エンタープライズ:ニュース 2003/09/18 11:25:00 更新


Java Desktop SystemにはJOGLベースでSun独自のウィンドウマネージャを実装

Javaコードベースとは思えないほどの軽快な描画を実現する「Java Desktop System」。そのシステム動作環境について、米国で開催中のSunNetwork 2003、パビリオンスペースにてJavaクライアントエンジニアに聞く。

 米国で9月16〜18日まで開催中の「SunNetwork 2003カンファレンス」では、パビリオンスペースも用意され、パートナーベンダーを中心に来場者への製品紹介が行われている。主催する米サン・マイクロシステムズによる展示では、新たに発表された「Sun Java System」製品の1つ「Java Desktop System」のデモも行われている。コードネーム「Mad Hatter」として昨年2月に発表されたものであり、Linuxカーネルベースのものだ。

09230006.jpg

SunNetwork 2003会場では、デモCDが一般にも広く配布された。CDのみでブートができ、そのカーネルがLinux 2.4.19ベースであり、SuSE Linuxを利用したものであることも分かった


09180159.jpg

パビリオン会場でデモされていた東芝のノートPC、ダイナブック上で稼働するJava Desktop System上の「Looking Glass」


 パビリオンスペースでは、東芝のダイナブックにインストールされ実機に触ることもできた。ブースにて、米サン・マイクロシステムズ、Java Client Group エンジニア、Hideya Kawahara氏へ動作環境についてを聞く。「ここでは、実際に来場者へ見ていただき、その反応によって現在プロトタイプ開発しているものを、今後の製品化に向けてリサーチしているのです」とのこと。

 デスクトップの実現には、Xサーバ(XFree86)にSunが独自に手を入れており、描画までの上層レイヤはすべてJavaコードで記述したものだという。このことから考えれば、「Java Desktop System」というネーミングもうなづける。また、3DレンダリングにはOpenGLが利用されており、グラフィックチップによって行われる。基調講演でも語られたように、「Looking Glass」として披露されたものだ。

 描画環境についても聞く。「Javaを利用しているとは思えないほど軽いと思われますが、グラフィックチップ性能が要になっています」とのこと。現在、プロトタイプの検証であるが、テスト環境ではNVidia GeForce 3以上であれば体感のストレスがなく、同GeForce 2では描画がもたつき感があったという。ほかにもATI Radion 7500クラス以上であれば推奨だと見られている。また描画に必要なメモリ量は32Mバイト程度。現在ではほぼ標準的なスペックといえる。

09180157.jpg

米Sun MicrosystemsでJavaクライアントエンジニアのKawahara氏。Java Desktopの作り込みを行っている


 Linuxカーネル上で動作するレイヤ構造としては、Xサーバに米国Sun独自の手が入れられており、OpenGLとしてJavaコードで書かれている「JOGL」を採用、ウィンドウマネージャも独自のJavaコードによる「Looking Glass」という構成だ。ただし、「Sun Java Desktop System」の名称として標準的なウィンドウマネージャは、米Sunサイトで見られる画像のようにGNOMEベースであり、基調講演やパビリオンでも披露されていたものはあくまでもプロトタイプの「ウィンドウテーマの1つ」であると語る。

 事実、現在はアプリケーションメニューに相当するものはLooking Glass上には存在せず、標準のGNOMEベースのものに比べ作り込みされてない。

09230003.jpg

デモCDのインストーラでは、すでに日本語が選択できた


関連記事
▼基調講演:コンポーネントの革新を進めシステム全体の価値を高めるSun
▼基調講演:「コストと複雑さにリコール」──IT業界の未成熟さを皮肉るSunのCEO
▼SunNetwork 2003開幕、「Sun Java System」はソフトウェア業界を揺るがすか?
▼Sunは自社製Linuxを捨て去ったわけではない
▼サン、ローエンドサーバ市場に本格参入か
▼サン、自社版Linuxを中止へ
▼サンがLinux路線を変更か?
▼SUN Linuxのファイル構成が知りたい
▼サン、7年ぶりの大規模ショー「SunNetwork」でデスクトップLinux戦略発表へ

関連リンク
▼Java Desktop System
▼JOGL API
▼SunNetwork 2003 Conference レポート
▼SunNetwork 2002 Conference レポート

[木田佳克,ITmedia]