エンタープライズ:ニュース 2003/11/07 23:50:00 更新


「ハコ売りでなくヒトを売る会社になる」――日本SGIの和泉社長

「SGI Solution3 Fair 2003」の基調講演で、日本SGIの和泉法夫社長は、「日本SGIは真のソリューションインテグレーターになる」と宣言した。ビジュアライゼーション、ブロードバンド、スケーラビリティの3つのコアコンピタンスを軸にソリューションインテグレーションビジネスを展開するという。

 日本SGIは11月5、6日の両日、都内のホテルで「日本SGI Solution3(キュービック) Fair 2003」を開催した。6日に行われた基調講演では、和泉法夫社長が、10月に発表した「ソリューションインテグレーションビジネスに注力する」という事業方針について話した。また講演後に行われた記者説明会でも方針の意味について説明した。

 日本SGIは2001年11月に、NECおよびNECソフトからの出資を受け、米Silicon Graphicsの100%子会社から、日米両国に軸足をおく企業として新たな一歩を踏み出している(現在の出資比率は、米Silicon Graphics40%、NEC40%、NECソフト20%)。

 数百人の聴衆を前に和泉社長は「ソリューションインテグレーションビジネスといっても、日本SGIは決してERPを進める企業になるわけではない。ビジュアライゼーション、ブロードバンド、HPCのスケーラビリティという3つのコアコンピタンスに関しては他社に一歩も譲らない。これらのコンピタンスは、ブロードバンドが時代を変えていこうとしている現在、非常に重要だ。今はコンテンツの時代。ハードウェアベンダーがハードのすごさを語るのにはもう意味はないと考えている」と話し始めた。

和泉法夫社長

日本SGI代表取締役社長の和泉法夫氏


 和泉社長は講演の中で日本SGIの力は、ブロードバンド社会が進む中、すべてのインダストリー分野で生かされるとしたが、具体的な例としてあげたのが、あちこちで増えてきた“監視カメラ”だ。「監視カメラは、もはや単に監視するものではなくなっている。例えばお寿司屋さんではカメラ映像によって、誰がどんなネタが食べられているかをチェックできる。どういった客が何を食べているかをPOSレジに入力して集計する時代ではない。ただ監視するのでは監視カメラシステム設置のコストに見合わない。映像をアーカイブし、検索する技術も進んできている」。映像をネットワークを使って送ったり、その映像を圧縮してストレージに格納したりといった技術/ノウハウでは、日本SGIのこれまでの蓄積が生かされるというわけだ。また、映像を使った企業内のe-ラーニングシステムビジネスも成長分野だと和泉社長は期待する。

 ソリューションビジネスの展開では、「コアコンピタンスに特化して徹底的にやる」という。ただし1社ですべてやるのではなく、ストレージ、HPC、バイオインフォマティクス、裸眼立体視、ロボット、GIS、e-ラーニングなど、各分野でパートナーとの協力して進めていくと付け加えた。今回のSolution Fairには、展示コーナーが設けられていたのだが、和泉社長の言葉通り、SGIのハードウェアを使ったものは少なく、ほとんどは日本SGIがなんらかの形で技術協力したシステムの展示だった。

 「SGIというとまだまだ箱売り(ハードウェア)企業として見られがちだが、我々はソリューションビジネスに力を入れている。例えばビジュアライゼーションに関してご相談いただければ、(SGIだからといって)『Onyx』だけというのではなく、お客様がPCでということであればPCでやる。それができるだけの技術と人材がある」(和泉社長)。実際、記者説明会では売上の比率に関して「おおざっぱに言って現在、ハードウェアの売り上げは35%で、25%が保守、40%がソリューションになっている。今年度末にはこれが30%、20%、50%ぐらいになる。いずれはハードウェアの売り上げは20%程度になるだろう」と話し、ソリューションインテグレーターへの“本気度”をアピールした。

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関連リンク
▼日本SGI
▼SGI Solution3 Fair 2003

[佐々木千之,ITmedia]