OPEN Enterprise magazine 特集
2004/05/28 18:32 更新


データセンターを単一のシステムに――サンの次世代データセンター構想「N1」

サンのユーティリティ・コンピューティング構想「N1」は、システムの利用効率を向上させると同時に、システム管理者の負担を大幅に削減することを狙いとしている。N1実現に向けたロードマップは、いくつかの技術買収によって前倒されており、その実用時期は目前に迫っている。

 サンのユーティリティ・コンピューティング構想は、N1(エヌ・ワン)と名付けられている。サンのN1が、競合他社ユーティリティ・コンピューティング戦略と大きく異なるのは、その対象とする領域がデータセンターであることを明確に打ち出している点である。

 サンはN1を、全社レベルの一大プロジェクトと位置づけており、今後リリースされるサンの製品は、何らかの形でN1に対応することになる。

 N1環境ではサーバのコンピューティング能力やストレージの容量が仮想化され、統合されて1つの巨大な“コンピュータ・プール”に見えるように構成される。ユーザーは、処理に必要な処理能力や容量を、このコンピュータ・プールから取り出して利用することになる。ここで重要となる「柔軟なタスク配置」の実現には、サーバ上のOSインスタンスに適切なタスク分割機能とリソース配分機能が必要となるが、同機能はすでに「Solaris 9 Resource Manager」としてSolarisに標準で組み込まれている。

 また同社は、N1構想の実現を早めるために、ストレージ管理・仮想化ソフトウェアのベンダーであるパイラス・ネットワークスや、プロビジョニング・ソフトウェアベンダーであるセンターランを買収している。しかし、同社がN1で実現しようとしている環境は、他社の技術を寄せ集めただけで実現できるものではない。

「N1は突然登場したわけではない。この構想は、サンが20年以上にわたってフォーカスしてきたネットワーク・コンピューティングの経験とビジョン、技術に基づいており、JavaやJini、クラスタ技術などを集約して実現されるものだ」(米SunのN1/アベイラビリティ製品担当バイスプレジデントのデビッド・ネルソン―ギャル氏)

 現在のところ、サンのN1実現に向けたロードマップは、いくつかの技術買収によって前倒しされていると見ることができ、2005年までにはポリシー・オートメーションまで含めた製品ラインを提供する計画だ。


 このほかにもPDF中には、N1実現の鍵を握る「SDK」と「DDK」について述べられているほか、サンのN1実現に向けたロードマップについて、より詳細に解説されている。ぜひご覧いただきたい。

本特集はソキウス・ジャパンが発刊している月刊誌「Open Enterprise Magazine」のコンテンツをPDF化したものを公開します。同特集は2003年12月号に掲載されたものです。

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 次回は富士通を取り上げる。構築事例をもとにテンプレート化されたシステム・パターンで強化されたTRIOLEが、どのようにリソースの自律、仮想、統合を実現しているのかを確認していこう(5月31日公開予定)。