物理と仮想を超えたシステム監視――JP1のモニタリング機能

サーバ集約の目的の1つは、システム単位で個別最適化してきたシステムを全社/グループ企業規模で集約し、ITリソースの効率化を図ることである。そのためには、物理環境と仮想環境をうまく使い分け、ITリソースを効率よく利用することが求められる。一見スムーズにコストを削減できそうだが、反面、複雑化したシステム構成をどう監視するか? という課題も残る。日立の運用管理ソフトウェアの最新バージョン統合システム運用管理「JP1 Version 9」には、効果的な監視を支援する新しい機能が用意されているという。

» 2009年10月13日 10時00分 公開
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システムを全体最適化する運用管理の仕組み

 徐々に回復の兆しも見えているとはいえ、今の世の中は相変わらず厳しい経済状況が続いている。もちろん、ITの現場においても例外ではなく、システムの更改・導入には確実なコスト削減効果が求められる。そこで新しい技術として注目されているのが、ITリソースを効率化するサーバ集約であり、それを実現する手段が仮想化である。

 これまでのシステム構築は、業務単位でサーバやアプリケーションを用意する“個別最適化”が当たり前だった。各業務システムにITリソースが十分に割り当てられており、それぞれのシステムが問題なく役目を果たしてきたため、システム全体の稼働状況を監視する運用管理については後回しにされることも多かった。

 しかし、仮想化技術の進展によってこれまで別々だったシステムが統合されると、システム自体は複雑化する。既存業務を統合するだけでなく、新たな業務も追加投入され、システムはどんどん大規模化していく。それにより、ある業務に何かしらのトラブルが起きた際、ほかの業務に影響を与える危険性も高まる。だから、システム全体を監視できる運用管理は必須であり、これが実現できなければシステム全体のコスト削減効果を十分に得ることはできない。

 このようにシステム全体最適化が求められる今は、運用管理を根本から見直すチャンスなのである。だが、どのように全体最適化を進めていけばよいのだろうか。

 まず重要なのは、システムの現状把握とITリソースのプランニングを行う計画のプロセスである。その計画に基づき、システムの複雑さや規模に左右されない運用管理の仕組みを構築する。そして、統合されたシステムを監視してITリソースを有効活用し、状況を見ながら次の計画につなげていく。このように、「計画→構築→運用→……」というスパイラルを回す仕組みを作るわけだ。

 ただし、計画・構築・運用の各プロセスには、解決しなければならない課題もある。その課題を解決するために、日立製作所(以下、日立)の最新運用管理ソフトウェア「JP1 Version 9(以下、JP1 V9)」にはさまざまな機能が追加されているという。

業務への影響と手間を排除したエージェントレスでのサーバ稼働監視

 システムの現状把握とITリソースのプランニングが目的になる計画のプロセスにおける課題は「どこから手を付けるべきか分からない」ということだ。ITリソースを集約するために現在の稼働状況を把握したい。けれども、実際に稼働状況を監視する仕組みを導入するには手間やコストが掛かる。仮に手間とコストを掛けられたとしても、監視ツールを導入するために稼働中のシステムを止めなければならない。監視ツールを導入しても、性能が低下して業務に影響が出てきそう……。これらの課題を、すべて解決しなければならない。

 そこでJP1 V9に用意されたのが、エージェントレス監視機能だ。一般的なシステムの監視では、監視対象に情報収集を行うエージェントと呼ばれるプログラムをインストールする。それがJP1 V9では、エージェントをインストールすることなく、つまり、稼働中のシステムに一切手を加えることなく稼働状況を把握し、ITリソースのプランニングに役立てられるのだ。

 エージェントレスによる監視は、動的に変化するシステムにおいても有効だ。物理サーバや仮想マシンを新たに追加した場合、監視対象にそれらを加えるだけですぐに監視できる。エージェントプログラムをインストールする必要はなく、監視対象にほとんど負荷を掛けないというメリットがあるので、業務への負担を極力減らしたい、システムを段階的に拡張したい、業務と無関係なソフトウェアの導入を回避したいといった場合に有効だ。日立の試算によると、エージェントレス監視はエージェント監視に比較して、監視対象の追加で70%以上、保守メンテナンスには80%以上も作業時間を削減できるという。

 エージェントレス監視では、プラットフォームのCPU、メモリ、ディスク、ネットワークなど基本的な監視項目が網羅されている。業務要件によって、高い可用性が求められる重要な業務サーバを監視するには、システムのプロセスなど詳細な監視が可能になるエージェント監視も選択できる。つまり、エージェントレス監視とエージェント監視をうまく組み合わせることで、適切な監視環境が実現する。JP1であればエージェントレス監視とエージェント監視を1つの監視画面で一元的に管理できる。

それぞれの監視方法の特徴を理解し、目的や環境に合わせて使い分けることが重要。なお、JP1 V9では、両方の監視方法を共存できる それぞれの監視方法の特徴を理解し、目的や環境に合わせて使い分けることが重要。なお、JP1 V9では、両方の監視方法を共存できる

 なお、仮想環境のエージェントレス監視は現在ヴイエムウェアの仮想化ソフトウェア「VMware ESX Server」のみの対応になっているが、年内にはマイクロソフトの「Hyper-V」、日立の「Virtage」にも対応する予定だ。期待して待ちたい。

業務視点での正確なシステム監視と容易な導入支援の強化

 構築のプロセスにおいては、複雑さや規模に左右されない運用環境が求められるが、集約によって複雑になり、大規模になってしまったシステムの構成を把握する仕組みを作ることは容易ではない。業務視点での確実な監視をするためにはエージェント監視でのメッセージやログ監視が必要となるが、その監視環境を設定する際も、監視対象の数だけ同じ作業を繰り返さなければならないなど、作業負荷は大きい。このような構築時の作業負荷を軽減するという課題が残る。

 この課題を解決するために、JP1 V9では「JP1/Integrated Manager(JP1/IM)」を改良し、イベント監視の設定やサービス稼働状況の確認をグラフィカルなインタフェースで一括設定できるようになった。監視だけでなく、リモートからサービスを再起動するといった運用も可能だ。これらは、JP1 Version 8(以下、JP1 V8)以前でも画面を作り込んだり、コマンドを駆使したりすれば可能だったが、GUI画面が用意されたことで手間を軽減できるだけでなく、オペレーションミスを防げるようになった。

 運用のプロセスでは、複雑かつ大規模な構成を間違いなく把握し、それを次のITリソースのプランニングにつなげるという課題を解決しなければならない。とりわけ、仮想環境においては、物理サーバと仮想マシンが混在し、障害発生個所の特定が難しかったり、ほかの業務への影響の有無や影響範囲が分からなかったりする。

 そこでJP1 V9では、物理と仮想の両方が混在する環境においても、業務の視点で監視できる監視画面が採用されている。この監視画面を使えば、障害発生個所の特定と影響範囲をひと目で把握できるようになるため、障害時の対処を迅速化できる。

業務視点の監視画面により、障害時の対処を迅速化 業務視点の監視画面により、障害時の対処を迅速化

 さらにJP1 V9は、物理と仮想の両方におけるITリソースの状況を正確に把握する機能を備えている。物理と仮想が混在するシステムのITリソース状況を把握できていないと、ある仮想マシンがITリソースを使い切って高負荷な状態だったとしても、ほかの仮想マシンや物理サーバの使用率を運用担当者自身が調べてみない限り、本当にITリソースが足りないのか、それともITリソースを再割当することで解決できるのかといったことが分からないという問題点がある。

 その点、JP1のJP1/Performance Management(JP1/PFM)では、物理サーバと仮想マシン双方の稼働状況を把握できる。これにより、ITリソースの配分を最適化すれば、システムの性能を最大限に引き出すようにチューニングできることになる。

システム全体のサーバ稼働状況が一目瞭然になる。日々の運用の基本監視画面として利用でき、稼働監視の管理負荷を軽減する システム全体のサーバ稼働状況が一目瞭然になる。日々の運用の基本監視画面として利用でき、稼働監視の管理負荷を軽減する

運用管理の仕組みをJP1 V9へ容易にリプレース

 ここまで計画・構築・運用の各プロセスにおける課題と、それを解決するJP1 V9の新機能を紹介してきたが、日立によればこれらは、JP1 V8以前からV9へバージョンアップするだけですぐに活用できるという。段階的な移行にも対応しており、例えば業務の影響を考慮してエージェントをそのままにしておき、監視マネージャのみ先行してバージョンアップするといったこともできる。監視画面も、使い慣れた従来の画面インタフェースに変更できるほか、より使いやすくなるよう操作性の改善が図られているので、バージョンアップに伴って操作に戸惑うこともない。実際の操作イメージは、無償配布している体験版にて体験していただきたい。なお、体験版はJP1製品サイトから、申し込み可能だ。

 これまでJP1を利用していなかった企業も、物理環境と仮想環境を統合監視して運用管理の効率化を図りたいのであれば、JP1を導入されることをお勧めしたい。JP1を使ってみれば、JP1がなぜ国内運用管理ソフトウェアにおけるデファクトであり続けているのか、その理由を理解できるに違いない。

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提供:株式会社 日立製作所
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年11月12日