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2004/04/20 23:10 更新


注目の中堅ERP市場、財務会計での導入が53%占める

矢野経済研究所は国内ERPパッケージ市場の実態調査を行い、分析結果を発表した。大手ERPベンダーも非常に注目している中堅アプリケーション市場について触れる。

 矢野経済研究所は国内ERPパッケージ市場の実態調査を行い、分析結果を発表した。同レポートでは、2002年から2004年までのライセンス売上高によるベンダー別シェアと、2007年までのERPパッケージライセンス売上高の市場規模が算出されている。大手ERPベンダーも非常に注目している中堅アプリケーション市場について触れる。

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 中小・中堅マーケットについて矢野経済研究所は、「国産系ERPパッケージの主戦場」と表現する。なお、中堅企業向けERPの定義は、年商50〜500億円の企業を対象としているという条件が設定されている。500億円以上は大企業という位置づけ。

 同市場でのライセンス売上高シェアは、GLOVIA-Cが24.2%でProActiveを抜いて首位。2位はProActiveの21.9%、3位はOBIC7 で12.1%となった。4位以下は混戦している。会計に強いMICSNET/MJSLINKやSuperStreamに対し、日立製作所のGEMPLANET/LITE、SCAW、販売管理に強みを持つSuper Cocktailなどが姿を見せている。販売戦略、製品戦略によって、今後もランキングの激しい入れ替えが予想される。

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 そして、この分野にSAPは、同社の大企業向けソフトウェアを規模の小さい企業が利用するための製品「mySAP All-in-One」「SAP Business One」を掲げて参入、オラクルは、「Oracle NeO」で勝負する。また、PeopleSoftは、元々中堅の製造業などに強みを持っていたJ.D.Edwardsを買収したことにより、同市場でも競争力を発揮していく考えだ。

どの業務に導入されているか

 ERPが本来意図することは、企業が持つあらゆるリソースを、データを一元的に管理することで、効果的に利用しようというものであること。その意味で、「会計のみ、人事のみ導入」というケースをERP導入と言っていいのかという問題が、「広義のERP」と切り分ける場合に出てくることがあるが、同調査では、こうしたいわゆる業務アプリケーションの分野も含めている。

 これによると、導入業務の観点では、大企業は30.9%が財務会計、生産およびSCMは27.9%、販売およびCRMが23.9%、人事給与は9%となった。その他が8.4%。

 一方で、中堅市場では、財務会計が53%で飛び抜けている。次に人事給与が24.2%、販売管理は16.1%、生産管理は6.2%となっている。

 結果から、中堅企業向けERP市場は、現在はまだ財務会計ソフトが主導している状況と言える。

[Enterprise 編集部,ITmedia]

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