企業からコンシューマーへと、TabletPCはフェーズに合わせて普及のターゲットを広げてきた。さらに将来的には、TabletPCの機能をすべてのノートPCにも搭載していくという。米マイクロソフトTabletPCグループジェネラルマネージャーにTabletPCの現在と未来を聞いた。
2002年11月にリリースされたTabletPCは、フェーズに合わせて普及のターゲットを広げてきた。最初は企業向けの特定用途向け端末としてであり、次がコンシューマー向けのハイブリッドノートPCとしてである。そして、さらに将来的には、すべてのノートPCには必ずTabletPCの機能が搭載されているようにしていくという。
米マイクロソフトTabletPCグループジェネラルマネージャーのピーター・ロフォルテ氏に、TabletPCの現在と未来を伺った。
ITmedia 今回の来日の目的を教えてください。
ロフォルテ 顧客企業や開発パートナー企業からTabletPCに対するフィードバックを得ることです。マイクロソフトはTabletPCでも、日本市場に非常に強くコミットしています。Windows XP TabletPC Edition 2005では、手書き文字の認識率向上やインタフェースの改善を図りました。おかげさまで市場の反応も良好で、導入企業も大幅に増加しています。
ITmedia 公表できるユーザー事例などはありますでしょうか。
ロフォルテ 三菱電機ビルテクノサービスがすでに4000台以上のTabletPCをフィールドサービス用に導入済みです。TabletPCは通常のノートPCよりも使いやすく、またPDAよりもパワーがあるので効率的だという評価をいただいています。
滋賀医科大学付属病院では、医療行為や投薬の指示をコンピュータネットワークを介して行うオーダリングシステムや患者の診断、症状・容態管理用に200台のTabletPCを導入しました。青山学院大学では、約100台のTabletPCをEラーニング分野で使用しています。また、ゼネコンの西松建設では、施工検査・調査用に100台以上のTabletPCを導入しました。これにより、検査・調査に要する費用が半減したと聞いています。
TabletPCの導入企業は着実に増えており、数字は公表できませんが、売り上げも順調に伸びています。
ITmedia TabletPCは今後どのような分野がターゲットとなるのでしょうか。
ロフォルテ PCを机から離して使用したいというニーズがある分野では、どんな業態でもターゲットになると思っています。強いて上げれば教育分野。紙の申込書を使っている業種・業態も、ペーパーレス化およびダイレクト処理化という意味でTabletPCの潜在市場です。
“どのような分野”という質問だったのであえて分野を上げましたが、その質問に答えるのはとても難しい。なぜならそれは、ノートPCはどの分野に向いているか、どういう人がノートPCを必要としているのか、というのと同じ意味の質問であるからです。
ITmedia 今後TabletPCはノートPCと不可分な関係になっていくということなのでしょうか。
ロフォルテ そうです。そしてその兆候は、確実に現れてきています。東芝が発表した「dynabook R10」はその好例でしょう。
dynabook R10は、大画面で光学ドライブやフルサイズのキーボードが付いていて、フル機能のノートPCとして使用できます。また、ディスプレイを回転させれば、TabletPCとしても使用できる。つまり、通常のノートPCに比べて利用範囲が広いわけです。
不可分というよりも、すべてのノートPCはTabletPCの機能を備えているのが前提になりつつあると言った方がよいかもしれません。PCにマウスが付いているのが当たり前のように、ノートPCにTabletPCの機能が付いているのが当たり前になっていくでしょう。そして、ペン操作系の一般化により、ユビキタスが実現できると考えています。
ITmedia dynabook R10がターゲットとしているコンシューマー向け市場を活性化させていくためにどのようなことを計画しているのでしょうか。
ロフォルテ コンシューマーが簡単にTabletPCを購入し、活用できる体制作りが重要だと考えています。
そのための最初のステップは、コンシューマーのニーズにきちんと応えられるハードウェアを用意することです。コンシューマーは価格に敏感で、ある程度低価格であることが大切です。また、大きくて見やすいディスプレイやDVDビデオの視聴機能など、コンシューマーがあって当たり前と思っている条件をクリアしていなければならない。そして、それを実現したのがdynabook R10です。
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