ビジネスが拡がる。生活が変わる。〜実践ユビキタス・ネットワーキング」というテーマを据えて20日(土)まで実施されている。

 初日となる17日、午前9:30からの開会式のあと、国際会議場のコンベンションホールで開かれた基調講演では、Microsoft プロダクティビティおよびビジネスサービス担当グループ バイスプレジデントのジェフ・レイクス氏が壇上に立った。

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Microsoft プロダクティビティおよびビジネスサービス担当グループ バイスプレジデントのジェフ・レイクス氏


 レイクス氏はMicrosoftにおけるOffice製品の総責任者であり、今回の来日も10月24日に国内発売を控えたMicrosoft Office 2003を自らプロモーションするためのもの。「Microsoft Office Systemがもたらすインフォメーションワークの世界へ」と題された講演では、新しいワークスタイルである「インフォメーションワーク」について、Office 2003がそれをどのように実現していくかが語られた。

 レイクス氏のスピーチは、オフィスにおけるアナログからデジタルへの移行、このムーブメントが生産性の向上へつながるというポイントを示して始まった。紙のメモや電話といったものを利用していた時代から、PCやネットワークの普及によって到来したデジタル環境の時代になって、仕事の質や量が飛躍的に向上してきたという事実確認だ。

 ただし、現在ではここにも改善の余地はあるという。仕事のさまざまな面でさらにITを活用し、ITへの投資がインフォメーションワーク、生産性の向上へ確実につながっていくことが重要な点となる。そのための手段として活用できるのが、Office 2003であるという。

 では、それがどのように役立つのだろうか。より少ない投資でより大きな利益を、より少ない人数でより大きな仕事を、これがマイクロソフトの提唱する「Do More With Less」のコンセプトであり、Officeもその実現のためにさまざまな新機能を装備している。

 レイクス氏による提案は、Officeをビジネス/データシステムのフロントエンドとして利用することで、社内ネットワークやインターネット上のさまざまな情報をスムーズに入手し、最終的にXMLを利用してデータ化する、というもの。また、人と人とをつなぐコラボレーションの方法は、イントラネット上に共通の作業場を作る「ドキュメントワークスペース」の機能で示された。

 このOffice 2003の目玉とも言えるWindows SharePoint Servicesや、今後数年間最も普及して使われるであろうメモソフト「OneNote」(レイクス氏)の紹介は、聴衆の興味を引いた。壇上には東芝の取締役 執行役専務 西田 厚聰氏が登場し、今後全世界で発売するすべてのノートブックPCにOneNoteをバンドルすることを発表。Dynabookが西田氏からレイクス氏に手渡されるという演出が加わった。

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東芝 取締役 執行役専務 西田 厚聰氏が登場し、東芝のすべてのノートブックPCにOneNoteをバンドルすると発表。


 このところ騒然としているセキュリティ問題についてもレイクス氏は言及。シールドテクノロジーを軸に全社あげての取り組みを約束するとともに、「数年前のOutlookを思い出していただきたい。当時は脆弱性が問題になったが、いまではOutlookは優れた堅牢性を示している」と取り組みの成果をアピールした。また、先日から始まったProtect Your PCキャンペーンもその取り組み一環とし、会期中は展示会場のマイクロソフトブースでパッチCDの配布も行っていると述べた。

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マイクロソフトブースでのパッチCD配布コーナー。広いブース内のあちこちにこのコーナーが設けられている。


 Office 2003の発売はマイクロソフトにとって1つの大きなマイルストーンとなる。展示会場では過去最大規模のブース展開をOffice一色で行っている。超満員となった基調講演の会場は、Office 2003に賭けるマイクロソフトの成否を暗示しているのだろうか。

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[柿沼雄一郎,ITmedia]