“成長へ向けた適応力のあるIT基盤を作る”――HP&BEAのアライアンスが実現するメインフレーム移行ソリューション

長らく続いてきたメインフレームの時代は、企業を取り巻く環境が激変する中、その見直しが急務となっている。ここでは、メインフレーム環境をオープン環境へ移行するための具体的なアプローチについて日本HPとBEAに聞く。

» 2006年10月30日 18時00分 公開
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 多くの日本企業が長期にわたってベンダー独自の技術に基づいたメインフレームによりIT基盤を構築・運用してきた。しかし、外部環境の変化に対応し、企業競争力を高めるためには、硬直化したメインフレームから脱却し、SOA(サービス指向アーキテクチャー)も見据えた柔軟性や拡張性に優れたオープンなIT基盤への移行は避けて通れない。また、ここ数年、景気が上向きに推移しており、それに伴って企業のIT投資も積極的になっており、メインフレームからの移行を検討するには最適な時期となっている。

 本稿では、メインフレーム環境をオープン環境へ移行するための具体的なアプローチについて日本ヒューレット・パッカード(以下日本HP)と日本BEAシステムズ(以下BEA)のアライアンスが実現するメインフレーム移行ソリューションを紹介する。

メインフレーム市場のいま

 企業を取り巻く環境が激変する時代において、企業競争力を高め、市場で生き残っていくためには、スピードと適応性を兼ね備えた戦略的なIT基盤が欠かせない。しかし、ベンダー独自の技術に基づいたメインフレーム環境では、システムの拡張や変更は容易ではなく、上述のようなニーズに応えることは困難である。

 これまで、多くのユーザー企業もこの問題を真摯に受け止め、メインフレームからの脱却を検討してきた。メインフレームマイグレーションといったソリューションも各ベンダーから提供されるなどした結果、メインフレーム市場そのものは明らかに縮小傾向にある(図1)。

 その反面、いまだにメインフレームで基幹系システムを支えている企業も多い。これは、景気が回復しない世情が、企業のIT投資意欲を鈍らせていたことも一因と考えられるが、近年、景気が上向きに転じつつあることで、IT投資意欲もそれに同調している。メインフレームの受け皿となる新たなIT基盤を真剣に考えるべきタイミングがやってきたのである。

図1:国内メインフレーム出荷金額推移(縦軸:売上高、横軸:年)

出典: IDC Japan's Japan Server Quarterly Model Analysis CY2006 Q2

メインフレーム環境をオープンシステム環境へ移行する理由

日本ヒューレット・パッカード テクノロジーソリューション営業統括MFAビジネス推進部部長、山口太氏

 メインフレーム環境の弊害は、システムの硬直化だけではない。一般に、独自技術をベースとしたソフトウェアのライセンスやサポート費用は高額である。さらに、2007年問題として社会問題にもなっている、メインフレームの技術者数の不足は企業にとって大きな不安材料でもある。日本HP MFAビジネス推進部部長の山口太氏は、ここ数年のユーザー企業の意識の変化を次のようにとらえている。

 「今日のビジネス環境の変化に対応するには、柔軟性の高いコンピューティング環境、最新のITへの対応など、変化に対する高い適応性が求められます。硬直化したメインフレームでは、こうした変化への対応が難しい。HPは、以前よりメインフレーム マイグレーションに取り組んできましたが、ここにきて、収益性確保のためのコスト削減、すでに始まっている2007年問題への対応、サポート費用と業務の軽減といったことを目的に、メインフレームマイグレーションを真剣に考えられるお客様がますます増えてきました。また、6年前の2000年問題をきっかけに、さまざまな移行ツールが開発されています。HPは数々の経験とメインフレームマイグレーションの具体的ソリューションで、今後もお客様のお手伝いをしていきたいと考えております。」

オープンシステム環境へ移行する4つのアプローチ

 メインフレーム環境からオープン環境への移行は、ユーザー企業の置かれている状況やビジネス上の要件によってアプローチが異なる。このため、企業の実態に合わせた適切な戦略を採用することは不可欠である。「日本HPでは数多くのメインフレーム環境の移行を経験してきました。その経験の中でいえることは、最初にメインフレーム環境を移行する目的が何かをしっかりと定めることが重要です。その上で、適切な戦略を選択することがプロジェクトの成功の秘訣なのです」(山口氏)

 日本HPでは、メインフレーム移行(MFA)プログラムを展開し、その中では、「Surround(サラウンド)」「Offload(オフロード)」「Rehost(リホスト)」「Replace(リプレイス)」の4つの移行戦略を定めている。

短期間でリスクを抑える「リホスト」アプローチ

 「すぐにでもメインフレーム環境をオープン環境へ切り替えたいが、移行コストの高さで躊躇している」「まずは現状システムのサービスレベルを維持し、安定稼働させることが重要。業務プロセスの刷新は次の段階で」というユーザー企業には、これら4つの移行戦略の中で「リホスト」アプローチが最適といえる。

 このアプローチは、既存のビジネスロジックを積極的に利用し、リスクを抑えた形でメインフレーム環境からオープン環境へ移行できるのが特徴である。ビジネスロジックは従来のままで、移行に伴うコストとリスクを抑え、高信頼・高性能なオープンシステム環境への移行を実現できる。

 HPとBEAは「リホスト」アプローチの理想的な移行環境として、リファレンスモデル(図2)を提供している。このリファレンスモデルは、日本HPのプラットフォームと、レガシーなCOBOLアプリケーション資産を実行する「BEA Tuxedo」、Javaベースのオープン系アプリケーションを実行する「BEA WebLogic」から構成されている。

図2:メインフレーム移行プログラム リファレンスモデル

HPとBEAの強力な連携がメインフレーム移行を全面的にサポート

 企業の基幹システムを安定稼働させるには,システムを構成するハードウェア、OS、ミドルウェアといった個々の製品が高い品質であることに加え、これらの製品を組み合わせた際の品質確保も必要である。「HP Integrity サーバ」+「HP-UX」+「BEA WebLogic Server」+「BEA Tuxedo」という業界をリードする製品群で構成されたオープンシステム環境は、HPとBEAの両社の連携の下で十分な技術検証が行われ、その豊富な実績がパフォーマンスの高さを証明している。

 「BEA Tuxedoは分散トランザクション処理基盤として業界をリードする製品であり、最初の製品リリース(約20年前)以来、金融や通信といった非常に高いレベルのミッションクリティカル要件が求められる分野を中心に数多くの企業で利用されています。メインフレーム環境で求められる信頼性やパフォーマンスを実現するとともに、BEA WebLogic Serverと組み合わせることで、Webアプリケーションと非Javaの企業アプリケーションを連携した強固で安定したインフラストラクチャを提供します」(日本BEAシステムズ、沖原英二氏)

日本BEAシステムズ営業技術本部プリセールス・エンジニアリング部プリンシパル・プリセールスエンジニア、沖原英二氏

 国内外で、HPとBEAの両社のソリューションを組み合わせた適用事例は数多い。例えば、金融の分野では、200カ国、7800の銀行およびそのほかの金融機関間のメッセージサービスを提供するS.W.I.F.T(国際銀行間通信協会)が、英国証券決済システム(Crest)と接続するために選んだソリューションがHP-UXとBEA Tuxedoの組み合わせで構築されている。

 さらに、メインフレーム環境の移行事例として、フランスの大手保険会社が、1万本のプログラムを有するメインフレーム環境をHPのプラットフォームとBEA Tuxedoを中心とするオープンシステム環境へと移行した。同事例においても、運用保守のコスト削減、メインフレーム技術者不足、新規商品の開発における柔軟な対応が硬直化したメインフレームでは対応が困難と判断された。オープン環境への移行によって年間当たりのライセンスおよび保守費用を200万ユーロ(約3億円)削減し、バッチ処理の性能も40%向上したと報告されている。

最適解を得る具体的なプロジェクト計画の立案をサポート

 メインフレームを利用しているユーザー企業にとって、オープン化を検討する初期段階では、具体的にオープン化した場合にどのようなシステムが必要か、またどの程度のコストが必要となるかが気になるところである。ユーザー企業が抱えるこうした課題に対して、日本HPでは「プレアセスメントサービス」を用意している。同サービスでは、オープン移行後のシステム構成や移行に必要な費用、導入期間などを試算し、具体的な移行計画を策定するための材料として役立ててもらうことを目的としている。

図3:MFA検討プロセスとプレアセスメントの位置付け

 プレアセスメントサービスは、ユーザー企業の現在のメインフレーム環境および業務プログラムの調査を行い、オープン化を検討するために必要となる以下の情報を約2週間で提供する。

  • リファレンスモデルをベースにしたシステム構成
  • 主要なハードウェアとミドルウェアに関する初期および保守に関する概算費用
  • 現在のメインフレームプログラムをオープンシステム環境へ適応させた場合の適合率
  • プロジェクト推進に当たっての課題や検討項目の明確化する作業

 こうした情報を提供することで、ユーザー企業は、オープンシステム環境への移行後のイメージを具体的に持つことができ、リスクを抑えた現実的なメインフレーム移行プロジェクトを推進できるのである。

レガシーとオープンをシームレスに連携し、自在に変化するSOAを実現

 IT基盤の柔軟性を高めるという点では、SOAは不可欠の仕組みである。実は、メインフレーム環境の移行は、将来のSOAの実現へ向けての第一歩ともいえる。

 メインフレーム環境のアプリケーション資産をすべて捨てて、オープンシステム環境でアプリケーションを再構築するのは、理想的な姿なのだろう。先の4つのアプローチで言えば「リプレイス」アプローチとなるが、実際にはリスクも高く、開発コストも相当なものとなってしまうため、導入に踏み切れる企業は限られてくる。その点、安定稼働をしている既存のCOBOLアプリケーション資産を有効に活用する「リホスト」アプローチは、リスクも小さく、導入コストも抑えることができる現実的なアプローチといえる。

 「企業システムの全体最適化を導く仕組みとしてSOAへの期待は大変高いといえます。BEA AquaLogic Service BusというESB製品は、BEA Tuxedo上のCOBOLアプリケーションとBEA WebLogic Server上のJavaEEアプリケーションをそれぞれ相互運用可能なサービスとして再構成し、連携させる仕組みを提供します。BEAはさらにこの考えを進化させ、BEA Tuxedo,BEA WebLogic, BEA AquaLogic製品を統合する『SOA 360°』という新たなプラットフォーム戦略を発表しました」(沖原氏)。

図4:SOAを実現するレガシー資産の活用

 メインフレーム環境をオープン環境へ移行することは、将来のSOA基盤構築の素地を作ることにほかならない。過去のIT資産を完全に捨て去るのではなく、新しいサービスと連携させることが可能なIT基盤の構築こそが今求められているのである。

成長への一歩は適応力のあるIT基盤の構築から

 SOAを見据え、俊敏な経営を支える理想的なIT基盤の実現に向けて、アプリケーションを安定稼働させるミッション クリティカルな実行環境と安心して利用できるハードウェアとのコンビネーションが不可欠である。こうした環境の存在が、レガシー資産とオープン系アプリケーションをシームレスに連携させ、差別化された新規事業の創出につながるのである。HPとBEAのお互いの強みを生かした協力体制は、まさにこれを下支えするトータルソリューションを提供する。

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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年12月5日