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2004/04/05 18:57 更新


SunとMSの提携はITマネジャーにとって朗報

両社が結んだ「Technical Collaboration Agreement」と呼ばれる契約は、お互いの独自技術を共有するというもの。これにより両社製品間の相互運用性が改善されれば、IT部門のマネジャーにとってはうれしい知らせとなる。

 4月2日早朝に結ばれたSun MicrosystemsとMicrosoftの電撃的な提携は、両社の協力関係が書面の上だけにとどまらず、本当に実質的なものになるのであれば、企業のIT部門は両社の製品を連携する苦労から解放されるかもしれない。

 これまで激しく敵対してきた両ライバルが結んだ10年間にわたる提携は、「Technical Collaboration Agreement」と呼ばれる契約を通じて両社の独自技術を共有するというもので、これによりSunとMicrosoftのサーバとの相互運用性ならびにMicrosoftのクライアントとSunのサーバとの相互運用性が改善されるものと期待される。両社はJavaおよび.NETについても緊密に協力する考えだ。

 IT部門にとって最大のメリットは、ネットワークインフラで両社の技術を組み合わせて使えるようになること、そしてJavaおよび.NETで開発されたアプリケーションのランタイム環境を組み合わせる可能性が生まれることだ。

 こういったメリットの実現のためには、Sunのスコット・マクニーリーCEOとMicrosoftのスティーブ・バルマーCEOによる4月2日の記者会見で飛び交ったジョークのように両社の関係がスムーズにいくことが条件だ。

 短期的には、この提携で最大のメリットを享受するのは、2004年9月にMicrosoft Java Virtual Machine(JVM)のサポートが終了するという状況に直面していたMicrosoftの顧客だろう。

 Sunとの訴訟に発展したMicrosoft JVMおよびMicrosoft独自のJVM拡張機能を必要とするレガシーアプリケーションを利用している企業にとって、これまで綱渡りのような状況が続いてきた。

 Sunは1997年、自社のJava技術を不正に使用したとしてMicrosoftを告訴した。この訴訟は2001年、Microsoftが2000万ドルを支払い、争点となっていたJVM製品の提供を段階的に中止することで両社は和解した。

 Microsoftの副社長兼総合法律顧問補佐のメアリー・スナップ氏は、「本日の合意はMicrosoft JVMのサポートを3年間にわたって保証するもとともに、サポートを拡張することも認めるものだ」と話す。サポートの拡張には、バグフィックスやセキュリティの脆弱性への対処などが含まれるが、今後の開発や将来製品へのJVMの組み込みは認められていない。

 Sunでソフトウェアを担当するジョン・ファウラーCTO(最高技術責任者)は、「いずれMicrosoft JVMは消えなくてはならないが、顧客を困らせることは避けたかった」と話す。

 IT部門が苦労してきた認証管理とメッセージング/コラボレーションソフトウェアの分野でも、両社の提携で状況が改善されることになりそうだ。

 「Sunの製品がMicrosoftの製品とシームレスに連携できるようにするのが提携の狙いだが、詳しいことはまだお話しできない」とファウラー氏。しかし同氏によると、具体的には、MicrosoftがActive Directoryで追加したKerberos認証の拡張機能をサポートすることなどをSunでは検討中だという。Sunは、Active Directoryと競合するディレクトリ技術を「Sun Java System」製品シリーズ向けに開発している。

 「断言はできないが、この分野では困難な相互運用性という問題に取り組む」とファウラー氏は話す。電子メール/メッセージング/IM(インスタントメッセージング)製品でも同様の可能性があるという。

 MicrosoftとSunが標準をめぐって対立しているWebサービス分野、特に連携型認証管理に関連する分野にも恩恵が及びそうだ。

 MicrosoftがLiberty Alliance(認証管理フレームワークの開発を目的としてSunが創設した業界団体)に加盟する可能性については、両社とも明言を避けているが、ファウラー氏によると、両社が相互運用可能なアプリケーションを開発する上でWebサービスは重要な分野だとしている。

 「私はソフトウェア担当のCTOとして、この可能性を追求したいと思っている」とファウラー氏は話す。

 Microsoftのスナップ氏によると、両社の合意により「広範な分野で協力しやすくなる」という。

 そのほかのWebサービス標準についても、現在開発中のビジネスワークフロー規格やリライアブルメッセージング規格などの競合プロトコルをめぐって両社は対立してきた。

 4月2日に両社が交わした合意には、互いに提訴しないという内容も含まれ、専門家によると、これはWebサービス標準の開発に向けて両社がそれぞれの独自技術を互いに共有する可能性に道を開くものだという。

 Summit Strategiesのアナリスト、ドワイト・デービス氏は、「今回の発表を額面通り受け取っている。顧客の要望がMicrosoftとの提携を促したというのはマクニーリー氏の偽らざる本音だろう。彼が自分の非を認めたとは思えない」と話す。

 これまで事あるごとにMicrosoftを非難する発言を繰り返してきたマクニーリー氏に対し、アナリストと顧客はこの数年、辛辣な批判を控えるよう求めてきた。

 4月2日の共同記者会見でバルマー氏と共に登場したマクニーリー氏は、Microsoftとの関係が険悪だった時期に言及し、「私が何か気に触ることを言ったのだろうか」とバルマー氏にジョークを飛ばした。非難合戦ではMicrosoftもやり返してきたが、自分の発言の方が「一枚上手だった」とマクニーリー氏は付け加えた。

 デービス氏によると、この提携で最も得をするのはSunだという。同社は4月2日、3万5000人の従業員のうち3300人を削減する計画を発表した。また、同社第3四半期は7億5000万〜8億1000万ドルの赤字になる見通しだ。

 「Sunは反Microsoftのカリカチュア的存在になっていたが、これで重荷を下ろすことができる。IBMはMicrosoftと協力しながら競争することができ、そのことが市場でSunの立場を弱めた」とデービス氏は指摘する。

 デービス氏によると、MicrosoftとSunの争いで常に不利益を被ってきたのは、互換性のない両社の製品を連携するのに苦労しなければならなかったIT部門だという。

 「SunはこれでWindowsというパイの一切れを手に入れることができる」とデービス氏は話す。Sunは4月2日の発表の中で、IntelのXeonを搭載したSunのサーバがWindows対応認定を受けたこと、AMDのOpteronを搭載したSunのサーバでもWindows対応認定作業が進められていることを明らかにした。「ボリューム販売を目指すのであれば、Windowsにも対応するのが間違いなく得策だ」(デービス氏)

 デービス氏によると、Microsoftにとってのメリットとして、これまで同社を最も厳しく批判してきた企業とも協力するという姿勢を示すことで、同社への評価が高まる可能性があることを挙げている。「Microsoftが自社に対する認識を改めさせるには、こういった予想外の出来事が必要なのだ」(同氏)

 Microsoftに対する人々の認識は長年にわたって形成されてきたもので、同社を独占企業と断定したこの間の独禁法訴訟がその認識をさらに強める格好になった。最近では、欧州委員会が同社に6億1300万ドルという過去最高の罰金を科すという決定を下した。

 Sunとの新しい関係は、欧州連合(EU)に対するMicrosoftの反論を補強するものとなりそうだ。EUの主張は、Sunを含む複数の関係者の不服を根拠としている。Sunは4月2日の発表で、係争中の独禁法訴訟の和解金としてMicrosoftが7億ドルをSunに支払うことに合意したことで、EUの一件でSunが追求していた目的は達成されたと述べた。Sunの当初の訴えには、サーバプロトコルの開示を求める内容も含まれていたが、この要求もMicrosoftとの提携で満たされることになった。

 Microsoftの法律顧問補佐のスナップ氏は、「Sunと提携を結んだことに満足している」と述べるにとどまっている。

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