「Oracle Grid」を支える先進テクノロジー連載第2回

Oracle 10gのローンチによってベールを脱いだOracleのGridテクノロジーは、企業のIT基盤を全体最適化できる技術として成熟が進んだ。全体最適化を実現する一連の技術として、「データベースとアプリケーションサーバの連携」「仮想化」、および「セキュリティ」を紹介する。

» 2006年08月21日 00時00分 公開
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 「企業の基幹業務を支えるIT基盤には、単なるコスト削減にとどまらず、ITがビジネス変化への迅速な対応への足かせにならないことや、さらなる可用性とスケーラビリティも求められている」と話すのは、日本オラクルでGridの営業推進を担当する北嶋伸安シニアマネジャー。

 これまで業界では「ベスト・オブ・ブリード」の名の下に、アプリケーションサーバとデータベース管理システムを異なるベンダーから選び、システムのインテグレーションはシステムインテグレーターや顧客企業に強いることが、しばしば行われてきた。しかし、北嶋氏は、「サービスを支えるIT基盤は、インテグレーションかつ統合された状態でベンダーが提供すべきだ」と話す。アーキテクチャが分断されたままでサブシステムを並べていけば、運用面から破たんするのは目に見えているし、迅速な新規開発もままならない。

 「単にデータベースの可用性を高めるだけでなく、システム全体、つまり業務の継続性を高めるためにも、IT基盤は統合化されているべきだ」と北嶋氏。

データベースとアプリケーションサーバの連携

 北嶋氏の言う「業務の継続性」という観点から見た真のHA(高可用性)を実現するため、Oracleでは、データベースとアプリケーションサーバの統合をさらに進めている。Oracle Application Server 10g 10.1.3で盛り込まれた「Fast Connection Failover」(FCF)機能もそのひとつだ。

photo 日本オラクル システム製品統括本部 営業推進部 Grid Computingグループの北嶋伸安シニアマネジャー

 下の左図のように並列化されているデータベース層の1つのノードに障害が発生したとしよう。定期的なポーリングによってデータベースの障害を検知し、障害時に正常なノードに再接続する機能をもつアプリケーションサーバもあるが、従来の方式では多少のタイムラグは避けられなかった。しかし、Oracle Application Server 10g 10.1.3では、FCF機能により、データベースから自動的に送られる障害通知を受け取り、即座に障害を検知し、ダウンタイムを最小限に抑えることができるようになっている。

 可用性が高まってくると、スケーラビリティとともにリソースの平準化も重要になる。Oracleでは、「Oracle Grid」の中核技術であるOracle Real Application Clusters(RAC)そのものの機能強化も図っており、「Oracle RAC 10g Release 2」では新しい「ランタイム接続ロード・バランシング」機能を実装した。

 下の右図のとおり、このランタイム接続ロード・バランシングは、ロード・バランシング・アドバイザとともに機能するもので、データベースノードの負荷やパフォーマンスに関するリアルタイムの情報通知に基づいて処理を行うノードを動的に切り替えてくれる機能だ。

 日本オラクルでシステム製品の営業推進を統括する杉崎正之部長は、「大手ソフトウェアベンダーはみなアプリケーションサーバとデータベースサーバの連携を強化している。それぞれを個々に選ぶのではなく、ITインフラを支える基盤ソフトウェアとして何を選ぶか、という時代になった」と話す。

photo 「Fast Connection Failover」機能によって、速やかに障害を検知し、ダウンタイムを最小限に抑えることができる
photo Oracle RAC 10g Release 2に実装されている新機能「ランタイム接続ロード・バランシング」

Oracle Gridによる仮想化とは?

 第1回の「IT基盤の全体最適化を目指すOracleのGridテクノロジー」で触れたように、Oracle 10gのGridテクノロジーは、Oracle9i Real Application Clustersによるデータベース層の並列化をアプリケーションサーバ層に拡大することで、さらに大きな価値を顧客企業にもたらすものだ。企業はOracle Gridを活用することによって、業務ごとに分断されたITシステムをGrid構成に変え、全体最適化を図ることができるようになる。

 「Oracle Gridの価値は、IT基盤に掛かる定常コストを下げ、新しいビジネスを遂行する戦略的なシステム投資にIT支出を振り向けられるようにすることだ」と北嶋氏。

 分散されたシステムでは、サブシステムごとにピーク時を想定したサーバを構築することが求められ、その結果、例えば、CPUリソースの8割が使われないまま遊んでしまっている。こうしたハードウェア資産を有効に活用すべく、さまざまな「仮想化」技術が登場し、業界でもホットな話題となっている。代表的な仮想化の応用例が、大型のSMPサーバを仮想化機能によって分割し、負荷に応じリソースを再配分しようというものだ。

photo 日本オラクル システム製品統括本部 営業推進部 Grid Computingグループの根岸徳彰担当マネジャー

 しかし、こうしたハードウェアによる仮想化は、「サーバ統合をゴールにした仮想化では不十分だ。OS層から下でハードウェアを仮想化するだけであり、重要なのはその上で稼働するソフトウェアのアーキテクチャの統合をおこない運用管理を標準化することにある」と指摘するのは、日本オラクルでGridの営業推進を担当する根岸徳彰マネジャー。

 Oracle Gridによる仮想化では、OSレベルではなく、一段上のデータベース層やアプリケーションサーバ層というミドルウェアスタックでの仮想化が実現されるため、例えば、1つのインスタンスのデータベースなのに、複数のアプリケーションからそれぞれ個別の仮想的なデータベースに見せることもできる。また、ハードウェアの仮想化とOracle Gridによるミドルウェアの仮想化を組み合わせることも可能である。

 もちろん、ミドルウェアスタックがOracle製品で標準化されていれば、新規開発にも効いてくる。

 「IT基盤に新しいシステムを追加するスピードを高めるのもOracle Gridの狙いだ」と根岸氏。

 北嶋氏も「Oracle 10gで実現されたデータベースの仮想化は、データベース管理者からすれば1つのインスタンスであるため、管理の簡素化を図ることができる。データ統合を進めていく上での最初のステップとしても有効だ」と話す。

photo Oracleが提案する仮想化のアプローチ

堅牢なセキュリティ基盤

 データベースの仮想化によって、1つのインスタンスに複数のデータベースが統合されていくと、堅牢なセキュリティ基盤が不可欠なものとなる。

 Oracle Database 10g Release 2が発表された2004年12月のOracle OpenWorld 2004 San Franciscoで、Oracle Databaseを統括するオラクル・コーポレーションのアンディ・メンデルソン上級副社長自身が、「最も重要な機能」と紹介したのが、「Transparent Data Encryption」だ。データベースとクライアント、データベースとアプリケーションサーバの間を暗号化するだけでなく、透過的にデータを暗号化してストレージに格納するもので、企業が個人情報を保護したり、SOX法のような法規制を遵守するのを支援するという。アプリケーションに一切の変更を加える必要がないため、最小のコストで最高のデータ保護機能を提供できるという。

 さらにOracleでは、「Oracle Database Vault」と呼ばれる強固なアクセスコントロール機能も盛り込んでおり、データベース管理者に対してでさえ、例えば、アプリケーションデータへのアクセスを禁止することもできる。厳格なアクセスコントロール機能によって、悪意ある従業員が承認を得ずに不正に新規ユーザーを作成したり、顧客や会計に関する機密情報にアクセスできないようにするのが狙いだ。

photo Oracle Database Vaultの用途
photo アプリケーションを修正することなく、データを暗号化して保護できる「Transparent Data Encryption」

日本オラクル:「Grid Week」開催概要

情報システム部門の抱えるさまざまな課題を解決し、ビジネスの変化にも柔軟に対応できる、安定した統合インフラを適正なコストで実現すること。つまり、全体最適化された情報システム基盤の構築が、企業にとって大きなテーマとなっています。安定した統合インフラを実現する技術と、その効果を示す事例や検証結果、「Oracle Grid Week」ではそれらをお伝えします。

項目 内容
主催 日本オラクル株式会社
日程 2006年8月29日(火)〜9月1日(金) 13:00〜17:45(12:00受付開始、17階にて受付)
会場 日本オラクル本社(東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート)17階、8階
参加費 無料

※イベントに関する詳細な情報はこちらから


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提供:日本オラクル株式会社
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年9月27日