インタビュー
2004/04/30 20:14 更新

Interview:
かつてのWindows 3.0伝道師がBEAで再びプログラミングの簡素化に取り組む

BEAでデベロッパーマーケティング部門を統括するウィリス副社長は、かつてMicrosoftに在籍中、Windows 3.0のエバンジェリストやVisual Basicのプロダクトマネジャーを務めた。WebLogic Workshopで狙うのは、かつてのVisual Basicと同様、「開発の簡素化」だ。

本格的な32ビットOSとしてWindows 3.0が登場したのは1990年。GUIの時代を切り開き、それまではホビーに過ぎなかったPCを企業システムのクライアントに押し上げた。もちろん、OS成功の陰には常に優れた開発ツールがある。今も多くのプログラマーが利用するVisual Basicがそれだ。Microsoftの礎を築いたMS-BASICがルーツだ。BEA Systemsでデベロッパーマーケティング部門を統括するコーネリアス・ウィリス副社長は、かつてMicrosoftに在籍中、数少ないWindows 3.0のエバンジェリストであり、Visual Basicのプロダクトマネジャーも務めたという。BEAのWebLogic Workshopで狙うのは、かつてのVisual Basicと同様、「開発の簡素化」。それをJ2EEでやろうというのだ。

ITmedia Microsoft在籍中は、Visual Basicのプロダクトマネジャーも務められていたそうですね。Visual BasicはWindowsアプリケーションの開発を大きく変えた製品だと思います。当時を振り返りながら、BEAがWebLogic Workshopでやろうとしていることについて話してください。

ウィリス 現在、エンタープライズクラスのアプリケーションを開発できるJ2EEのスキルをきちんと習得しているデベロッパーは全体の10%に満たないといわれています。われわれのデベロッパー戦略の柱は、このJ2EEを多くの人にとってもっとアクセスしやすく、そしてもっと生産性の高いものにするということです。言い換えれば、COBOLやVisual BasicのプログラマーにもJ2EEの領域に入ってきてもらえるようにしたいと考えており、そのためのツールがWebLogic Workshopです。

 Visual Basicが成功を収められたのは、多くのライブラリーがそろっていたからです。最初の1年でサードパーティー製を含めた15の優れたコントロールが登場しました。

 しかし、WebLogic Workshopの再利用可能なコントロールは既に48に上ります。特に今年に入ってからの3カ月間で倍増しています。WebLogic Workshopはさまざまな雑誌で取り上げられ、多くのアワードを獲得しました。Borland Delphi(1990年代、Visual Basicと共にGUIの時代を切り開いたパイオニア的なRADツール)以来のセンセーションと言っていいでしょう。

ITmedia 歴史は繰り返す、ということですか。

ウィリス 私はWindows 3.0の「数少ない」エバンジェリストのひとりでした。(1980年代後半、Microsoftは次世代の主力OSとしてOS/2をIBMと共同開発していたこともあって)OS/2のエバンジェリストはたくさんいました(笑い)。

 当時、Windowsにフレームワークはなく、最初に提供したのもBorlandでした。MicrosoftがVisual Basicを出荷したのは、Windows 3.0から1年遅れの1991年でしたが、サードパーティーの優れたライブラリーがそろっていました。

 J2EEも同じです。これまで単一のシンプルなフレームワークがありませんでした。WebLogic Workshopが狙っている「複雑なAPIの簡素化」や「パーツの再利用」は、何も初めてのことではありません。かつてMicrosoftで同様の戦略を推進した人たちの多くがBEAに入社しており、J2EEの世界ではわれわれがWebLogic Workshopでやろうとしているのです。

ITmedia 違いもあるでしょう。時代も大きく変わっています。WebLogic Workshop用にISVが提供するサービスコントロールもエンタープライズ向けのものばかりです。

ウィリス 確かに、Visual Basicのコードの99%は1台のマシンで動作するものでした。DCOMによってネットワーク上にコンポーネントを配置することを考えましたが、当時のMicrosoftにはネットワークに対応するための、非同期やセキュリティといったエンジニアリングがありませんでした。

 振り返ると業界はもう20年以上もアプリケーションの相互運用性を模索してきましたが、ようやくWebサービスという標準を得ることができ、エンタープライズ向けのサービスが実現できるようになりました。

eWorldでSOA関連製品発表へ

ITmedia いろいろなサービスをつなぐことによって柔軟なシステムを構築する「SOA」(サービス志向アーキテクチャ)が注目されています。5月下旬の「BEA eWorld San Francisco」ではSOA関連製品が発表されると聞きました。

ウィリス 新製品についてお話しすることはできませんが、既にSOAによってシステムを開発・配備している顧客もいます。われわれは次のステップとしてSOA関連製品を提供していきます。

ITmedia IBM、Sun、OracleといったライバルたちもSOA関連製品を発表しています。違いがあるとすれば何でしょうか。

ウィリス われわれの製品は既に市場で使われているということです。SOAのための一貫したプログラミングモデルがあり、サードパーティーからもコントロールが提供されています。

 SOAによって構築されるシステムは1社だけで完結するわけではありません。データベースはOracle、アプリケーションサーバはWebLogic、.NETで書かれたサービスもあれば、WebSphere MQ(旧MQSeries)のようなメッセージングミドルウェアもあり、実に多種多様です。SOAのためには、これらのサービスをつなぐ「オーケストレーション」の機能が不可欠であり、われわれのプラットフォームであれば、1日目からそれが可能です。BEAは1年前から製品を出荷しています。IBM、Sun、Oracleらは、後追いに過ぎません。

 また、どのベンダーもSOAが重要だと言いますが、教材になるようなものは不足しています。サンフランシスコのeWorldカンファレンスでは、実際にどう使えばいいのか、といったベストプラクティスやデザインパター(Project Sierra)なども提供したいと考えています。

 「Pet Store」をご存じだと思いますが、あれはアンティークなJ2EEのサンプルアプリケーションです(笑い)。われわれは、いわば「SOA版」のブループリントを発表する計画です。

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[聞き手:浅井英二,ITmedia]

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