| エンタープライズ:ニュース | 2003/10/24 02:16:00 更新 |

SunのマクニーリーCEO、「2003年式完成車」を売り込む
ここ数日、日本の顧客らを精力的に訪ねたSunのマクニーリーCEOは、その総仕上げとして「Network Computing 2003 Autumn」に臨んだ。パートナーらと一緒に「完成車」を提供するというビジネスモデルに強い自信を示した。
サン・マイクロシステムズは10月23日、都内のホテルで「Network Computing 2003 Autumn」を開催した。先月中旬、本拠地サンフランシスコのSunNetwork Conferenceからわずか1カ月後の開催となり、米国からはスコット・マクニーリー会長兼CEOも来日した。

マクニーリー氏はこの数日間、日本の顧客のCEOやCIOらを精力的に訪問したという。そして、彼らが直面している課題は、米国と同様、「データセンターの複雑さ排除とTCO削減」「素早いサービスの展開」、および「安全なモビリティの実現」だとした。
「複雑さの排除」という話をするとき、マクニーリー氏はしばしば、飛行機や自動車を引き合いに出す。
「みなさんは私が80のサプライヤーから集めた部品を一つひとつ組み上げた手作りの飛行機に喜んで乗ってくれますか? まさに今日のコンピュータ業界はそれと同じだ」とマクニーリー氏。
Sunは、9月中旬のSunNetwork 2003カンファレンスで同社の200以上のソフトウェア製品と関連サービスを統合した新しいソフトウェア製品体系「Sun Java System」を発表し、今週、国内でもその一部となるサーバ向け基盤ソフトウェアセットの「Java Enterprise System」を販売開始している。ネットワークアイデンティティ、Web&アプリケーションサーバ、ポータル、コミュニケーション&コラボレーション、高可用性、およびセキュリティの各種基盤ソフトウェアが統合され、四半期ごとに提供される。
「われわれは、ソフトウェア間の相互運用性をテストし、きちんと機能することを確認してから出荷していく。顧客やパートナーらは、統合化された基盤ソフトウェアを活用することで、信頼性の高いシステムを短期間で実装できる。いわば完成された飛行機を提供するわけだ」(マクニーリー氏)
Sun Java Systemには、Java Enterprise Systemのほか、「Java Desktop System」、開発者向けの「Java Studio」、携帯端末をサポートするための「Java Mobility System」、よりセキュリティの高いシステム向けの「Java Card System」、およびシステム管理のための「N1」がある。
もちろん、Sunは「Sun Micro"systems"」という社名からも分かるとおり、システムの会社だ。SPARCプロセッサベースのさまざまなサーバ、Intelプロセッサを採用するIAサーバ、ストレージ、およびワークステーションやJavaCardまであり、それらを組み合わせる非常に包括的で堅牢性のあるアーキテクチャを誇っている。彼らはそうしたアーキテクチャの“2003年式”を「Network Computing 03」と呼ぶ。
製品名に年式を最初に採用したのは、ライバルであるマイクロソフトだが、「完成車を提供しているのは、われわれSunだ」というメッセージが込められているのかもしれない。
最近のマクニーリー氏は、SPARCプロセッサやLinuxの戦略を質問するプレスらを敢えて吊るし上げてみせる。
「フォード・モーターのビル・フォードCEOに新車発表会でピストンリングに関する質問をするだろうか?」(マクニーリー氏)
システム全体や「リファレンスアーキテクチャ」(基盤ソフトウェアセットを活用するためのブループリント)に着目してほしい、というメッセージを込めた彼一流のジョークだ。
Javaのように一つひとつの技術やパーツが破壊的な革新性を秘めていることが求められるのは言うまでもないが、マクニーリー氏はパートナーらの力を借りて、実証済みでハイボリュームな「2003年式Network Computing」を顧客に提供していくとする。
「われわれは自らのビジネスモデルに強い自信を持っている」とマクニーリー氏。この日、一部日刊紙に同社が富士通とUNIXサーバ事業の統合で合意したことを伝えたが、システムから見ればもはやUNIXサーバとてパーツに過ぎないのだろうか。
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[浅井英二,ITmedia]
