GoogleとSalesforce.com、クラウドコンピューティングでOracleとMSを批判口論の行方(1/2 ページ)

Web 2.0 Summitのクラウドコンピューティングパネルで、Salesforce.comのマーク・ベニオフCEOがOracleとMicrosoftを痛烈に批判した。一方、Googleエンタープライズ部門のデイブ・ジルアード社長は、「Microsoft Office WebよりもGoogle Appsの方が“おいしい果物”だ」と述べた。

» 2008年11月11日 09時10分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 理想をいえば、11月6日にサンフランシスコで開催された「Web 2.0 Summit」でティム・オライリー氏が進行役を務めたクラウドコンピューティングに関するパネルディスカッションには、Oracleのラリー・エリソンCEOとMicrosoftのスティーブ・バルマーCEOにも参加してもらいたかった。

 そうすれば、両氏はSalesforce.comのマーク・ベニオフCEOとGoogleエンタープライズ部門のデイブ・ジルアード社長からの痛烈な批判に反論できただろう。その場合、このパネルディスカッションは、ソフトウェアプロバイダーが顧客のためにアプリケーションとインフラを運用する方式であるクラウドコンピューティングとSaaS(サービスとしてのソフトウェア)をめぐる論争の場となったことだろう。

 しかし、ベニオフ氏とジルアード氏の批判は一方通行で終わった。ベニオフ氏は、エリソン氏がSalesforce.comとクラウドコンピューティングを一蹴したことについて、「エリソン氏は“弱いときには強いふりをする”孫子の兵法を利用しただけであり、それは同氏にとって“正しいアプローチ”だ」と述べた。Oracleはオンプレミス(社内保有)型データベースシステムを専門とするベンダーである。

 クラウドコンピューティングの利益率が、伝統的なソフトウェアビジネスのそれよりも低いというエリソン氏のもう1つの批判点についてオライリー氏が質問したのに対し、ベニオフ氏は「クラウドモデルを、OracleやSAPのような成熟して死にかけている、あるいは既に死んでいるのかもしれないモデルと比較するのは不公平だ。これはリンゴかオレンジかというように、比較できないものを無理やり比べるようなものだ」と答えた。

 先週行われたSalesforce.comの「Dreamforce」イベントの疲れが残っているように見えたベニオフ氏は、Microsoftのクラウド進出を皮肉を込めて歓迎した。

 「Microsoftが参入し、いつか何かを提供するというのは素晴らしいことだと思う」と同氏は語った。これは、先ごろ開かれたProfessional Developers ConferenceでMicrosoftがクラウドコンピューティングプラットフォーム「Azure」を発表したことを指している。Azureが登場するのは2009年になる見込みだ。

 ジルアード氏は社交辞令を交えながらも、ベニオフ氏の果物の例えを引き継いだ。同氏は、Google Appsに対抗する製品として「Office Web」を開発中のMicrosoftについて、「MicrosoftはいずれGoogleと“リンゴ対リンゴ”の競争ができるようになるだろう」と歓迎しながらも、「われわれのリンゴの方がおいしいと思う」と付け加えた。

 VMwareのポール・マリッツ社長兼CEOとAdobeのケビン・リンチCEOもパネルに参加したが、ライバル攻撃には加わらなかった。マリッツ氏は以前、MicrosoftでWindows、Office、Visual Studioなどの主要なプラットフォームやアプリケーションを統括し、現在はEMCの子会社であるVMwareの経営責任者を務める。VMwareは、企業が自社のコンピュータシステムをクラウド上で運用するための仮想インフラを専門に手掛ける。

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