グローバルビジネスを強力に支える「WAN高速化ソリューション」

ネットワークの遅延は、グローバル規模のビジネスにおいて、常に課題となる。遅延によるサーバへのアクセス時間の増加はエンドユーザーの生産性に関わる。NTTコミュニケーションズはWAN高速化ソリューションをグローバルで提供。本稿では、WAN高速化の意義と導入のメリットを紹介する。

» 2010年01月25日 10時00分 公開
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グローバル経営時代に注目を集めるWAN高速化テクノロジー

 製造業など多くの国内企業がグローバル経営に乗り出し、国内主要メーカーの海外売上比率が50%近くに達しているとの報告もある。この経営課題に挑む基盤を構築するべく、各拠点に分散するサーバの統合に着手する企業が増えている。

 厳しい経済環境の下、ICT基盤を構築、運用するIT部門には、サーバ統合プロジェクトの推進においてもコストの削減が要請されている。ただし、各拠点に分散するサーバを統合するだけでも運用コストの削減が見込めるが、各拠点を結ぶグローバル・ネットワークの構築と運用コストについても検討が必要だ。業務に支障をきたさない水準のネットワークパフォーマンスを確保するために、単に回線を増強する方法ではコスト削減は難しい。中には回線の増強だけでは解決できない遅延の問題もある。近年グローバル企業の間では、構築したWAN回線のパフォーマンスを最大化するアプローチとして、WAN高速化(最適化)に注目が集まっている。

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2008年6月から「WPA(WAN Performance Accelerator)」というサービス名でWAN高速化ソリューションを提供している。グローバル統合プロジェクトにおけるWAN高速化アプローチの重要性と、ユーザー企業にとっての利点を紹介する。

WAN高速化がTCO削減に貢献

 NTT Com グローバル事業本部 サービスディベロップメント部門 課長の永田裕二氏は、同社のWPAの位置付けを次のように説明する。

NTTコミュニケーションズ グローバル事業本部 サービスディベロップメント部門 課長 永田裕二氏

 「企業のIT部門にはグローバル規模のネットワークインフラ上に展開される各種アプリケーションの効率的な構築、運用が求められている。WPAはネットワークパフォーマンスの最適化を通じてお客様の業務生産性向上とTCO(Total Cost Ownership)の削減に貢献できる」

 WAN高速化によるグローバル統合時のTCO削減とは何か。永田氏は、企業活動と絡めて説明する。「複数拠点のサーバ統合によってシステムを一元管理する体制が整い、サーバ構築・運用のコスト削減が図れる。その一方で、お客様のICTインフラ環境によっては通信の遅延などによりエンドユーザーのシステムへのアクセス速度が低下することもある。これは業務効率の悪化、ひいてはコストの肥大化を意味する」

 グローバルなサーバ統合の際には、WANの高速化・最適化のアプローチがそのカギを握る――これがNTT Comの見解である。

ネットワーク遅延がもたらすインパクト

 WAN高速化が果たす役割はグローバルネットワークにおいて発生する遅延問題を解消することである。遅延が業務にもたらすインパクトは大きい。製造会社が製品設計業務を各拠点に分散しているケースでは、大容量のCADデータを複数の拠点で共有し送受信する。この場合、本社を含む各拠点のユーザーが遅延の影響を受ける。

NTTコミュニケーションズ グローバル事業本部 サービスディベロップメント部門 プロダクトマネジャー 大出健太郎氏

 同社サービスディベロップメント部門で数々のWPA導入を手がけた大出健太郎氏は、単なるネットワーク回線の増強だけでは技術およびコストの両面で限界があり、上述したTCO削減の課題を克服できないと指摘する。

 「これまでLAN内で完結していたアクセスを、WANでの遠距離アクセスに発展させる場合、ネットワークの物理的距離に起因する通信遅延の影響が懸念される。距離によっては回線の増強も有効だがコストも膨れ上がる。サーバ統合で目指したコスト削減効果に加え、業務を円滑に行えるスループットを確保するためにWAN高速化のアプローチが選ばれる」(大出氏)

 下の図は、NTT ComのWPAのサービスイメージだ。WPA装置は、顧客企業の各拠点に設置され、グローバルネットワークを挟んで、顧客企業の通信データを圧縮して転送する。定型業務のアクセスなど、よく使われる通信データはキャッシュ機能によって、2回目以降の通信を信号のみで行い、スループットを大幅に向上させる。

WPAのサービスイメージ図

WAN高速化をワンパッケージで

 WPAの最大の特徴は、WAN高速化ソリューションのすべてをワンパッケージで提供する点にある。ユーザー企業には、ネットワーク環境の事前検証から、構成の決定、WPA装置の設置およびチューニング、運用後のサポートに至るまで、WAN高速化の導入に必要となるすべてのプロセスが提供される。なお、WPA装置はユーザー企業が買い取るのではなく、NTT Comのほかのネットワーク・ソリューションと同様、月額制のレンタル利用となる。これは「TCO削減を実現するWAN高速化ソリューションとして、顧客の初期コストを極力抑えてもらうため」(大出氏)だ。

 システムインテグレーションサービスではなく、ワンパッケージで提供されることの利点としては、WAN高速化の導入に要する期間の短さも挙げられる。WPAでは、顧客の申し込みから構築、運用までのプロセス自体が標準化されているため、リードタイムが短くて済むうえ、標準化によるコストメリットも生まれる。

 大出氏によると、標準的な構築期間は2カ月で、事前検証およびトライアル(後述)期間を含めると約3カ月で完了するケースが多い。ただし、顧客のネットワーク環境によっては導入後もチューニングを繰り返すなどして、半年ぐらいを要するケースもあるとのことだ。永田氏は次のように説明する。

 「運用時の継続的な管理やトラブル対応を含めた、長いバリューチェーンをワンパッケージで提供しているのが特徴。サービスの領域が広いこともあって構築に期間を要することもあるが、導入直後から大きな効果を発揮するため、顧客に納得していただけるリードタイムを達成できている」

 もちろん、企業には、WPAのようなワンパッケージ型ではなく、WAN高速化装置をメーカーから購入して自力で構築・運用するという選択肢もある。だが、WAN高速化のチューニングは環境によっては一筋縄ではいかず、運用後も最適化のためのチューニングや装置の運用保守といった作業も生じてくる。よって、その選択は、WAN高速化に関する技術力を有したITスタッフの有無や、長期的なコストからの判断になってくるだろう。

 このあたりにも関係したWPAの強みとして、NTT Comならではのワンストップのサービス/サポート体制にも注目すべきだ。ネットワーク関連のトラブルは、原因の究明が難しいことも多い。WAN高速化装置を購入して自力で構築した場合、WANでトラブルが発生したとき、その原因が装置の不具合にあるのか、ルーターなのか、あるいは回線自体なのかを顧客自らが切り分けなくてはならない。

 一方、WPAでは、設計から構築、WAN高速化のチューニング、装置の運用保守までを、NTT Comのエンジニアが一元的に扱う。トラブル時の窓口を1つに集約できる利点は大きい。

 「顧客から連絡を受けると直ちに問題を切り分け、例えばWPA装置に問題があると分かればその専門チームに、別のレイヤの問題であればネットワーク専門のチームに連絡する。ワンストップのサポート体制により、顧客は、トラブルの原因究明に多大な時間と労力を割かなくて済むようになる」(大出氏)。この体制は「Single Point of Contact(SPOC)」と呼ばれ、WPAソリューションをはじめ同社のネットワーク・ソリューション群において共通で提供され、同社の大きな強みになっている。

WPAにおける遅延解消の効果

 WPAがネットワーク遅延を実際にどのぐらいまで解消できるのかは、顧客企業のWAN環境(距離、帯域幅、データ・トラフィックの種類など)によって異なる。参考までに、NTT Comでのテスト結果を紹介すると、帯域1.5MbpsのWAN環境で、WPA未導入のまま通信データをFTPで転送したときに150ミリ秒かかっていたのが、WPAの導入後1回目の通信では50ミリ秒と、3倍の改善率を記録した。これは、主にWPA装置の備えるデータ圧縮・解凍の機能によるものだ。2回目の通信では、データにキャッシュ機能が効いたことで、5ミリ秒となんと30倍もの改善が図られている(図の2.)。

「WPA導入による加速効果(NTT Com社内検証)」

大規模環境での導入が増加中

 WPAの導入事例として、日本、米国、ドイツに拠点を持つグローバル製造会社A社が、約半年間の事前検証ののち、2008年末から2009年初めにかけて構築した事例を紹介する。

 WAN回線の増強に取り組んできたものの、レスポンスに不満を持っていたA社。検証の結果、WAN回線の遅延がボトルネックになっていたA社では、大容量のCADデータとメールサーバが1カ所に統合されており、遅延が発生すると、CADデータのやり取りはもちろん、メールの読み込みにも相当な時間がかかっていた。NTTComのWPAソリューション専任エンジニアは、提案時よりA社のネットワーク環境のトラフィック分析を丹念に行い、どの通信に対してどれだけの効果が見込めそうかを顧客と話し合い、その結果、A社は業務アクティビティ全体で導入効果が得られるものと判断し、導入に至った。

 また、WPA装置やネットワークの保守運用など、構築後にも受けられるマネジメント・サービスの充実ぶりも採用の決め手となったという。

 大出氏によると、以前はWPA装置10台未満の導入が多かったが、ここ半年で、20台から50台規模の導入を受注するようになり、中には100台の大規模環境の受注も入ってきているという。「加えて、本社など主要拠点にまず導入し、顧客が効果を体感したうえでほかの拠点への追加導入を決める顧客も増えている。毎月あるいは四半期ごとに、数拠点ずつ追加でWPA装置を設置していくかたちだ」(大出氏)

 ここまで、NTT ComのWPAが備える独自の特徴を紹介しつつ、WAN高速化ソリューションの意義とユーザー企業が享受しうるメリットについて見てきた。同社は、クラウド・コンピューティングが今後さらに浸透していくなかで、WAN高速化ソリューションが重要な役割を果たすと見ている。

 永田氏は、下の図を示しながら、WPAが位置するパフォーマンス・マネジメントが、ネットワークインフラとクラウドプラットフォームのブリッジの役目を担う重要な領域であることを強調する。「当社が提供しているグループウェアなどのクラウド対応アプリケーション群に対するWAN加速化の効果を今後、社内で検証し、具体的な数字も含め、説得力を持ったかたちで顧客に訴求できるようにしていく計画だ」(永田氏)

 WPAは、いかなるネットワーク構成/規模の企業に対しても、顧客満足度の高い導入効果をもたらす。グローバル企業のCIOやITマネジャーにおかれては、本格的な導入の検討を始められてはいかがだろうか。

NTT ComのグローバルICTソリューション

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提供:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年2月28日