クラウドを加速させる10年越しのOracleの技術

自社で用意したデータセンター上に情報システムを実装するプライベート・クラウドが注目を浴びている。鍵になるのは、サーバの仮想化、グリッドなどの技術を上手に活用してデータセンターを構築すること。この分野について、日本オラクルは絶対的な自信を持っている。

» 2009年07月21日 00時00分 公開
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クラウドコンピューティングのメリット

 1980年代のメインフレーム、1990年代のClient/Server Computing、2000年代のWeb Computing、そして今、クラウドコンピューティングの時代がまさに始まろうとしている。30年でITパラダイムが大きく動き始めている。特に、2000年前後のITバブル期に比べ、この10年でIT業界には新しい波が訪れている。現在では、10年前に比べ、以下の特徴が見られる。

  • 技術革新
  • コンプライアンスの強化
  • より利用者目線に! (主役の座が、提供側から、利用者へ)

 この環境下で、多くのベンダーが自社サービスや製品をクラウドに対応させつつある。世の中でこれだけ注目を浴びているクラウドコンピューティングの利点として、次のようなものが挙げられる。

 まずは「俊敏性」だ。通常何らかのアプリケーションを利用しようとすれば、ハードウェアを用意しセットアップする。そして、OSや各種ソフトウェアをインストールすることで利用できるようになる。必要であればプログラムを開発し、テスト、検証というステップを経てやっと利用できるようになるわけだ。

 この過程は簡単なものでも数日程度、複雑なアプリケーションを構築するなら数カ月から1年以上の期間が必要になる。時代の変化が激しい現代、このようなスピード感覚では情報システムがビジネスの変化に追随できない。この解決策として、クラウドコンピューティングが注目されている。

 オンライン上で簡単な契約手続きさえ済ませればすぐに利用できるものもある。ハードウェアの調達はもちろん、OSのインストールや各種ソフトウェアのセットアップも基本的には必要ない。クラウド上でアプリケーションを開発するのでなければ、素早く展開できるのだ。

 もう1つのメリットは「コスト」。多くのクラウドのサービスは従量制課金制だ。初期導入時に莫大な費用は発生しない。少ない費用ですぐに始められるメリットは大きい。すぐに始められると同時にすぐに止められるのもメリットの1つだ。

 自分たちでコストと手間を掛けて構築したシステムであれば、多少使いにくいところがあっても利用するしかないという事情が出てくる。手間とコストを掛けてなんとか使いやすいものに改良するのが一般的だ。ところが、クラウドのサービスであれば、使いにくければすぐにサービスの利用を止めてしまえばいい。他サービスへの乗り換えも容易だ。当初は利用価値があると判断しても、いざ利用してみるとメリットが出ないかもしれない。気づいた時点ですぐに止めれば、コスト負担も最小限に抑えられる。

意外と知られていないクラウドのデメリット

日本オラクル システム事業統括本部 データベース製品ビジネス推進本部 シニアディレクター 入江宏志氏 日本オラクル システム事業統括本部 データベース製品ビジネス推進本部 シニアディレクター
入江宏志氏

 クラウドコンピューティングにはさまざまなメリットがあるものの、コストをはじめ注意するべきことも多い。初期導入コストは低くても、大勢の人間が長期にわたって利用すればそれなりに高いコストを毎月払うことになる。自社所有した方が安価かもしれない。もちろん、コストはサービス利用の対価としてだけで判断できない。自社運用時の管理の手間など含めトータルでの比較が必要だ。

 さらに、オープンなインターネット経由ということで、セキュリティ面での不安も指摘されている。実際の脆弱性の有無に関わらず、社内の重要なデータをインターネット越しに他社管理のサーバに置くことが、ポリシー上許されない企業もあるだろう。

 日本オラクル システム事業統括本部 データベース製品ビジネス推進本部 シニアディレクターの入江宏志氏は「多くの場合、クラウドサービスの可用性については言及されていても、パフォーマンスなどのサービス品質にまで言及するものはまだまだほとんどありません」と話す。クラウドサービスの質を明確にしているサービスはほとんどないという指摘だ。サービス停止については、SLA(Service Level Agreement)で契約にしっかりとうたい、仮にそれを満たせなければ返金する条項を設定するものもある。しかし、例えば、「速度が低下した場合」などサービスの質に関する部分にまで明確にしているものはあまりない。

 もう1つ懸念されるのが既存システムとの連携だ。「現状のクラウドサービスの質などを考慮すれば、すべてのシステムをクラウド上に持っていくことは現実的ではありません。 情報システムを100%同じ形態にするのではなく、クラウド、アウトソーシング、オンプレミス型をバランス良く取り入れ、全体をポートフォリオとして考える必要があります」と入江氏は言う。当然ながら一部はクラウド、それ以外は既存システムを利用することになる。多くのクラウドのサービスでは、既存システムとの連携はそう簡単ではない。少なくとも自社で所有するシステム間を連携するように簡単にはいかない。既存システムとの連携の仕組みを構築するのに莫大な費用が発生するようであれば、クラウドのコストメリットなどあっという間に吹き飛んでしまう。

 すぐに止められるのが利点と指摘したが、それは契約やコスト面のこと。実際にクラウドのサービス間での移行において技術的なハードルは高い。データを抽出し、新たなサービスに移動するといった「ポータビリティ」は、現状のクラウドサービスにはないといえる。

NGDCに必要な10の要件

Oracleが考える次世代データセンターのありかた       Oracleが考える次世代データセンターのありかた

 このようにクラウドのデメリットを見ていくと、クラウドコンピューティングの採用に二の足を踏むユーザーも多いはずだ。そこで、昨今注目されているのがプライベート・クラウドである。ベンダーによってあらかじめ用意されているサービスを、インターネット越しに利用するものをパブリック・クラウド。これに対し、自社内あるいは自社グループ内にクラウドコンピューティングの仕組みを実現し、それを利用するものをプライベート・クラウドと呼ぶ。一足飛びにパブリック・クラウドに移行するのではなく、まずはプライベート・クラウドを利用して効率化しようとするものだ。

 パブリック・クラウドの多くは、コストメリットを発揮するためにマルチテナント方式でサービスが提供されている。1つのサーバ上のサービスを、複数の企業で利用することでリソースや管理の効率化を図り、これによってサービス価格が安価に設定できるのだ。しかし、このためにはユーザーごとに厳密な権限やリソースの分離が行えなければならない。あるユーザーの処理が、ほかのユーザーになんらかの影響を与えるような仕組みでは、クラウドコンピューティングのサービス品質は担保できない。こういった質の面の課題解決は、自社専用の環境を構築できるのでプライベート・クラウドでは容易だ。さらに、セキュリティの確保なども、自社の基準で対応できる。

 世界最大のエンタープライズソフトウェアベンダーであるOracleでは、パブリック・クラウドの極めて条件の厳しいプラットフォーム基盤はもちろん、従来のオンプレミス型、そしてアウトソーシングやプライベート・クラウドを含め、次世代のITシステム基盤を全方位でサポートする。Oracleは、これらさまざまなシステムの利用形態のどれか1つだけに注力するのでなく、ITシステム基盤全体をポートフォリオでとらえているのだ。

 このときにOracleが考慮している大きな方向性は、クラウドかオンプレミスか、あるいは自社運営かアウトソーシングかを問わず、大規模なデータセンターにプラットフォームが集約されていくということ。その上で、変化に強いITシステム基盤を構築できるようにし、将来を見据えた適切なテクノロジーを採用し、社会的責任を満たせる基盤を確立するのだ。

 これを「Next Generation Data Center(NGDC)」と位置付け、その実現のために統合されたストレージ、統合されたデータベース、分散環境でのミドルウェアをグリッドと仮想化技術を用いて実現している。この3つの層すべてにわたってソリューションを展開でき、さらにその上の各種アプリケーションまで提供できるのは唯一Oracleだけなのだ。

 Oracleでは、クラウドコンピューティングに必要な条件には5つのものがあると考えている。真っ先に重要となるのが拡張性(Scalability)、可用性(Availability)、トレードオフの関係にある一貫性(Consistency)である。これらの3つは、従来のASP型のサービスでも必要な要素だ。ここにマルチテナントで実現するコスト効率(Cost)と、既存システムよりも素早く立ち上げ、必要な期間のみ利用できる俊敏性(Agility)が加わる。

次世代データセンターに必要な10要件     次世代データセンターに必要な10要件

 このクラウドの要件5つに、性能要件を含めたサービス品質のQoS(Quality of Service)、ビジネス要件を満たすセキュリティとコンプライアンス(Security & Compliance)、データセンター、サーバ、ストレージ、アプリケーションという各レベルでの統合(Consolidation)、統合化された情報システム基盤の適材適所での監視(Monitoring)による可視化、運用負荷を軽減する自動化(Automation)という5つを加えることで、NGDCに必要な10要件となるのだ。

 「10年前のITバブル期のWeb Computingと、現在のクラウドの本質は何ら変っていない。ただ、当時と比べ、仮想化、グリッド等IT技術の進歩は目覚しい。クラウドの本質を捉え、お客様のクラウドの“構築”(プライベート・クラウド)、あるいは、“利用”(パブリック・クラウド)する基礎技術をご提供し、ご支援するのがOracleの役割です。その際に、考慮すべきなのが、この10要件です。 “クラウドとデータセンターの融合”の中で、クラウド事業者、アウトソーシング事業者、そして、自社運営型のユーザー企業が、今まで苦手としていた要件に関して、自ら行うか、あるいは、新しい協業を進めるか、パラダイムが大きく変っていく」と入江氏は強調する。

NGDCに必要な10要件すべてを満たすOracle Databaseのプラットフォーム技術

日本オラクル システム事業統括本部 データベース製品ビジネス推進本部 プラットフォーム・ソリューション推進部 シニアマネジャー 椛田后一氏 日本オラクル システム事業統括本部 データベース製品ビジネス推進本部 プラットフォーム・ソリューション推進部 シニアマネジャー
椛田后一氏

 Oracleは、NGDCに必要な10要件をすべて満たすことができる。とはいえ、Oracleでは、クラウドやNGDC実現のためにそれ専用の新たな製品やサービス、機能を最近になって急に提供し始めたわけではない。10年も前から提供しているデータベースのグリッドを中核とした技術によって、これらには十分に対応できるのだ。

 その要件の中からOracle Databaseが実現するテクノロジーについていくつか見てみよう。

 まずは最も重要な要件の一つである拡張性(Scalability)だ。拡張性が確保できなければ、常に変化し続けるビジネス・モデルやプロセスに対応できない。

 この要件を満たす注目すべき技術は、データベースを仮想化するOracle Real Application Clusters (RAC)とストレージを仮想化するOracle Automatic Storage Management(ASM)によるグリッドテクノロジーだ。Oracleのグリッドテクノロジーの考え方は、リソース(サーバやストレージ)を集めてプール化し、各サービス(システム)に対して必要なリソースを、必要な時に、必要な分だけ分け与えるものだ。

 RACでは突然の急激なシステム負荷に対しても動的にサーバリソースを分け与えたりすることができるが、これはもはやシングルシステムをスケールアウトする機能ではなく、複数システムの統合IT基盤となる「プラットフォーム」テクノロジーだ。

 また、ASMの特徴は、必要なディスク容量を必要な分だけシステムに供給できる点である。ディスク性能が足りない場合にはオンラインでディスクを追加することができ、データ配置を自動的にリバランスすることも可能だ。これは、余分なハードウェア投資を抑え、システムの運用管理を非常にシンプルにする卓越した機能といえる。

 今、流行っているハイパーバイザ(1台のサーバ上で複数のOSを動かすための仮想化ソフトウェア)を活用したサーバ仮想化も、クラウドコンピューティングを実現する上で重要なテクノロジーだ。しかしながら、仮想化を使ってサーバを集約し、サーバ台数を減らしその部分が効率化できても、それだけではクラウドコンピューティングのシステム基盤として不十分だ。その上で動く各システム間連携まで考慮しシステム統合できていなければ、「マルチテナント方式」での真の効率化は図れない。これを実現するには、グリッドによるストレージ、データベースの集約が必要になる。

マルチサービスを支えるグリッドテクノロジー  マルチサービスを支えるグリッドテクノロジー

 マルチテナント方式でサービスを展開する際に、データベースそのものを共有しスキーマで分けるよりも、1つのテーブルを共有したほうが効率化されコストをさらに下げられる可能性がある。どちらの方法にも対応できるのがOracle Databaseだ。

 例えば、これには仮想プライベート・データベースという機能が活用できる。この機能は、クラウド用に新たに提供されたものではなく、従来Oracle Databaseが持っている機能であり、これを活用することで俊敏性(Agility)が向上し、コスト削減にもつながる。

 同時にテーブルを共有した際のセキュリティ確保には、例えば管理者の権限も分離して管理できるOracle Database Vaultという機能が利用できる。さらには、バックアップも含めデータベース自体を暗号化する機能もある。日本オラクル システム事業統括本部 データベース製品ビジネス推進本部 プラットフォーム・ソリューション推進部 シニアマネジャーの椛田后一氏は「仮に不正にデータを入手しようとしても中身の情報が漏えいする心配は極めて少なくなる」と自信を見せる。これらも、従来からOracle Databaseには実装されている機能だ。

 Oracleが提供するクラウドコンピューティング実現のための技術をうまく活用しNGDCを構築できれば、場合によっては従来型のITシステム基盤を利用するのに比べ85%以上のコスト削減も見込めるという試算も出ている。もちろん、コストだけでなく、可用性や性能も大きく向上することが期待できる。最も重要なことは、これらが新たなクラウドコンピューティング専用の機能によって実現されるものではなく、Oracleの10年以上にわたる実績に基づいた、信頼性の高いプラットフォーム技術で実現できるということだ。


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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年8月20日