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2004/03/03 16:24:00 更新


日本オラクルが10gの戦略的価格を発表、Windowsでもシェア60%奪還を宣言

日本オラクルは3月3日、Microsoft SQL Serverに照準を合わせたOracle Database 10gの新しい戦略を発表し、Windowsでもシェア60%奪還へ果敢に挑戦する。

 昨年末のOracleWorld Tokyoで「Oracle 10g」のグリッド機能を大々的に売り込んだ日本オラクルだが、4月5日の製品出荷を前に一転してWindowsプラットフォームのMicrosoft SQL Serverに照準を合わせた戦略を打ち出してきた。

 Oracle Database 10gの出荷を1カ月後に控えた3月3日、同社は都内のホテルで価格引き下げを中心とした同製品の新しい戦略を発表し、「敷居が高い」というイメージの払拭を狙う。

 これまで1CPUしか搭載できないハードウェアに使用を制限していた「Oracle Standard Edition One」を2CPUまで拡大し、さらに価格も約24%値下げするほか、「Oracle Database 10g Stanadard Edition」には従来オプション製品だったOracle Real Application Clusters(RAC)を標準搭載する。Windowsプラットフォームのハイエンド領域ではRAC標準搭載のStandard EditionをSQL Serverにぶつけ、エントリーにはSQL Serverの1/3という価格(5ユーザー構成で9万3000円)のStandard Edition Oneで殴りこみ、AccessやExcelの市場も視野に入れている。

 WindowsプラットフォームにおけるOracleのシェアは、1997年に61%を占めていたが、2002年には48.3%へと落としている(IDC Japan調べ)。市場が広がるにつれ、SQL Serverがじわりじわりと差を詰めてきたからだ。ちなみにUNIXプラットフォームでは68.4%と圧倒的な強さを見せている。

 「グリッド」のイメージが先行するOracle Database 10gだが、Windowsプラットフォームを念頭に置いた導入のしやすさや管理の自動化機能も大きな特徴となっている。戦略的な価格設定によって「高性能・高信頼だが価格は高い」というイメージも払拭できる。

 戦略発表会に臨んだ新宅正明社長は、「RACを持たない彼らに打つ手はない。60%のシェア奪還へ果敢に挑戦する」と話した。

すべてはSQL Serverと戦うため

 Oracle Database 10g Standard Editionに本来であれば高価なRACを敢えて標準搭載するのは、Windowsプラットフォームではマイクロソフトのクラスタ製品を購入し、SQL ServerのシステムをHA構成にしているユーザーが比較的多いからだ。

 日本オラクルの試算によれば、RAC機能標準のOracle Database 10g Standard Editionでクラスタシステムを構築した場合とSQL Server Enterprise Editionでフェールオーバー可能なHAシステムを構築するコストはほぼ同じという。負荷分散機能などを備え、いわばワンランク上のRACがフェールオーバーのHAと同じ価格帯というわけだ。

 「すべてはWindowsプラットフォームでSQL Serverで戦うため」と営業を統括する山元賢治専務執行役員が話すとおり、「SQL Server下取りプログラム」まで用意されている。顧客企業が導入しているSQL Serverライセンスを規定価格で下取り、Oracle Database 10gライセンスを差額で提供するものだ。アプリケーションの移行が伴うため、コンサルティングサービスも同時にスタートさせる。

 一方、10万円を切ったStandard Edition Oneは、エントリーレベルのSQL Serverだけに留まらない。10gから新たにAccess対抗ともいえるWebアプリケーション開発ツール「HTML DB」がバンドルされる。発表会では、Excelシートをコピー&ペーストすることで表の定義とデータの取り込みを行い、ウィザード形式で簡単にWebアプリケーション化するHTML DBのデモも行われた。Excelでは重要なデータが企業内に散在しがちだが、HTML DBを使えば、データを一個所に格納して共有・編集できるだけでなく、セキュアな環境に即時移行できる。

 日本オラクルでは、HTML DBを活用してアプリケーションを開発するISVらを支援すべく、テンプレートの無償提供も計画している。

 こうしたすそ野拡大は販売パートナーも同じだ。同社ではメンバーパートナーと呼ばれる、いわゆる2次代理店の拡大に力を注いでおり、2月下旬の時点で700社を超えた。従来からの販売パートナーをOracle Partner Networkは1000社に達している。

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[浅井英二,ITmedia]

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